「白山社長、おはようございます。結城社長がいらっしゃっていて、中にお入りになりたいようですが」「結城社長には、今日もてなす暇がないから帰ってもらうよう伝えてくれ。今後二度と来るなってな」警備員のリーダーはこうなると予想していた。「わかりました」玲の車はボディーガードの車に挟まれる形で、白山グループへと入っていった。奏汰は自分の車の中から玲の車の列が会社に入っていくのを見て、口角をニヤリと上げて独り言を呟いた。「まったく、この大袈裟っぷりは理仁兄さんと同じだな」普段、玲はマイバッハに乗っていたが、この日はロールスロイスに変えたので、本当に理仁そっくりだった。車を変えたのは、恐らく奏汰の車も同じマイバッハだったからだろう。玲の車の列が会社に入ると、ゲートは固く閉ざされた。警備リーダーが奏汰の車の傍に近寄り、窓に寄って奏汰に申し訳なさそうに言った。「結城社長、うちの社長からですが、おもてなしする時間がないから、帰ってくれとのことです。それに、今後はここへは来ないようにと」そう言い終わると、彼は自分で奏汰に説得するかのように付け加えた。「結城社長、うちの白山社長は男で女性のほうが好みなので、あなたのことは受け入れられないと思います」玲を慕う女性なら星の数ほどいるし、しつこくつきまとってくるタイプも非常に多い。しかし、玲が男にここまでつきまとわれるのは、これが初めてのことだ。奏汰は答えた。「俺はそちらの白山社長が好きなんです。俺は忍耐強い人間ですからね、彼が俺のことをどう思おうが、どう接しようが、諦めずに努力するのみです」そう言うと、奏汰は車を出した。もちろん、そこから去るわけではない。そうではなく、車を会社のゲートの端に移動しただけだった。そうしておけば、誰かの邪魔をすることはない。それから、奏汰は玲に電話をかけた。玲は出なかった。するとまた奏汰は玲にメッセージを送った。【玲さん、中に入れてください。今日は愛のこもった朝食を持ってきました。一緒に食べましょうよ。中に入れずに後で後悔しても知りませんよ】玲はそのメッセージを受け取って、暫くの間眺めていたが、結局は返事をすることにした。【結城社長、これはお願いです。お願いだから俺のことは諦めてください。もう二度と俺の前に現れないでください。あなた
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