《交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています》全部章節:第 1991 章 - 第 2000 章

2108 章節

第1991話

奏汰は少し考えてから言った。「そうですね、でも慎重にしたほうがいいです。誰かに頼んでこの情報を黛一族に伝わるようにするんです。玲さん自ら伝えれば、黛家の争いに巻き込まれかねませんから。黛家当主は年を召されていますが、まだまだ元気ですし、彼女は若い頃かなりひどいこともしてきたので、厄介な相手でしょう」そして彼はまた彼女をからかうように言った。「黛家の二人の令嬢はどちらもあなたに惚れているようですね」玲は言った。「……凪さんはただ俺のことを高く買っているだけです。すでに彼女には俺を好きになっても意味はないと伝えてあります。彼女はそれですぐに諦めましたよ」以前は自分が最も偉く、黛家の将来の当主となると考えていた若葉に関しては、玲は前から彼女のことが好きではなく、今ではさらに嫌いになってしまった。玲が女だから嫌っているというわけではなく、たとえ男であったとしても、若葉を選ぶことは絶対にない。「玲さん、この件に関してあなたは何もしないほうがいいでしょう。俺のほうで人に頼んで伝えるんで」奏汰はまだ結婚していない、妻になる予定の彼女を黛家の争いに巻き込みたくなかった。玲は彼をちらりと見てから言った。「ただ噂を流すくらい、誰がしても同じでしょう」それを聞いて奏汰は返事はしなかった。玲は誰を敵にまわしても恐れるようなタイプではない。二人は長いこと話していたので、すでに昼休憩の時間になっていた。玲がいくら気分が乗らなくても、奏汰はどうしても彼女にご馳走すると言って聞かなかった。昼は会食もないので、玲も仕方がなく、しぶしぶ奏汰と食事をすることになった。しかし、食事の後は仕事の邪魔になるので、玲は奏汰を会社には来ないようにした。奏汰はまた白山グループのゲートで止められた。玲は会社に入る前に、彼に警告するように言った。「またメガホンを使って叫んで騒音被害を出そうものなら、警察に通報しますからね。あれをやるたびに通報しますから」奏汰はにやにやと笑って言った。「あなたが嫌いなら、もうしませんよ。結城家の男たるもの、妻の言うことは聞かないといけませんからね」玲は言葉を失った。玲は本当に奏汰を一発殴ってやりたかった。やはり、図々しすぎる!玲は奏汰のことを受け入れていないというのに、すでに妻扱いされている。奏汰は結城おばあさん
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第1992話

玲は一瞬言葉を失った。「おばあ様、私とそちらのお孫さんの件をご存じなんですか?」「もちろんよ。今はネット社会でしょ、柏浜で起きたことでしょうけど、ネットさえあれば、今いるA市でさえ知ることができるわ」玲はこの時、自分が電話でおばあさんに訴えようとしたのは、失敗だったと思った。結城おばあさんも、彼の母親も知っている。それなのに、結城家の中心人物であるおばあさんは気にしていないようだし、奏汰に構う気もないらしい。それなら玲はどうやって訴えればいいというのだ?そんなことをしても無意味だ。言ってもその結果はきっと理仁のように、奏汰が幸せであれば、彼が誰を好きであろうとも別に構わないと言われるだけだ。「おばあ様、私は男ですが」玲は低い声で言った。「私は同性は好きじゃないんです。奏汰さんが言い寄ってきても、結果は虚しいだけです。彼が私につきまとっているのは、あなたが選んだ結婚相手が好きじゃないからだと思います。おばあ様がお孫さんたちに結婚相手の女性を選んでいることは、私たちも知っていることなんです」おばあさんは笑って言った。「奏汰からきちんと聞いていないの?」あのバカ孫は玲を口説き始めたというのに、まだ彼女に自分の結婚相手の候補が玲だと伝えていないのか。玲はその言葉から要点を聞き出し、低い声で言った。「彼からきちんと聞いてはいませんが、おばあ様、彼は私に何か隠しているんですか?」「……玲さん、それは奏汰に聞いてみてね。これはあなた達二人の事だから。私はもう年を取って、目も悪くなったし、耳も遠くなったわ。歩く時だってステッキに頼って歩くしかないし、本当に若者の事に神経を使う余力がないのよ」おばあさんはそう言い終わると、そそくさと唯花に携帯を押し付け、小声で伝えた。「唯花ちゃん、彼女はいずれ結城家の一員になるのだから、当主になる理仁の嫁としてしっかり仕切ってね」唯花「……」唯花は何も知らないふりをして、玲に言った。「白山社長、他にご用がなければ、そろそろ失礼します。子供たちを連れて外で遊んでいるもので」「ええ、失礼しました」玲は空気を読んで自分から通話を終わらせた。心の中では、奏汰が何か隠していて、それを聞いたとしても、誰もその秘密を教えてくれることはないだろうと思った。知りたければ、直接本人に尋ねるし
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第1993話

