All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1971 - Chapter 1980

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第1971話

明凛は答えた。「私が撮ったんじゃないの。別の人が写真に写ってる女のSNSでこれを見つけて、それでそれをスクショして悟に送ってきたの。悟がこれを見てすっごく驚いたらしくて、私に見せるつもりはなかったんだけど。でも、私見ちゃって、それで急いであなたに送ったんだよ。その男の人結城さんかどうか見てもらおうと思って。私が見た感じは体格も後ろ姿もすっごく彼に似てるなって思ったわ」唯花は、夕菜のSNSを見る人の中に、理仁を知っている人がいるのだろうかと思った。しかし、辻家も名家の一つだから、そうであってもおかしくはないとも思った。唯花は言った。「ただ体格と後ろ姿からは確かに理仁に似てるわ。それに横顔も似ているし、だけどこれが彼かどうかは私もわからないわね。それに、彼は浮気するような人ではないし。写っている女にはちょっと見覚えがあるわ、辻グループ社長の一人娘、辻夕菜よ」それを聞いて、明凛はすぐに言った。「唯花、この人、もしかしたら本当に結城さんかも。悟から、結城グループと辻グループは提携関係にあって、そのプロジェクトでは両社にかなりの利益が出るって聞いたもの。最初、結城さんはそのプロジェクトを重視していて、辻社長と提携を結ぶことにして、部下に引き継いだでしょ?それにあなたも、確かライバルが二人出てきたって言ってたよね。そのうち一人は辻グループのご令嬢、辻夕菜でしょ?」実際明凛は理仁が浮気しているなど信じたくはなかった。そして彼女は唯花に言った。「唯花、もしかしたら、結城さんはビジネスの都合で彼女と接触したのかもしれないわ。まずははっきり確かめてみて」唯花は返事をしなかった。この時、明凛は突然後悔し始めた。彼女は写真を唯花に送ってしまったことを後悔し始めたのだ。悟は明凛にすらもこの件は秘密にするつもりでいた。彼女が知って心配し、変なほうに考えすぎると良くないからだ。しかし、明凛はもし理仁が唯花を裏切っていることを知って唯花に伝えずにいたら、なんだか自分が理仁の肩を持っているような気になるので、黙っていることはできなかった。明凛がどんな立場になったとしても、唯花の親友であることは永遠に変わらない。唯花は彼女にとって非常に重要な存在なのだ。暫くの間黙っていてから、唯花が口を開いた。「星城に帰ったら理仁に直接聞くわ。私はこ
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第1972話

「辻夕菜は私のライバルだから、私に任せてって理仁に言ったのよ。その後、そのプロジェクトは他の人に任せて、理仁自身はそれに関わらないことにしたわ。それに、辻社長にあの女のことをはっきりと伝えて注意したんだ。あれから暫くの間、あの女を見てないわ。理仁は、辻社長は娘が勝手な行動を起こさないように見張るはずだって言ってたんだけど、あの日彼女が私のところまで来たの。きっと辻社長自身も知らなかったんでしょうね。じゃなきゃ、彼女も夜遅くに星城を離れるわけないし、だって私に会う約束を捨てたんだから」その話を聞いて、明凛は長いため息をつき、緊張していた声が安堵に変わった。「それを聞いて安心したよ。じゃ、写真の男は絶対結城さんじゃないわ。あなた達二人もここまで来るのに紆余曲折あったんだし。結城さんはあなたのことをすごく愛してるし、とても大事にしてるもんね。もし、それが偽物だったのなら、私は愛ってものを信じられなくなるわ」理仁の性格を考えると、確かに浮気をするようなタイプではない。彼はそのような人間ではない。「これはきっと辻夕菜が仕掛けた罠よ。偶然に思いついたことなのかもしれないけど。たぶん理仁に似ている代役を見つけたんでしょ」ここまで話して唯花はため息をつき、明凛に文句をもらした。「ハイスペックな夫がいると、毎日周りの女性から目をつけられるのよ。理仁は琉生君にヤキモチを焼くけど、私が彼みたいじゃなくて良かったわ。じゃなきゃ、毎日毎日彼のせいでヤキモチ焼きすぎて、たまったもんじゃないから」明凛は理仁を擁護するように言った。「それも彼のせいじゃないでしょ。彼は今まで自分から女性に近づくことはなかったわ。女たちが勝手に近寄ってくるんだもん。あんなにボディガードを連れているのは、女を遠ざけるためでしょ。ライバルが増えるってことは、つまりあなたが幸せ者ってことよ。考えてもみて、こんなに多くの女性が彼を好きで結婚したいって思っているのに、彼はあなたのことしか好きになったことはないし、結婚してあなたを一番に置いてくれてるじゃない。つまり、あなたはこの世で一番幸せな人ってことよ。ハイスぺ男には追っかけがいくらでも出てくるのよ」唯花は言った。「私と琉生君だってこういう状況でしょ。彼はまだヤキモチを焼くのよ。この間のパーティーで彼に会って、挨拶してちょっと世
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第1973話

