Alle Kapitel von 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Kapitel 1921 – Kapitel 1930

2464 Kapitel

第1921話

玲は一度黙って、それからまた低い声で話し始めた。「お宅の結城奏汰さんが堂々と私を口説いてきました。ずっとつきまとってくるんです。ですが、私は男ですよ!結城社長もきっと従弟が男と恋愛するのを黙って見てはいられないでしょう?今回の件、そちらでしっかりと彼に言い聞かせてもらいたいんです」「奏汰が白山社長を口説いた?あいつが何かしましたか?それとも、何か口説かれるような話をされたとか?」理仁はすでに誰よりも早くこの情報を掴んでいたが、何も知らないふりをして玲に尋ねた。「今日、彼が私にアプローチしてきたんです。花束を持ってきました。しかも、会社の目の前に多くの薔薇を使ってメッセージまで作ったんですよ。多くの野次馬が集まっていましたから、きっと今柏浜では私と彼の関係性を探る話題でもちきりです。社長、私が知る限り、彼は星城にいる時に男が好きだとかそのような噂が出回ったことはないはずです。同性愛者なんじゃないかという話も聞いたことがありません。最近このように男に覚醒したばかりでしたら、急いで彼の目を覚まさせたほうがいいと思います。このまま彼を暴走させてはいけませんよ。それに、重要なことは私が彼の気持を受け入れることができないということです。絶対に彼が報われることはありませんから。このようにしているのは、彼もただ時間を無駄にするだけです。それに傷つくのは彼のほうですよ」理仁は従弟たちのことを大事に思っているだろうから、玲は理仁がきっと奏汰にしっかり言い聞かせてくれるだろうと信じていた。それがまさか、彼女がそう言い終わると、理仁はまず暫くの間沈黙していてから、このような言葉を吐いた。「白山社長、他の事でしたら、私も何かお手伝いすることはできます。しかし、今回の件は私も何もできません。恋愛は個人の自由です。確かに俺は彼の従兄ですが、人の気持ちをコントロールすることなんてできないのです。彼が本気で白山社長のことを好きなら、我々結城家も彼が決めたことを尊重します」玲は言った。「……結城社長、彼が同性愛者かもしれないというのに、それは構わないのですか?」「私が気にしたところで何ができます?他人の感情を私が強制することはできません。それに同性愛者はたくさんいます。そんな彼らの親や親戚の中には受け入れられない人たちだっているでしょうが、口を挟んだところで、何
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第1922話

理仁は玲との電話を終わらせると、すぐに奏汰に電話をかけた。すると奏汰はすぐに電話に出た。「理仁兄さん」「お前、行動が早いな。昨晩電話で助けを求めてきたと思ったら、今日もうなりふり構わず彼女を口説きに行ったのか。玲さんも相当衝撃を受けているようだぞ」奏汰はこの時、すでに白山家のホテルから自家のラグジュリゾートホテルに戻っていた。どのみちこの日の目標は達成済みだ。残りの時間は玲に慣れてもらう時間としよう。夜、玲はあるパーティーに出席することになっているのだが、ちょうど奏汰もそのパーティーに出席する予定だった。会場でまたしっかり彼女にアプローチすればいい。奏汰は玲が男として生きるのに、あとどのくらいの時間我慢できるか見てやるつもりなのだ。「辰巳兄さんと唯花さんが同じアドバイスしてくれただろ、確かに二人の言うことは理にかなっていると思ったんだ。ばあちゃんから与えられたタイムリミットはもう長くない。あと数カ月しかないから、きびきび行動しないとね。じゃないと、新年をうちで迎えられなくなるよ」奏汰はヘラヘラと笑った。「理仁兄さん、このやり方は確かに効果的だった。白山玲のあの険しい顔が花束を贈られた瞬間に激変したぞ。男よりも男らしいとか許せないし、この俺よりも男らしくイケメンなんてなおさら許せないぞ。何が何でも彼女のあの化けの皮を剥がしてやらないとな」理仁は奏汰に言った。「将来彼女と結婚するために、本気で彼女を口説こうとしているのか、それとも男装姿が自分よりカッコイイから、負けていられないと意地になって張り合ってるだけなのか、どっちなんだよ」「もちろん、将来結婚するために決まってるだろ」理仁は笑って言った。「さっき白山社長が電話をかけてきたぞ」「なんで理仁兄さんに?俺の行動を訴えてきたのか?」「俺からお前に説得してもらいたかったんだろうな。お前が男が好きなようだから、すぐに正したほうがいいと言ってたぞ。それに、口説こうとしても意味がない、同性は好きじゃないんだって言ってたな。このようにお前が続けても、傷つくのはお前自身だとか。それから、お前が彼女を利用して同性愛者だって噂を広めることで、ばあちゃんから結婚の催促をされるのを逃れようとしているって言ってたっけ」奏汰は、はははと大笑いした。「それならもう知ってるよ。弟君
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第1923話