奏汰は車を降りながら微笑んで言った。「いいですよ」茂は奏汰がたくさん何かを買ってきたのを見て言った。「奏汰君、今後ここへ来るときにはそんなにいろいろ買ってきてはいけないよ。うちは足りてないものなんてないからね。足りないといえば、うちの子供二人に結婚相手がいないことくらいだな」奏汰はにこにこ笑って言った。「茂さんと弥和さんが嫌でなければ、そのうちの一人に俺がなれますよ」「本当に?おうちの人は同意してくれるのかい?」「自分の事は自分で決めるのがうちのルールですから」すると茂は安心した。茂と弥和の二人は元から奏汰のことを気に入っていて、玲の相手として期待していた。しかし、娘から奏汰には決まった結婚相手の候補がいると聞かされて、その期待を薄めていたのだが、まさか奏汰のほうから玲に熱烈アピールしてきたのだ。毎日花やプレゼントを贈ってきた。といってもここ最近二日のことだ。しかし、白山家にとって、奏汰が玲につきまとっているこの二日という時間は、すでに二年ほどの長い時間に感じられていた。「茂さん、弥和さんはいらっしゃらないのですか?」茂が一人で出かけようとしていたから、奏汰はそう尋ねた。将来義父母となる予定の二人も互いに仲がとても良いらしい。どちらかが出かけると、もう片方は家にじっとしていられないのだ。「妻は今日友人の誕生日祝いに、食事会に行っているんだよ。みんな女性ばかりだからね、私は同行しなかった。弥和も若い頃の仲良しグループで話したいことがたくさんあるからって、私が一緒に行くのは嫌みたいだ」茂は奏汰から贈り物を受け取り、もう一度彼に無駄遣いをしていろいろと買ってこないように注意しておいた。もしまたこんなことをすれば家に入れないとまで言った。そして二人は一緒に家の中に入っていった。茂は奏汰の隣に腰かけて、小声で言った。「奏汰君、妻は女性たちだけで我々夫の悪口を言っているんじゃないかと思ってるんだ。だから、みんな夫を連れていっていないんだよ。昔だったら、彼女たちはね、夫も一緒に来てほしいって思っていたものだよ。仕事が忙しくて、数日家に帰らないと、すぐに外に他の女でもいるんじゃないかって疑って、私たちにくっついて回りたいと思うくらいだったんだよ。それが今日は絶対に悪口を言い合っているに違いないな」奏汰は笑って言
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第1994話