「ほら、牛乳」悟は明凛の隣に腰かけ、先に牛乳を飲ませた。明凛は牛乳の入ったコップをとると言った。「唯花は結城さんのことを信じてるみたい。あの写真に写ってた女はあの辻グループのお嬢様だってわかったんだよ。ほら、あの辻夕菜とかいう女よ。彼女本当に恥も何もないのね。結城さんと唯花はあと一カ月したら結婚式を挙げるし、二人は結婚してから一年経つわ。星城の人だけじゃなくて、あなた達会社と付き合いがある人で、結城さんが既婚者で奥さんを溺愛しているって知らない人はいないでしょ。それなのに、あの辻っていう女、家まで押しかけてきて、唯花と話したいって言ってきたらしいよ。絶対彼女は唯花が結城さんには相応しくないとか思って、唯花に彼を諦めさせようとしたんでしょうね。唯花にそんな話をするなんて、よくもまあ、そんなことができたものだわ。唯花のどこが結城さんに相応しくないって?確かに唯花は一般家庭出身だけど、結城さん自身も家族たちも誰も彼女を嫌ってないわ。完全に唯花のことを受け入れてる。周りがあれこれ言うのは、単純に粗探しして嫉妬してるだけじゃない」悟は穏やかな声で言った。「君がそれをわかってるだけでいいよ、怒らないで、唯花さんはとても冷静で理仁のことを信じてるだろ。あの写真の男、俺も見て理仁じゃないと思った。最近、理仁は仕事で接待か、隼翔を慰めに行くかで、まったく星城から出てないんだ。あ、いや、数日前よそに行ってたな。A市にいる奥さんに会いに。明凛、それを飲み終わったら、もう休むんだよ」悟は大きな手でたまらず明凛のお腹をさすり、期待に満ちた顔をした。「パパに挨拶して」明凛は牛乳を少し飲んで、笑って言った。「まだ早いわよ。大きくなって胎動が感じられるようになったら、その時また話しかけてよね。その時触ったら、内側から蹴って返事してくれるわ」「めっちゃ楽しみだな。胎動ってどんな感じなんだろ?俺たちの子供はいつになったら動きだす?」明凛は逆に尋ねた。「あなた、あんなに妊娠のことが書いてある本を買ったのに、全然見てないわけ?」悟は言った。「……いや、見たのは見たけど、読んでると夢の世界に連れて行かれるんだ。そんな熱心に本を読むなって夢の世界が呼ぶんだよ」明凛は呆れて彼を見た。「夜は絶対あの本を読み終わるよ。これから毎晩読むことにする。何度も読み
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第1974話