「俺と唯花が以前どうだったか、お前らみんな反面教師にするって言ってただろ。今後彼女を追いかけるのに、何か隠し事をしたり、騙したり絶対しないって」奏汰は言った。「……今隠し事をしているのは彼女で、俺を騙しているじゃないか。まあいっか、わかったよ。頃合いを見て彼女にちゃんと説明するから」「まあ、自分自身で決めて行動することだな。俺はこれからスカイロイヤルで顧客と商談があるからな」そう言うと、理仁は電話を切った。この時、彼はホテルに向かう途中だった。彼のお供は愛する妻ではなく、ボディーガードたちだけだ。以前であれば、悟が一緒に行っていたが、今彼は妻の尻に敷かれている。この世で最も重要なのは明凛である。昼休憩の時間になっていないというのに、悟はすでに妻のもとへと急いでいる。理仁はたまらず唯花に何通かメッセージを送り、彼女がいち早く情報を得られるように、当然のごとく奏汰の大胆な行動を伝えた。……辻グループにて。昼になり、会社で働く多くの社員が外へランチへ行き、外に行くのが面倒な社員は社内食堂で食べていた。夕菜は外は燦々と太陽が照りつけているのを嫌い、また外に出て行くも面倒なため、デリバリーを頼んでいた。ただ、かなり長い間待っているのに商品が届かないので、夕菜は機嫌が悪くなっていた。電話で配達の催促をしようとした時、ちょうどドアをノックする音が響いた。「入って」彼女はデリバリーが届いたのだと思い、電話をするのをやめた。そしてオフィスのドアが開いた。するとそこに立っていたのは理仁だった……その瞬間、彼女はその場に硬直してしまった。彼女は、デリバリーの配達員が二つの袋を提げて入ってきて申し訳なさそうに話しかけるのを呆然と見つめていた。「お客様、申し訳ありません。途中道が渋滞していまして、少し遅くなりました。本当にすみません」その人は二つの袋を夕菜のデスクの上に置き、彼女がまだ呆然としているのに気づいた。彼は何かを考えているような目をしたが、すぐに何もなかったかのような顔をした。そして呼びかけた。「お客様、お客様」そしてようやく夕菜は我に返った。彼女はこっそり、力を込めて自分の太ももをつねってみた。痛かった。痛いということは、つまり夢ではない。これは現実だ!目の前に結城理仁がいる。
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第1924話

