碧がこの情報を知るのは早かったが、悟のほうも、もちろん負けてはいない。彼はずっとニヤリと口角を上げたまま、理仁のオフィスのドアをノックした。「理仁、おい、理仁、ちょっと面白い情報を掴んだぞ。笑い死にしそうだ」理仁は顔をあげて悟をちらりと見てからまた書類に視線を戻して言った。「お前を笑い死にさせられる情報ってなんだ。体には気をつけろよ、奥さんのお腹には子供がいるんだからな」悟は言った。「……ざけんな、それは呪いの言葉かなにかか?俺は百歳までうちの明凛と一緒に長生きするんだからな。いや、俺はあと数年長生きじゃないとダメだな、彼女は年下だから」夫婦二人は毎日一緒に過ごし、共に墓に入る予定だ。生きるのも死ぬのも一緒だ。いや、今からこんな不吉な話をしてどうする。「お前は欲張りな奴だな。俺は九十歳まで生きられれば十分すぎるくらいだと思ってるのに。百まで生きられる人なんて数えるほどだぞ」理仁は口では親友にそう言っているが、心の中では唯花と一緒に二百歳まで生きたいと思っている。悟はデスクの前の椅子に座ると、笑いながら話した。「さっきある情報をゲットしたんだけどさ、どんな話だと思う?」「お前を笑いで死なせるほどのビッグニュースだろ」悟は言った。「……ちょっとくらい予想してくれないのかよ?」「つまらん」理仁はサインペンを置き、デスクの上に置いていた携帯をとると、まずは愛妻にメッセージを送ってから悟のほうへ目を向けた。「言えよ、真面目にそのお前を笑い死にさせてしまうという情報を聞いてやるから」「奏汰君、お前んとこのあの結城奏汰だ。なんと白山家の御曹司である白山グループの社長を口説き始めたらしいぞ。あの白山会長の息子さんだ。俺の結婚式に、白山会長一家四人がお祝いに来てくれたろ。確か、お前らは同じテーブルだっただろう」理仁は頷いた。「奏汰はどうやって白山社長を口説いたんだ?」「白山社長に薔薇の花束をプレゼントしたらしい。どうも社長が会議をしていて、奏汰君は応接室でかなり長い時間待っていたんだって、そして社長が会議を終わらせて出てきたところに奏汰君が花束を贈ったとか。これには白山グループの管理職たちも相当驚いたっぽいぞ。その時の光景を表現した彼らの言葉に俺はもうおかしくって」この件は、白山グループ全体に伝わっている。
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