「黛家ご当主の和子様」玲は低い声で言った。「凪さんはそんなふうには見えません。むしろ俺はうちのボディガードが彼女にぶつかってしまい、どこか怪我をさせてしまうんじゃないかと心配するぐらいですよ」玲は凪を気に入っており、いつも弟に彼女を口説けと説得していた。それほど玲は彼女のことを評価しているのだ。多くの人間は、ただ凪を表面的に見て彼女には当主になる器はなく、そう簡単に当主の座にはつけないだろうと思っている。黛氏一族のビジネスは多くが当主が中心となり管理している。周りはみんな凪が何も力を持たず、弱者で世間を知らないお嬢様だと思っているのだ。しかし、玲は凪の本性を見抜いていた。弟は黛家は深い闇を抱えた一族であり、もし彼が凪と結婚することになれば、一族の争いに巻き込まれてしまうと言っていた。そして今、和子の凪に対する態度を見ると、玲は弟のほうが自分よりも黛家を見抜いていたのだと認めざるを得なくなった。「白山社長、うちの姉は大丈夫ですよ。痛いって叫んでもいませんでしたもの」この時、若葉が話に入ってきた。若葉は玲が凪を庇うのを見ていられなかったのだ。玲がたった少し凪を庇うような言葉を言っただけでもだ。若葉はどうも玲が凪を庇っていると感じてしまった。柏浜では玲からこのような扱いをしてもらえる女性は一人もいない。それがさっき、若葉は玲の凪に対する態度がとても優しいのを目撃してしまった。若葉はそれを目の当たりにすると怒りが込み上げてきて、凪が玲に色目を使っていると思い、すぐに母親に凪は恥も知らずに、女性たちがよく使う汚い手を使って玲に近づいてると訴えたのだ。「白山社長、先ほどは申し訳ありませんでした。もう大丈夫です。私、ちょっと化粧室に行ってきます」凪は周りから注目されるのが嫌で、適当な言い訳をしてさっさとその場を離れた。「白山社長」凪が去った後、奏汰が入ってきた。彼と一緒に奏汰のファンになった碧もやって来た。碧は奏汰が十数人もの恋敵を相手に、口舌戦で勝利をおさめたことに、感服していた。そして今、碧は奏汰のファン一号になったのだ。奏汰が入ってくるのを見て、会場にいた人たちは、この日の昼間に起きた出来事をすぐに思い返した。星城の結城家の御曹司である奏汰がなんと公の場で白山玲に告白したのだ。し
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