もしこのデリバリーを配達してきた男が黒いスーツを着て、ネクタイを締め、後ろから見れば十分に結城理仁だ。もちろん、顔は見ないのを前提としてだが。「お客様、遅れてしまい、すみません」彼はまだ遅くなったことを謝っていた。「いいんです。安心してください、クレームをつけたりしないので。昼の時間帯だから渋滞しているのは当然です。配達する時は焦らないように、危ない運転はしないようにしてくださいね。少しくらい遅れても大丈夫ですよ。そうだ、あなたのお名前は?」夕菜は頭をフル回転させていた。この男の姿や歩き方が理仁に似ていると気づくと、彼女はある事を企て始めた。この男を利用して、理仁と唯花を誤解させることができるはずだ。彼は夕菜を見つめ、しどろもどろになり名前を教えたくない様子だった。夕菜も無理強いすることはせず、相手に自分の名刺を差し出して言った。「あなたの雰囲気が知り合いにそっくりなんです。それでちょっとお願いしたいことがあって。あなたには高額な報酬をお支払いします。詐欺か何かじゃないかって心配しなくて大丈夫ですよ、これは私の名刺です。帰ってからちょっと考えてみてください。もし、私に協力する気になったら、そこに書いてある電話番号に連絡してください。私、待っていますから。報酬は、あなたの年収の何倍にもなると思いますよ」男は夕菜から受け取った名刺を何度も見て、ヘルメットを被ると彼女に言った。「その、協力というのは一体何をすればいいのでしょうか?犯罪は絶対にしませんからね、まだ結婚もしていないのに」夕菜は笑って言った。「安心してください、そんなことをさせたいのではありません。ただ、私と一緒に動画か写真を撮ってくれるだけでいいんです。帰ったらよく考えてみてください。決心したら私に連絡してくださいね」「あ、そうですか、わかりました。それからクレームだけは本当にしないでくださいね」彼は去り際にもう一度そう夕菜にお願いしてから出て行った。夕菜のオフィスを出て、エレベーターで一階までおりて辻グループから出た後、その男はある人物に電話をして報告した。「あなた方に言われたとおり、辻さんに会ってきました。彼女が名刺をくれて、私に協力してほしいと言っていました。帰ってからよく考えてまた連絡してくれと」電話の相手は彼に言った。「数日経ってから、また
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第1925話

偽理仁は言った。「辻お嬢さんはお目が高い方でしょうし、彼女と恋人になれるなんて妄想はできませんよ」「彼女は恋愛経験ゼロなんです。だから、うまいことおだてて、何でも言うことを聞いてやれば、あの男とそっくりなあなたを前にして、彼女はいつか必ず落ちます。そのスタイルを保つようにしてくださいよ、それがあなたが成功する秘訣ですから」もし太ったり痩せたりすれば、理仁からは遠ざかってしまう。「わかりました、肝に銘じておきます」金持ちになるためなら、彼は絶対に今のスタイルをキープしようと胸に誓った。さっき彼が夕菜に配達して来た時、彼女は彼を見て呆然としていた。だから、彼は自分の姿が本当に夕菜の想い人である人物にそっくりなのだとわかった。通話を終えてすぐに、彼の口座には百万円振り込まれた。これが彼の報酬だ。ただ夕菜に一度だけ配達し、彼女に会っただけで百万もの報酬が得られて、男は金持ちから金を稼ぐのは容易なことだと感じていた。……星城空港にて。姫華はスーツケースを引いて歩きながら、善に電話をかけて言った。「もうすぐ出てくるわ、もう着いてる?」彼女は今日出張から帰ってきたばかりだ。善が空港まで迎えに来ると言っていた。善は微笑んだ。「もう待っていますよ、出てきたらすぐにわかります」姫華は嬉しそうに笑った。「わかったわ、ちょっと待っててね」「ええ」善は姫華との通話を終わらせると、携帯をズボンのポケットに戻し、片手に花束、もう片方の手には袋を提げていた。その中にはできたてのお菓子とドリンクが入っている。彼女は飛行機の食事は好きではないと以前彼に言ったことがあり、彼は、姫華が二時間飛行機に乗っていて、お腹が空いたのではないかと心配したのだ。だから、彼女にお菓子とドリンクを用意して、まずは少しだけお腹を満たしてもらい、市内に戻って一緒に食事するつもりだった。そして少しして、善は中から出てきた多くの人の中に姫華を見つけた。彼は笑顔で姫華のほうに手を振った。姫華も善に気づき、スーツケースを引いて急ぎ足で出てきた。「神崎さん」この時、知らない人の声が聞こえ、大きな手が彼女のスーツケースを掴んで引っ張って行こうとした。これに彼女は反応できず、手に持っていたスーツケースは消えてしまった。姫華はてっきり善かと思って
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第1926話