茂は黙ってしまった。彼はそうだとも、そうではないとも言えなかった。いっそ何も答えないことにしたが、黙っているのは、つまり黙認したと思われてしまうことに全く気付いていなかった。それで、玲が実は女だという事実を奏汰にさらに確信付けさせることになってしまった。「君は男性のほうが好みなんじゃないのかね?」茂はわざとそう尋ねた。奏汰は笑った。「もし、玲さんが本当に男なら、つまり私は男性が好みだということになります。それは玲さんがどちらの性別なのかによって変化しますね」茂はまた黙ってしまった。茂は奏汰にどうやって「長男」が女であると知ったのか尋ねたくてたまらなかった。しかし、そんなことを聞いてしまえば、玲が女であると暴露することになってしまう。それを娘が知れば、絶対に喧嘩になる。「君たち若者同士の事だから、自分たちで決めたらいいと思うよ。私たち年寄りはもう口を挟まないさ」茂はただこのように誤魔化しておくしかなかった。奏汰は笑って言った。「茂さんと弥和さんはうちの両親と同じで、とても開放的な考え方を持っていますね。いつか時間がある時、お二人を琴ヶ丘に招待します。両親もきっとお二人と仲のよい友人になると思います」茂も笑って、二人は引き続き外へ歩いていった。「九条悟君の結婚式以来、暫くの間君のご両親にはお会いしていないね。日を改めてまた訪問させてもらうよ」そう言うと、茂はやはり少し不安になって尋ねた。「奏汰君、君は今うちの玲にアプローチしているけど、私も妻も特に口を挟む気はないし、別に何か意見があるわけでもない。これは君たち若者同士の問題だからね。しかし、そちらのおばあ様は君にある女性を結婚相手として選んだんじゃないのかね?あのおばあ様を説得できるのかな」結城おばあさんは結城家で決定権を持つトップに君臨する人物だ。あの結城家当主となる理仁ですらも、おばあさんの前では自由に勝手な行動をすることはできない。そうでなければ、彼もおばあさんの言うとおりに唯花と結婚してはいなかっただろう。今夫婦二人の仲がとても良いから、理仁はおばあさんの当初の決定は正しかったと思っている。もし、あの夫婦が今に至るまでずっと仲が深まっていなければ、理仁もおばあさんを恨んでいたかもしれない。奏汰は自信を持って言い切った。「茂さん、安心してください。私
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第1995話

茂は奏汰を連れて釣りに行き、二人は午後ずっとそれを楽しんだ。そして夕方、二人はクーラーボックス二つ提げて家に帰った。茂のほうには十数匹の魚しか入っていなかったが、奏汰のほうはなんと数十匹も入っていた。「奏汰君、君は本当に釣りがうまいんだね。同じ釣り道具に餌食だというのに、どうして魚たちは君のほうばかりに泳いでいって、すぐに引っかかるんだろう。今日は私が釣りにはまってから、一番の不作だったよ」茂は歩きながら奏汰の釣りの腕を褒めていた。奏汰は笑って言った。「茂さん、私はただ運が良かっただけですよ。きっと魚たちは俺がイケメンなのに気づいてこっちの餌を食べに来たんでしょうね」茂は大笑いした。「そうそう、まさにその通り。君は若くてカッコいいからね、魚たちすらメロメロになってしまったんだ。奏汰君、他に何か得意なことはあるのかな?」「茂さん、何かできないことはあるのかって聞くべきですよ。私の兄弟や従兄弟たちはみんな多才なんです。祖母がいろいろ身に着けておいても損はしないと言って、やりたいことはなんでもさせてくれたし、興味のないことだってさせられてきたんですから。楽器でも、将棋でも、詩や絵でも、私たちはみんなできます。まあ、それに精通しているレベルまでいってるかどうかはまた別の話なんですけどね」茂は言った。「君のおばあ様は後世を育てるのが上手なことで有名だからね。君の親世代と若者世代はみんな彼女が育ててきたんだから、それぞれがここまで優秀になったわけだ」「茂さん、それは褒めすぎですよ。茂さんと弥和さんだってお子さんの教育はしっかりされているじゃないですか。玲さんと碧君もとても優秀な方たちです。きっと柏浜の名家で羨ましく思っていない家は一つもありませんよ」奏汰に褒められて、茂は始終、口元が緩んで笑顔だった。彼は奏汰に尋ねた。「釣った魚は全部料理するつもりかな?それなら、執事にいろいろ食材を用意するように伝えておくよ。今夜は魚も含めてバーベキューをしてもいいね。玲と碧に帰ってくるように電話するよ。それから弥和もね。人が多いほうが賑やかでいい」茂はそう言いながら玲に電話をかけ始めた。玲はこの時、仕事を終えて帰ろうとしていたところで、父親から電話がかかってくると、低く沈んだ声で言った。「父さん、何か用?」「用事がないとお前に電話したら
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第1996話