明凛はもう少しで口に含んだ牛乳を噴き出しそうになり、笑いながら悟を責めた。「ちょっと、そんなこと言わないでよ。私がこれを飲み終わるまで待ってて。じゃなきゃ、あなたに牛乳を噴き出しても怒らないでよね。私は太りたくないの。妊娠してても、一番綺麗な妊婦でいたいんだから」出産を終えた後、彼女は時間を見つけてさっさとエクササイズをし、スリムな体型を取り戻そうと思っている。夫の言う、太っても嫌いにならないというその言葉は、ただ聞いているだけでいい。誰だって、自分が綺麗な姿が好きなはずだろう?もし本当に太ってしまったら、初めは彼も嫌な顔をしないだろうが、時間が経てば嫌になってくるかもしれない。そして、外にいる女性たちのほうが綺麗だと思い始めて、心が離れていってしまうはずだ。最終的に、彼は別の女性の男になってしまう。当時、あの俊介も唯月にこのような話をしていた。そして結局どうなった?唯月が太ってしまい、醜くなったと言って嫌いになったではないか。明凛はそのようになりたくなかった。「じゃ、俺も太ってデブになるから、俺のことを好きになる女性はいなくなるよ。君のライバルが増えることはないから」明凛はわざとこう言った。「私は恋のライバルなんか一人もいなくて、簡単にあなたを手に入れたから、まったく勝利した感がないわ」「俺は誰からも好意を寄せられなかったんだよ。ただ明凛、君だけしかいなかったんだ。だから、俺をもらってくれてありがとうね。絶対に一生君を幸せにするし、君しか愛さないよ」賢い悟は妻の言葉の罠にはまることはなかった。もし彼女にライバルを作って、男を奪い合う醍醐味を味わわせてあげるなど言ってしまえば、今夜は穏やかに眠ることなどできない。その言葉を吐いた瞬間、明凛から一蹴りされて追い出され、書斎で寝る羽目になる。妻と一緒に寝るのに慣れている彼は、夜にいちゃつくことができなくても、妻を抱きしめて寝るだけで満足できる。もし書斎で一人寝ることになれば、一晩中寝られなくなる。明凛は、ふふっと鼻を鳴らした。彼女は牛乳を飲み終わり、空のコップを悟に渡した。悟はそれを受け取ると、立ち上がり洗いにいった。明凛も立ち上がり、部屋の中を歩き回った。悟がコップを洗い終わって戻ってくると、彼女が部屋をうろうろしているのを見て尋ねた。「お
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第1975話

「あなたが食べるって言えばいいじゃない。庭で私に何口か食べさせてくれればいいから。私は健康そのものよ、数口くらいなんともないってば。少し食べれば満足するから。今まではこの時期には毎日二回アイス食べてたのよ」明凛のような食いしん坊にとって、何か食べたいと思い浮かんだら、すぐにでも食べに行かないと気が済まない。少しでも待っていられない。悟は黙ってしまった。彼は妻に甘いので、本当に彼女からの頼みを拒否したくなかった。しかし、訪問医から妊娠期間中はできるだけ体を冷やさないようにしたほうがいいと言われている。「明凛、子供の名前はまだ決めてないだろ。何かいい名前思いついた?」悟はここで話題を変えることで、アイスクリームが恋しい食いしん坊の明凛の注意をよそに向ける作戦に出た。もし、今の彼女が食べていいものなら、いくらでも彼はあげたいと思っている。控えたほうがいいものは、心を鬼にして、できるだけ拒否しよう。「子供の名前を決めるのはまだ早いわ。もうすぐ生まれるって時に決めても遅くないし。それに、今は男の子か女の子かわからないじゃない」「男の子と女の子の名前をそれぞれ決めておけばいいじゃないか。そうすればどちらが生まれてきても、名前はすぐ決められるから」「そうやって私の意識を他に向けさせようとしないで。悟、ねえってば、数口だけでいいから、アイス食べさせてよ」明凛も馬鹿ではない。悟がわざと話題を変えたことくらいわかっている。そして彼女はまた元の話題に戻した。悟は言った。「……母さんに怒られた時は、俺を庇ってくれよ」「もちろんよ、そんなことにならないわ」「本当に何口かだけだね?」明凛は頷いた。「そうよ」一口、二口、三口……、いくらでも何口と言えるだろう。悟は小声で言った。「まずは庭で散歩して十分くらい経ったら、アイスを取りに家の中に戻るよ。外を歩いて暑かったから食べたくなったって言い訳できるからさ」明凛は頷いた。明凛は彼が自分の口を満足させてくれると、頼みを叶えてくれるだけでいい。妊娠して、何かを食べたいと思ったら、それが余計に恋しくなって、すぐにでも口の中に放り込みたくなってしまう。妊娠すると、みんなこうなるらしい。普段好きではなかったものまで、妊娠すると好きになったりするのだとか。そ
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第1976話