姫華と弦は知り合いでもないし、交流した機会もほとんどないというのに、弦が彼女を空港まで迎えにきた。これにはさすがの姫華も驚いてしまって、その場に立ち尽くし一歩も動かなかった。「神崎さん、この花、あなたにプレゼントです」善は花束を持って空港に迎えに来ていたが、それは弦も同じだった。弦は一颯にしつこくつきまとわれて、賭けまでさせられてしまい、負けたことでおとなしく神崎夫人の魔の手から一颯を助けだす手助けをする羽目になってしまった。弦が姫華に好感を持っているふりをすることで、善に危機感を覚えさせプレッシャーを与えることができる。それに、一颯と姫華をくっつけようとした時のように、弦にあのような事はできない。詩乃は弦の行動を把握することなどできないので、姫華と弦を偶然を装って近づけさせることなどできないだろう?それに詩乃もあの九条弦を娘婿に迎えようという幻想は抱きようがない。娘のことをよく理解している詩乃は、弦とは性格的に合わないことを知っている。弦が花束を姫華の前に差し出すと、彼女は反射的にそれを抱きかかえた。彼女は花束のほうへ視線を下に向けてから、弦のほうを向き直して、やっとのことでどこかに飛んでいっていた意識を呼び戻して尋ねた。「あ、あの、九条さん、これは一体?」「別に何でもないんです。あなたが星城に戻ってきたと情報を掴み、ここまで迎えに来たんですよ。その花束はあなたに差し上げます。スーツケースは私がお持ちしましょう。市内のお宅までお送りします。それからそちらで食事を一緒にさせてもらえればと」弦は一気に今やっている事と、これから何をする予定なのか事細かに説明していった。それには姫華も言葉を失ってしまった。「姫華さん、九条さん」善はやって来ると、すぐに姫華の隣に立ち、彼女が抱えている花束を取りあげて自分が買って来た花束と取り替えた。そして、弦の花束を彼に返し、スーツケースも取りあげてしまった。「九条さん、あなたにご迷惑をおかけする必要はありません。僕が姫華を家まで送りますので、わざわざここまで来ていただいて申し訳ないです」善も一体これはどういう事なのかさっぱりわからなかった。しかし、やはり丁寧な態度で弦にお礼を言っておいた。弦は善がする行動を拒むことはしなかった。彼は善をじろじろと眺めて、こんなに優秀な男
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第1927話

弦の父親は息子を治療するために、走り回って彼よりも十歳若い女の子たちを探し、お見合いの席を設けることにした。そして数いる中から弦が興味を示す女性がいれば、そのまま彼にその女の子を口説かせようと思ったのだ。彼より十歳若い女の子なら、今年は二十四歳で非常に若い。弦は隼翔同様、星城の上流社会では比較的年齢が高めの権力と金を持つ大物だ。隼翔は弦よりも一、二歳年上だ。結城おばあさんが信用している占い師が弦の父親に言った話では、弦の心を動かせる女性は彼よりも十歳年下だそうだ。しかし、その相手の名前や容姿については何も言わなかった。それで父親は二十四歳の女の子を一通り探しまわった。弦はこの話を全く信じていない。本当にそこまでピタリと当ててしまうすごい占い師なのか?弦は手を伸ばして善の手を掴み、そのまま彼を引っ張っていった。その光景に姫華は言葉を失っていた。この二人の男は、姫華を迎えにわざわざ空港まで来たのではなかったのか?それなのに、なぜ彼女を放っておいて、二人だけでさっさと行ってしまうのか。しかも二人の大の男が手を繋いで、そのうち一人は花束を抱えて歩いている。その奇妙な光景に、みんなの目が釘付けになっていた。それには姫華も思わず笑ってしまった。彼女は歩きながら、携帯でその光景を撮っていた。それを後で見かえして、楽しもうと思ったのだ。「九条さん」善は立ち止まり、弦の手を振りほどこうとした。善も兄弟たちの中では腕は劣っているが、護身術はできる男だ。力も一般の男よりも少しは強い。さっき彼は何度も弦の手を振りほどこうと試してみたが、うまくいかなかった。これには善も力の差というものを思い知った。「どうしましたか?」弦も同じく立ち止まり、善に尋ねた。善は苦笑いして言った。「自分一人で歩けます。これじゃ、周りから変なふうに勘違いされてしまいます」弦は目をぱちぱちと瞬かせて、どうして変なふうに勘違いされるのかと不思議に思っていた。そして振り向いて、姫華が彼ら二人の後ろから歩いてきているのを見ると、弦は突然笑って言った。「すみません、神崎さんのことを忘れていましたね」「姫華には触らないでください」弦が姫華の手を繋ぎに行くのではないかと懸念し、善は急いでそう釘を刺しておいた。そして、善は素早く彼女の傍に戻る
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第1928話

