これ以上何を言っても、私の言葉を信じて、「実の娘」である夏美を疑うとは思えない。そう思いながら、私はテーブルにジュースを戻し、バッグを手に取る。「京極さん、今日はお邪魔しました」……夏美がリビングを出ていくのを見届けてから、佐夜子はふっと肩の力を抜いた。張りつめていた空気が少しだけ緩む。だが次の瞬間、心の奥底から湧き上がる嫌悪感が、また全身を覆った。……それでも、落ち着いてみると、何かが引っかかる気がしてならなかった。彼女はすぐに携帯を取り出して、菅に電話をかけた。「菅、お願いがあるの。2年前に、夏美と南さんの間で何かトラブルがなかったか調べてくれない?」さっきの南の様子、どう見ても軽い雑談とは思えなかった。あれは――何かを伝えようとしていた。「了解、調べてみる」菅はすぐ返事をした後、不思議そうに尋ねた。「どうしたの、急に?」「はっきりとは言えないけど……もう一つお願い。南さんの誕生日も調べて」何が繋がっているのかはまだ分からない。けれど、胸騒ぎがする。調べずにはいられなかった。少しして、菅の声が返ってきた。「それなら、もう調べてあるよ。夏美ちゃんと同じ誕生日だった」佐夜子と深く関わる可能性がある人物に関して、菅は事前にひととおり目を通すのが常だった。情報は、少しでも多くあったほうがいい。その答えに、佐夜子は息を呑んだ。「……同じ日、なの?」「うん」混乱が頭の中に広がっていくのを感じながら、彼女は思わず言った。「じゃあ……彼女が生まれた病院、調べてくれない?」「彼女、山口出身でしょ?そこまで調べる必要ある?」「違うの」佐夜子は小さく首を振った。「彼女の養父母が山口に住んでただけで、彼女自身が生まれたのは、大阪よ」一拍置いて、彼女は深く息を吸い、低い声で言った。「菅……彼女は、藤原文雄の娘よ」……夕刻、服部家本邸。久々の家族の集まりで、屋敷には賑やかな声が満ちていた。そこへ――タイヤが地を鳴らす音と共に、黒いパガーニが鋭く滑り込み、正門前でぴたりと止まった。鷹が車から降りた瞬間、リビングの空気が一変する。穏やかな団欒の空気は、一瞬で張りつめたものへと変わった。「このバカ孫、やっと帰ってきたのかい!」祖母が嬉
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