玲はいくら怒っても、やむを得ず弟に一緒に帰って食事をするように電話で伝えた。「父さんがなんで俺たちに食事に帰れって?何かめでたい事でもあったの?」碧はそう尋ねた。姉と弟は普段それぞれが購入した屋敷で暮らしていて、祝祭日の時にしか実家に帰って食事をしたりしない。「結城社長が午後うちに来て、父さんと一緒に午後はずっと釣りをしていたらしい。たくさん釣れたから彼がそれを料理すると言って、父さんが俺たちに帰って彼の手料理を食べろと言っているんだ」恨みがましい声で玲はそう言った。結城奏汰は言葉で他人を喜ばせるのが上手い。玲の父親は奏汰を前にすると、ものの三秒で落とされてしまう。それに、本当にうっかり口を滑らせて玲の秘密をもらしてしまうかもしれない。母親もそうだ。碧は笑って言った。「奏汰さんって本当にやるなぁ。父さんをそこまで喜ばせられるなんてね。兄さん、父さんが帰って食事しろって言ってるんだし、それなら帰ろうよ。俺だって長いこと父さんの酒に付き合ってないしさ、今夜は父さんと一杯やろう」玲はどうしようもなく言った。「本当は仕事の接待が入っていたのに、父さんがどうしても帰ってこいって言うんだぞ」碧はそれを聞いて、どうも他人の不幸を楽しんでいるようだった。「父さんと母さんにとって、ビジネスの事なんて大した問題じゃないんだよ。兄さんの人生の一大イベントのほうが重要だってこと」「俺が売りに出された後、お前だって逃げられないぞ。そうやって他人の不幸を面白がっている暇があると思うのか。俺はたった十分早く生まれてきただけだからな」碧は言った。「……兄さん、じゃ、やっぱりもうちょっとそれを引き延ばそう。あまり早く奏汰さんの告白を受け入れないでくれ。俺はあと二年くらい好きに遊んで三十になったら結婚しようって思ってるからさ」今彼はまだ二十八歳だから、あと二年は遊べる。玲は返事をせず、黙ってその電話を切った。人生の一大イベントか……結婚など、玲は一度も考えたことはなかった。奏汰の出現によって、彼女の穏やかな日々が終わりを告げてしまった。父親から言われ、玲はおとなしく実家に帰るしかなかった。しかし、ちょうど奏汰に自分を口説くのには何か秘密があるのか尋ねることができる。玲は二分ほどオフィスで静かに座っていてから、ようやく立ち上がっ
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第1997話

若葉は白山グループビルのゲート前に立ち、遠ざかっていく車を見つめながら、腹を立てて地団太を踏んでいた。白山玲という男はなかなか落とすのが難しいようだ。若葉は奏汰があそこまでしつこく玲につきまとっているのを見て、彼に習い、同じく玲にアピールし始めたのだった。以前、彼女は玲のことが好きだったが、言い寄ることができなかった。それは黛家の規則として、当主になる女性は婿養子しか受け入れないからだ。玲は白山グループの後継者であり、とても優秀な男だ。玲が若葉のことを深く愛してくれなければ、決して玲が黛家の婿養子になることはないだろう。それを考え、若葉は他の玲を慕う女性たちのように、熱烈に追いかけることはしなかった。しかし、今は状況が違う。若葉は今すでに黛家の後継者からは除外されている。養母がいくら彼女を可愛がっていたとしても、黛家に百年以上も続くこの規則に背くことはできない。若葉のものだと思っていたものはすべて凪に取られてしまった。それで若葉はどうしても納得いかなかった。後継者としての権利も剥奪され、唯一残っているメリットといえば、何も心配することなく堂々と好きな男性を追い求めることだけだ。しかし、結城奏汰が玲にしつこくつきまとうのに、玲はそれを拒否することもなく、若葉のほうは無視しようとする。それで若葉は自分が男である奏汰にも及ばないのかと、怒りをためていた。まさか、白山玲はあの男同様、男性のほうが好みなのだろうか?そこへ数分間立ち呆けて、若葉は怒りを抱えたまま家に帰っていった。若葉の乗る車が黛邸の敷地内に入った時、凪も新車の高級車を運転して帰ってきたところだった。凪の新車もマイバッハだったので、若葉は彼女が玲と同じ車にしたいと思って買ったのだと思っていた。奏汰の車も同じくマイバッハだ。若葉が以前から運転していたのはポルシェだったが、自分が後継者から黛家の次女という身分に降格してからというもの、彼女の車も何段階か下になった。もう以前のように数千万もする高級車ではなく、数百万の普通の車か、高級ブランドの車でもランクが下のものだった。若葉が以前乗っていたポルシェは凪が欲しいと言って取られてしまった。しかし、凪はそれを運転することはなく、中古で売ってしまった。そうやって若葉をかなり怒らせた。一体凪がどうやって母親を説
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第1998話