善は苦笑いした。「九条さん、今日のあなたの行いは、どんな危険な状況よりも怖いですよ」「さっきも言いましたが、私は神崎さんと恋人になりたいんです。あなたとは正々堂々と争いたいと思っています。桐生君、頑張らないと、もし本当に私が姫華さんの心を射止めてしまったら、あなたが苦しむんですよ。私は星城出身なので、あなたよりも優勢なんですしね」善「……」弦は別に姫華のことを好きなわけではないが、この時、この件は少し面白いなと思い始めていた。何もすることがない時は、暇つぶしにこのようなことをやってみるのもなかなか良い。「さ、行きましょう」弦はまた歩き始めた。善と姫華は彼の後に続いた。姫華は善をなだめるように言った。「九条さんがどういうつもりなのか、気にしなくていいわよ。彼も本気で私を好きなわけじゃないんだから、心配しないで」「それはできませんよ。白鳥さんはずっと姿を見せていませんけど、今度は九条さんまで出てきたんです。お母様はここまで僕のことを嫌ってるんですか?」善は強力な恋敵の出現で、かなりのプレッシャーを感じていた。彼は、九条弦も詩乃が仕掛けた恋のライバルだと疑っている。白鳥一颯一人だけでも、善に危機感を覚えさせるのに十分だったのだ。それなのに今度は九条弦ときたものだから、善のプレッシャーは相当なものになった。姫華は少し黙ってから、話し始めた。「家に帰ったらお母さんに聞いてみる。もう一度、善君以外の人は好きにならないって言っておくから。お母さんが同意しなくても、こうやって付き合っていればいつかは諦めて認めてくれるでしょ。お母さんが無理やりにでも私たちを引き裂こうとするなら、私も一生結婚しないわ。一生独身でおばあちゃんになるまで貫いてやるんだから」そうなると、今度は母親が頭を悩ませる番だ。善は彼女の手をぎゅっと握って言った。「きっと僕にはまだまだ至らない点があるのでしょう。だから、安心して姫華さんを僕にあずけようとしないんです。諦めずにこれからも努力して、いつかきっとお母様に僕たちの関係を認めてもらいます」立ちはだかるのは未来の義母である。善も彼女に対して企みを持って汚い手を使うわけにもいかない。ただ百パーセント誠意をもって信頼を勝ち取り、姫華との結婚を認めてもらうしかない。それに、彼は喜んで神崎家の婿養子になっ
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第1929話

