ホールの中では、田中陽大が満面の笑みを浮かべながら次々と客たちの祝辞と乾杯を受けていた。グラスを重ねるたびに、彼の顔には祝福の気配が濃くなっていく。賑やかな宴も最高潮に達したその時、「パチンッ」という音とともに、突然ホールの照明が一斉に落ちた。あたりからどよめきと驚きの声が上がる。「なんだ?どうして真っ暗に!」「いってぇ!踏んだの誰だよ!」「……」突然の出来事に、田中陽大の手が止まる。漆黒のホールに目を凝らしながら、ざわつく音の中で声を荒げた。「何をしている、早く原因を見てこい!」「はい、田中社長!」田中陽大は急いで場を取り繕うように声を張った。「皆さま、どうかご安心を。恐らく電気系統のトラブルかと思われます。すでに点検を手配しておりますので、すぐに復旧いたします」その声に来賓たちもその場に立ち止まり、動揺を抑えていた。だがその時、ホールの一角に設置されたスクリーンが静かに光を灯し始めた。不意に差し込んだ眩しい光に、思わず多くの人が反射的に手をかざして目を庇った。やがて目が慣れてくると、人混みの中から誰かが叫んだ。「な、なんだこれ?」「うわ!目に毒だってば!」すぐにまた別の誰かが叫び、場の視線が一斉にスクリーンに集中した。スクリーンには男女が絡み合う映像がはっきりと映し出されており、それを見た者は誰もが目を丸くし、場内のざわめきは一層激しくなった。「これって……あの人じゃないか?」「な、何してんの、このふたり?」「うわ、目が焼けるわ」「……」騒ぎは収まらず、あちこちで口々に囁き合いながら、皆、開いた口が塞がらない様子だった。田中陽大は状況を把握しきれずにいたが、スピーカーから突然流れてきた声を聞いた瞬間、身体が強張った。「葵、ずっと君がほしかったんだ……」田中陽大の身体がびくりと震え、手に持ったグラスもわずかに揺れた。この声、まさか……子安先生?彼はスクリーンに目を向けた瞬間、血圧が一気に上昇し、瞳孔が大きく見開かれた。スクリーンには、まるで熱烈に愛し合う恋人同士のように抱き合う田中葵と子安健の姿が、はっきりと映し出されていた。田中葵は子安健に弄ばれ、抑えきれずに小さく喘ぎながらも、どこか躊躇うように声を漏らしていた。「ダメ、今はダメ……」田中陽大は足元がふらつき、危うく倒れ
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