奏汰は少し考えてから言った。「そうですね、でも慎重にしたほうがいいです。誰かに頼んでこの情報を黛一族に伝わるようにするんです。玲さん自ら伝えれば、黛家の争いに巻き込まれかねませんから。黛家当主は年を召されていますが、まだまだ元気ですし、彼女は若い頃かなりひどいこともしてきたので、厄介な相手でしょう」そして彼はまた彼女をからかうように言った。「黛家の二人の令嬢はどちらもあなたに惚れているようですね」玲は言った。「……凪さんはただ俺のことを高く買っているだけです。すでに彼女には俺を好きになっても意味はないと伝えてあります。彼女はそれですぐに諦めましたよ」以前は自分が最も偉く、黛家の将来の当主となると考えていた若葉に関しては、玲は前から彼女のことが好きではなく、今ではさらに嫌いになってしまった。玲が女だから嫌っているというわけではなく、たとえ男であったとしても、若葉を選ぶことは絶対にない。「玲さん、この件に関してあなたは何もしないほうがいいでしょう。俺のほうで人に頼んで伝えるんで」奏汰はまだ結婚していない、妻になる予定の彼女を黛家の争いに巻き込みたくなかった。玲は彼をちらりと見てから言った。「ただ噂を流すくらい、誰がしても同じでしょう」それを聞いて奏汰は返事はしなかった。玲は誰を敵にまわしても恐れるようなタイプではない。二人は長いこと話していたので、すでに昼休憩の時間になっていた。玲がいくら気分が乗らなくても、奏汰はどうしても彼女にご馳走すると言って聞かなかった。昼は会食もないので、玲も仕方がなく、しぶしぶ奏汰と食事をすることになった。しかし、食事の後は仕事の邪魔になるので、玲は奏汰を会社には来ないようにした。奏汰はまた白山グループのゲートで止められた。玲は会社に入る前に、彼に警告するように言った。「またメガホンを使って叫んで騒音被害を出そうものなら、警察に通報しますからね。あれをやるたびに通報しますから」奏汰はにやにやと笑って言った。「あなたが嫌いなら、もうしませんよ。結城家の男たるもの、妻の言うことは聞かないといけませんからね」玲は言葉を失った。玲は本当に奏汰を一発殴ってやりたかった。やはり、図々しすぎる!玲は奏汰のことを受け入れていないというのに、すでに妻扱いされている。奏汰は結城おばあさん
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