凪がポルシェを売って小遣いを稼ごうとしたケチだという噂を若葉が流した時には、まさか想像とは違う結果になるとは思ってもいなかった。みんな凪はよくやったと、偽物令嬢に数千万の高級車を使わせる理由などないだろうと反応したのだ。車を回収して売って金に変えても、若葉に使わせないのは当たり前のことだ。その事件をきっかけに、若葉と凪の溝はどんどん深まっていった。この時、凪がスーツを身に着けてマイバッハから降りてきたのを見て、若葉は我慢できずに尋ねた。「お姉さん、今日はどこへ行っていたの?フォーマルな格好をしてるけど」「仕事よ。毎日私が仕事していることを知らないの?以前のあなたも同じじゃなかったの?」そのひとことが若葉を黙らせ、また嫉妬心に火をつけた。そう、以前の若葉は今の凪と同じで、毎日仕事に行っていた。母親について、黛家のビジネスを学ぶために、毎日のように顧客に会ったり、商談したり、接待に行ったりと、非常に忙しくしていたのだ。忙しいとはいえ、それでも後継者としての権力に酔っていた。一族の同世代たち、養母の三人いる息子たちでさえ、若葉の前では恭しい態度をとっていた。母親は女帝で、若葉はその皇女だと言える立場だった。しかし、凪が帰ってきてから、若葉が持っていた全ては奪われてしまった。若葉は会社に行くことはできるが、二度と会社の経営に関わることはできなくなった。形だけの肩書きすら、もらえることはなかった。母親はそんな彼女に肩書きとしては地位が高くないが、給料が高い役職を与えようとしたが、凪に「お母さん、会社で能無しを養ってはダメだと思うわ。若葉がもし自分の給与より十倍の利益をもたらす働きができないようなら、彼女を雇ってはダメよ」と言われてしまったのだ。凪だけでなく一族の中にも反対する人たちがいた。みんな、凪こそが本物の黛家の令嬢であって、彼女が将来当主の座につくのだから、黛グループの全てのビジネスは凪が統率するべきであって、若葉に手を出させたらいけないと言った。そして結局、若葉は今のように毎日何もすることがなくなってしまった。彼女には何軒か自分名義の家があるからまだマシだった。それは昔彼女が自分の貯金を使って購入した家で、それを貸しに出すことで、毎月数十万の家賃収入があった。そして今、若葉は母親を説得して自分に店舗をいくつか買っ
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第1999話

