鈴は薄く笑った。「四億五千万が些細なことって言えるなんて、渥美さん、よっぽど懐に余裕があるのね」その一言で、梨々華の背中にひやりとしたものが走る。視線を逸らし、もう鈴の目をまともに見られなかった。「三井さん、あの……」何か言いかける彼女を、鈴はあっさり遮って、まるで味方をするかのように続けた。「もういいわ。あなたはうちのタレント、当然守る義務がある。まずは監視映像を確認しましょう。もし幸に非があるのなら、私が責任を持ってあなたのために動く」「三井さん、それはちょっと……」その声の揺れを、鈴は見逃さなかった。その内心を見透かしたように、冷たい口調で言い放つ。「どうしたの、渥美さん。もしかして、何か都合の悪いことでもある?」「ち、違います、私は……」「なら、一緒に行きましょう。事実を確かめにね」梨々華は言い返す言葉も見つからず、心の中はすでにぐちゃぐちゃだった。――どうしよう、どうしたらいいの……?「さあ、行きましょうか」鈴に促され、観念したように梨々華もその場を離れた。監視室にたどり着いた鈴が扉を開けると、そこにはすでに助の姿があった。「助兄さん?イベント始まってるんじゃないの?どうしてまだここに?」助は鈴の問いには答えず、黙って梨々華に視線を向けた。その目線を意識しながらも、梨々華はそれを無視して、助の腕に縋りつくように駆け寄る。「先輩、ここにいてくれてよかった!あの時先輩もそこにいたよね?お願い、三井さんに説明して。何があったのか、全部!」しかし、助は表情一つ変えずに、無言のまま腕を引き抜いた。その冷たい拒絶に、梨々華は固まったまま、小さく声を絞り出す。「……どうして?先輩……?」鈴はその様子を静かに見届けつつ、部屋の機材に視線をやり、だいたいの事情を察した。腕を組みながら、淡々と口を開く。「渥美さん、まだ何か言っておきたいことはある?」梨々華は首を横に振り、すがるように助を見上げる。「違うの、先輩……説明させて……」だが、助は一度も彼女を見ることなく、鈴に向かってだけ言った。「控室の映像は確認した。幸の対応に、何の問題もなかったよ」その言葉に、鈴は一瞬だけ助と目を合わせ、二人の間に無言の了解が走る。「分かった。じゃあ、兄さんは先に会
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