「谷山……」小島はごくりと唾を飲み込み、目の奥に滲んでいた欲望の色を必死に押し殺した。「やめろ……女の子なんだから、そんなこと、軽く言うもんじゃないだろ」谷山はじっと彼を見つめ、わざとらしいほど静かに言った。「……あんた、私のこと好きなんでしょ?」あのとき、鷹が選んだのは六人。女は二人、男は四人。もう一人の女はヨーロッパ駐在で、ほぼ顔を出さない。この数年、男たちが日常的に接する女は、心美ひとりだった。誰かが彼女を好きになるのは、何の不思議もないことだった。……昼寝から目を覚ましたあと、怜太が私のスマホを抱えて鷹に電話をかけた。通話はすぐにつながった。「鷹さん、お誕生日おめでとう!いま会社?それともおうち?」「家にいる」「今夜、鷹さんの誕生日のパーティー行くね?」「……ああ」珍しく機嫌が良さそうで、素直に返事が返ってきた。けれど、次の瞬間、声の調子がすっと冷たくなる。「……お姉さんは?」「どの?」「他にはいないだろ」「……ああ、南さんか!」怜太はスマホを大事そうに両手で持って、私に差し出してきた。「鷹さんが呼んでるよ」私はスマホを受け取る。「……何?」「清水。今日の――」言いかけて、彼は言葉を切り、冷たく一言だけ残して電話を切った。「18時、地下駐車場に来い」本当に、それだけ。一言も返す隙も与えずに、ぷつりと切られた。その横で、来依はまだ根に持っている様子だった。「……あの態度見て、ほんとに昨日のことただの誤解だと思ってるの?あんた、あの人のこと、まだ全然わかってないんじゃない?やっと立ち直ったと思ったら、また同じとこでコケるつもり?」私は苦笑した。「来依って、そんなに根に持つタイプだったっけ?」「南のことだからよ」来依は私の額を軽くつついて、言い放つ。「ムカつくんだよ、南のこと、ああやって言われるの。相手が服部の友達だろうと、神様だろうと、関係ない。私は許さない」……鷹は「谷山心美」の着信表示を見ると、すぐに南との通話を切って、そちらを優先した。あいつの仕事の速さからして、そろそろ調査結果が出ている頃だろう。彼は今、何よりもそれを知りたかった。あの二年間、南がどうしていたのか。「……調べたか?」「
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