「それならいいや」悟は足を止め、体の向きを変えて外に歩いていった。家にアイスクリーム自体がないなら、これでいい。別に明凛に食べさせないわけではなく、そもそも家に置いてないのだからどうしようもない。明凛は義母がアイスクリームや冷たい飲み物を全て処分してしまったと聞き、ただ味を想像するしかなかった。実家に戻っても、食べることはできない。彼女の両親は九条家よりも管理が厳しい。九条家は敷居の高い家柄なのに、明凛がどうにか名家に嫁ぐことができたし、九条家はみんな彼女に良くしてくれている。両親は明凛に自分が十分幸せ者なのだと自覚させ、妊娠期間はちゃんと子供のことを考えて行動するべきだと思っていた。無事に健康な子供を生んで、娘を大事にしてくれている九条家に喜んでもらいたいのだ。それで両親は誰よりも明凛のお腹にいる子供のことを重視していた。それなら明日本屋に行って、こっそりアイスを買って食べようと彼女は考えた。「明日の昼、アイスを買って持って行くよ。昼は一番暑い時間帯だから、ちょっとくらい食べてもいいよ。だけど、自分で買いに行ったらいけないぞ」悟のその言葉が、こっそり食べようと思っていた明凛の考えを消し去った。悟はボディガードを毎日彼女につけている。彼が彼女の安全を守るためだとわかっているが、彼女には監視されているような感覚を与えてしまっている。何をするのも、二人のボディガードがいつも見ていて、小さな出来事でも悟に伝えてしまう。この時、明凛は唯花が当初、理仁からボディガードをつけられるのを嫌がっていたのが理解できた。「唯花に妊娠する前に思う存分アイスを食べておくように言っておくわ。妊娠したら、見ていることしかできないもの」悟は言った。「理仁もいつになったら父親になれるかわからないな」明凛は言った。「昨日の夜夢で、唯花が妊娠して女の子を生むのを見たのよ。私たちは男の子。それで彼女に私たちの子供同士結婚させようって言ったら、すんなりオッケーしてくれたわ。きっと、彼女ももうすぐ妊娠するのよ」悟は言った。「明凛、夢は現実とは真逆だって言うぞ。彼女が女の子で、君が男の子を生む夢なら、現実は彼女が男の子で、君は女の子を生むってことだ。まあ、それでも子供たちが結婚するのは問題ないけど。明日理仁のところに行って、あいつに伝
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第1977話

悟は笑ながら、明凛と賭けをした。「賭けでもしようか。理仁たちに子供ができたら、第一子は絶対男の子だ」明凛が言った。「……私はあなたとの賭けは気持ちがすすまないわね」なんだか勝算がない気がするのだ。「賭けなんてやめておきましょ。結城家は何代も女の子が生まれなかったから、唯花に第一子に女の子が生まれるとは保証できないもん。それに男女両方生まれるとも賭ける勇気はないわ」明凛は自分が賭けの勝負をすると、おおかた負けるだろうと思った。「明凛、もっと大胆に賭けをしようよ。俺が勝ったら君にジュエリーセットをプレゼントする。俺が負けたら、君に二セットあげるよ。君が損することはないだろ」明凛は思わず笑い出した。「それって賭ける意味があるの?そんなに賭けをしたいっていうなら、じゃ、一回だけね。私は唯花たちには男女どちらも子供ができるって賭けるわ。私が勝ったら、私が欲しいものはなんでもちょうだい。負けたら、私が何かあげるから」悟はすぐにその賭けにのった。そして悟は言った。「じゃ、俺は理仁たちには二人子供が生まれて、どちらも男の子な」実は、彼がこのように賭けの話をしたのも、妻がもうアイスを食べたいと思わないように意識を他に向けさせるためだった。こんな夜にアイスを食べるのはよくない。「第一子と第二子がどっちかってだけ賭けるの?だけど、唯花もきっと二人の子供しか生まないと思うし、それでもいいわね」明凛は親友のことはよくわかっている。彼女は子供二人を生むだろうが、三人生む確率は低い。いくら結城家に子供を養うお金が十分あったとしても、唯花は三人も生みたくないはずだ。一人っ子では、唯花はきっと足りないと感じるはずだ。だから、二人生む可能性が一番高い。まさか親友がアイスを食べたいと思ったことから、夫婦でこのような賭けをしだしたことを、もちろん唯花は知らない。唯花は明凛と話した後、受け取った写真を理仁に転送した。夫婦の間に何か誤解があるなら、唯花はすぐにでも解決するほうがいいと考えていた。ずっと黙っていれば、そのほうが誤解が深まってしまう。理仁は妻からその写真を受け取った時、ちょうど商談を終えて家に帰っているところだった。帰り道であの写真を見て、理仁はかなり焦った。彼はすぐに唯花に電話をかけた。唯花が出ると、彼は急いで説明した。
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第1978話