使用人が神崎邸の門を開けにいった。そして二台の車が神崎邸の敷地内へ入ってきた。詩乃と理紗の二人は善の車は知っているが、弦が乗る車は知らない。弦の車のみならず、そもそも九条弦本人を彼女たちはあまり見かけたことがない。そして弦が車から降り、詩乃と理紗が近づいていってようやく、詩乃は弦がいることにも気づいたのだった。「神崎夫人、こんにちは」弦は詩乃がやって来たのを見ると、キラキラと輝く笑顔で詩乃に挨拶をした。「九条弦さんですね、ようこそいらっしゃいました」詩乃は微笑んで言った。「今日は一体どういったご用件でいらしたのですか?あなたが来られるなんて、とても珍しいお客様ですよ。さあ、中にお入りください」「そう言われなくとも、図々しく中に入ってお茶をもらうところでした」弦は車からあの姫華にあげる予定の花束を抱えておろした。今姫華が抱えている花束は善からのプレゼントだ。彼女のスーツケースも善が先に掴み取り、弦ではなく彼が姫華のために持ってあげた。「おば様、理紗さん、こんにちは」善は詩乃が弦のほうを手厚くもてなそうとしているのなど無視して、丁寧に挨拶をした。弦は理紗に会釈して、それを挨拶代わりにした。弦がこの場にいるので、詩乃も善に冷たくあたることはできず、彼にひとことだけ「こんにちは」と言って、娘のほうへ顔を向けた。この時、姫華は幸せそうに顔をほころばせてあの花束を抱きかかえていた。姫華が本当に善のことが好きだと、その表情からすぐにわかる。詩乃は心の中でため息をついていた。姫華の人を見る目は確かだ。彼女が選んだ男はみんな優れた男だ。ただ残念なことに、以前好きだった理仁は姫華の片思いだったし、そして新たな恋は実っているのに、善は遠い町の出身だ。理紗はもう少し様子を見てみようと言っていた。善が長い時間粘れるか、それか突然善よりも姫華に相応しい男が現れるか待ってみるのだ。「お母さん、理紗さん」姫華は花束を抱えたまま母親の前に嬉しそうに跳ねてきて、にこにこと母親を呼んだ。詩乃はすぐに顔を厳しくさせて言った。「姫華、もう立派な大人なのに、きちんと歩いて来られないの?そんなウサギみたいに跳ねてきて。そんな大きな花束を抱えたままなんて、目ざわりだわ、さっさとどけてちょうだい」姫華はケラケラ笑って
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第1930話

弦の言葉と行動に、詩乃は信じられない様子だった。彼はあの花束は姫華のために用意したものだと言ったのだ。これは一体どういう状況なのだろうか。弦はやりたいように振舞った後、周りの反応は無視して詩乃に言った。「神崎夫人、中で少しお茶をいただいたら、少ししてから帰ります」詩乃は我に返ると、弦がどうしてこのような行動をするのかは考えるのをやめ、ひとまず先に彼を家の中に招いた。理紗が弦にお茶を淹れて持って来た。詩乃と理紗は一緒に座り、優雅にお茶を飲む弦を見ていた。善と姫華が入ってくると、二人はまたそっちに視線を向け、三人それぞれに視線を移して見ていた。詩乃はこの場で年長者なので、弦も彼女に失礼なことはしないはずだ。それで彼女は我慢できずに、はっきりと尋ねることにした。「九条さん、さっきのは一体どういう意味だったのですか?なぜうちの姫華と一緒にここへ来られたのです?あの花束は姫華のためにわざわざご用意なさったって?」「私は今日彼女が出張から戻ってくると知り、空港まで迎えに行ったんです。だからもちろん彼女を送って一緒にここまで来ますよ。ただ桐生さんもお迎えに来られていたので、少し人数が多くなってしまいましてね、迎えなら一人がいって二人で帰るので十分でしょう。一人多いとなんだか余っているような、誰かは余計な存在でしたよね。あの花束は確かに彼女のために用意したものです。夫人、私は人生で初めて女性に花を贈ったんですよ。彼女に気に入ってもらえたかはわかりませんが、空港で彼女に渡したのに、桐生君に取られてしまいまいて、彼が自分の花束を彼女にあげたんです。神崎さんはどうやら私からの花束はお好きではないようで」姫華は言葉を失っていた。一体弦とはどういう関係で、花束をもらえというのだろうか?弦が今日いきなり現れて、善と正々堂々と争うと言ってきた時は、本当にわけがわからなかった。姫華も弦が言っている事が本気だとは信じられない。彼が姫華を見つめる瞳には、ひとかけらも愛情を感じられない。弦がやっている事すべてが、まるで何かの任務を果たすためのようだ。詩乃は驚いて尋ねた。「九条さん、それは一体どういう意味でしょうか?」なんだか彼が姫華を口説こうとしているように聞こえるのだ。しかし、あの九条弦がいつの間に姫華を好きになったのだろうか
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