凪は若葉の叫び声を聞いて足を止めた。そして後ろを振り返って若葉を見た後、少し何かを考えてから、また若葉の前に戻ってきた。凪は身を少し前かがみにして若葉の耳元に近づき、小声で言った。「あの人たちがあなたを可愛がっているからって何?将来、黛家の当主になるのはこの私よ!」凪が晴れて当主となった時には、まず若葉の名字を変えるつもりだ。今後若葉に黛の姓を名乗らせることはない。それから、若葉が黛家で得た全ての財産をゆっくりと一つずつ回収し、最終的に彼女を追い出してしまう計画だ。自分を陥れた人間を、どうしてまだ黛家に置いて、贅沢な暮らしをさせなければならないのだ?両親と兄たちはこの偽物の令嬢と二十年以上も一緒に過ごしてきたから、若葉への気持ちがあって当然のことだ。しかし、凪は若葉には少しの情も持ち合わせていない。だから、若葉を可哀想だとも思わない。凪は大学を卒業してから、自分で会社を設立し、ビジネス界の荒波に長年揉まれ続けてきた。それからやっと黛家の令嬢であることが発覚し、もとの身分へ戻ることができた。ひたすら敵に情けをかけてしまえば、いつか自分はひどい目に遭うということを彼女は身にしみて知っていた。若葉は凪の敵だ。若葉は今の状況に納得いかず、自分と当主の座を争う気であることくらいわかっている。それに父親と兄、その嫁までも若葉に凪と当主の座を争えと唆している。彼らが全員若葉の味方をしているから、本気で自分のことを手助けしてくれるのだと若葉は勘違いしているのだ。しかし、それは大間違いだ。実際は、実の兄たちは凪と若葉を敵対させて争わせ、自分たちは漁夫の利を得ようと企んでいる。そして、黛家に伝わる女性しか当主になれないという規則を変えたいだけなのだ。凪は父親、そして兄とその嫁たちが若葉のほうへ肩入れしていることをまったく気にしていない。別に彼女が感情に疎いというわけではなく、ただしっかりと現実を見ているだけだ。ただ、母親が自分側に立ち、一族のビジネスに手を出す機会をくれるだけでいい。黛一族の中では、ただ当主から認められるだけでいいのだから。母親は凪に対して、表向きは普通であり、周りが感じているように若葉のほうに寄っているようではあるが、実際凪に与えるべきものは全て与えている。それに、凪が見た目は弱虫で簡単にいじめられそうなタイ
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第2000話

凪は薄情な言葉を吐いたが、それは全て事実だった。偽物令嬢であることが発覚してから、若葉の星城社交界における地位は激しく転落してしまった。それはまさに青天の霹靂だった。以前彼女と親交のあった人も、彼女にごますりしていた人も、みんな一気に離れていってしまった。たとえ彼女がまだ星城の社交界で活動でき、黛家から大事にされていたとしても意味はない。このような上流社会に身を置く人間はみんな抜け目のない人間ばかりで、彼女が家族からいくら可愛がられていたとしても、外では誰も若葉の顔を立てることはなくなった。そして、以前若葉がまったく相手にしなかった成金二世の坊ちゃんたちは、今や凪の周りをうろついている。凪は姿勢を正し、にやにやと笑って言った。「これでスッキリした?じゃ、私は家に戻るわ。これからはあんまり私にちょっかい出してこないでね。それに、私が思い通りになる人間だと思ったら大間違いだから!」言い終わると、凪は背を向けて、また屋敷のほうへ歩いていった。その場に立ち尽くしている若葉は、怒りと憎しみに顔色を変えていた。若葉は悔しそうに独り言を言った。「凪、いつか必ず目の前に跪かせて、謝罪させてやる!」……一方、星城の結城グループでは。唯花が片手に花束を、もう片方の手に陽の手を繋いで、会社の前に立って理仁の仕事が終わるのを待っていた。警備員のリーダーが彼女の隣に立ち、何度も話しかけていた。「奥様、本当に中にお入りにならなくてよろしいのですか?社長は奥様が仕事終わりに迎えに来てくれたのを見ると、とてもお喜びになりますよ」唯花は笑った。「いいんです。彼は忙しいから、仕事を終わらせたほうがいいので。私が入ってしまえば、彼は何もできなくなります。ここに私が来たのも、ちょっとしたサプライズなので。ここで彼を待っていて、私がいることに気づいたらもっと驚いて喜んでくれるでしょう」彼女は陽を連れてA市から戻ってきた。飛行機を降りてまっすぐに結城グループにやってきた。あのヤキモチ焼き名人には仕事終わりに迎えに行くと約束していた。しかし帰る時、唯花は理仁に何時に星城に到着するかは伝えていなかった。彼を驚かせたかったからだ。理仁も昼に唯花に電話をして、夕方帰ってくるのを確認すると、それ以降は連絡をしてこなかった。だから、唯花も彼が忙しいのだと
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