「辻さんがこの写真をSNSにアップして、あなたの知り合いがそれを見て九条さんにスクショして送ってきたんだって。だけど、これってなんだか何かの罠な気がする。ただ写真を見ただけだと、確かにあなたに見えるけど。理仁、この件は、どういうことなのかはっきりさせてから動きましょ。まだ証拠もなにもない段階じゃ、衝動的に辻さんのところに文句つけたりしたらダメよ。だって、あの写真の男はあなただなんて彼女も言ってないんだし。明凛が九条さんのほうでその男が何者なのか調べるって言ってた。私がわざわざあなたに伝えたのは、これを利用して私たち夫婦の仲を割かれないようにするためよ。私がちょうど星城にいない時に、この写真が流出してきたんだし。もし私が考えずにすぐ行動に移す人間だったら、この写真を見てすぐにあなたを誤解して、私が不在の隙に浮気してるって思ってしまうでしょうね」理仁は声を低くして言った。「唯花、俺は衝動的に動いたりしないよ。きちんと調べ上げてから行動しないとな。辻社長は近頃海外出張で、会社にはいないらしい」理仁は互いの会社が進めているプロジェクトからは退いているが、辻社長の近況については知っていた。そもそも辻社長が出張しているから、夕菜も堂々と唯花のところに来て話そうとしたのだ。「知ってるわ、この間彼女が私のところに来た時にあなたから聞いたから」辻社長は物事をきちんと見極められる人間で、娘が理仁を好きになるのには反対している。それは理仁が既婚者であるからだ。辻社長は自分には娘一人しか子供がおらず、何も大きなトラブルがなければ、夕菜は無事に辻グループを継ぐことができるし、プライドの高い女性だから誰かの男を奪う必要などないと思っている。彼ら辻家は好条件が揃っているので、娘が結婚したいと思う相手であればすぐに見つかるはずだ。「仕事は終わった?」「うん、今帰る途中で、君から写真が送られてきたものだから、驚いて冷や汗かいたぞ。唯花、俺が君が不在の時に浮気してるんじゃないかって疑わないで俺を信じてくれてありがとう」唯花は笑って言った。「あなたがそんなにすぐ浮気をするようなら、私と結婚することはまずないでしょ」彼らが結婚する前の独身の期間に、どのような女性が欲しいと思っても、誰からも責められることはない。それでも、彼は若い女性を遠ざけていた
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第1979話

「家に帰ったら、早めに休んでね。私はもうすぐ帰ってくるから」唯花はそう夫に注意した。理仁はわざと切なそうな声を出した。「唯花、俺、もう少しで君から誤解されそうになったんだよ。早めに帰ってきて傍にいて、慰めてくれよ。今すごく傷ついているんだから」こんなに一人の女性に一途な男を、誰かが利用して浮気野郎に仕立て上げようとしたのだ。それは嫌な気になるはずだ。だから理仁は妻に傍にいて、慰めてもらいたかった。唯花は笑って言った。「わかったわ、明日の夜、陽ちゃんと一緒にそっちに帰るね。おばあちゃんは一緒に戻るかどうかはわからないけど」理仁は自分の祖母に文句をもらした。「もうあんな年なのに、一日中あちらこちらに飛び回って、人の話も聞きやしない。もし、あと十歳ばあちゃんが若かったら、世界中を荒らしていることだろうね」「困った孫が多いから、代わりに結婚相手を探すのに苦労するってこの間言ってたわよ」彼は文句を言えなくなった。なぜなら、彼もその困った孫の一人だからだ。妻の唯花だって、おばあさんが彼を思って探してくれた相手だ。「明日の朝は無理なのか?」「遥さんと、子供たちを連れて動物園に行く約束しちゃってるからね。陽ちゃんがすごく楽しみにしているし、もし行かないなんて言ったらすっごくがっかりすると思う。明日の夜だって予定より早めに帰るわけでしょ」理仁は唇を尖らせて言った。「いつも俺の気持ちを考えずに、他の男を優先するよな。陽君は大人になったら結婚して奥さんをもらうんだぞ。そうなったらよその家の男になるんだから、彼に優しくしてやっても、つまりわざわざ他人のために世話してやってるようなものだぞ」唯花は失笑して言った。「ヤキモチ焼きすぎよ」「そうさ、俺はヤキモチ焼きだ。君が他の男に優しくしてるのを見ただけですぐに焼き始めるからな。それが大人だろうが、子供だろうが、俺以外の男なら、嫉妬心むき出しにするぞ」「ヤキモチ焼き過ぎて、焦げないようにね」「焦げたら君にくれてやる」唯花は笑って彼を諭した。「そんな話しないでよ、陽ちゃん、今傍にいるんだからね」それを聞いた瞬間、彼はまた嫉妬心を燃やした。「明日の夕方、音濱岳邸まで迎えに行くよ」唯花はそれを拒否しなかった。「じゃ、ここで終わりにしよ。陽ちゃんと寝るから」「
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第1980話

井上マネージャーも微笑んだ。「結城社長、おはようございます。社長、昨夜頼まれた今朝の件ですが、すでに準備いたしております」そう言いながら、彼は花束といくつかの袋を奏汰に差し出した。奏汰が玲に琴ヶ丘から薔薇の花を空輸したと言っていた話は本当だった。しかし、あれは白山グループの前に敷き詰めるために使ったもので、普段玲に渡す花束はやはり柏浜で買う必要があった。彼は柏浜に存在する花屋は自分に薔薇を売ってくれないことはわかっている。でも、花を手に入れるのは難しいことではない。ホテルの従業員に頼んで、花束を買ってきてもらっても同じことだからだ。それで、こんなに朝早くに花束を奏汰に買って持ってきたのだ。奏汰はその花束と袋を受け取ると、井上にお礼を言った。「そんな、社長、とんでもありません。今後何か必要な事がございましたら、なんなりとお申し付けください」奏汰は普段からあまり柏浜に来ることはない。ホテルの管理者層たちが奏汰に気に入られたいと思ってもなかなか機会がやって来ない。こうやって、奏汰を手伝う機会が巡ってきたのだから、それは願ってもないことだった。それに彼は口が堅いので、絶対に社長から指示されたことを誰かにもらすことはない。「ありがとう。何かあったらまた連絡させてもらうよ。それじゃあ、井上さんの邪魔にならないように、俺はこれで失礼するから」奏汰は井上に頼んで花束とワンピース、それにヒールの靴を買ってきてもらった。それから二人分の朝食も包んで持ってきてもらっていた。花束とワンピースにヒールの靴、それは全部玲にあげる朝のプレゼントだ。これは「朝の」であって、「昼の」プレゼントまである。朝食も、玲のために用意したものだ。彼は玲と一緒に朝食をとるつもりだった。奏汰はホテルを出ると、まず、斜め向かいにあるグラン・エデンの前に停めてある自分の車の前まで行った。昨夜は酒を飲んだので運転することができず、車はそのままそこに駐車しておいたのだ。そして数分後、あの玲の視界に入ったら彼女が壊してしまいたいと思うマイバッハがグラン・エデンの駐車場から出てきた。この時の奏汰は非常にご機嫌で、鼻歌まで歌っていた。白山グループに到着したが、警備員にとめられて、彼は車で会社の中に入ることができなかった。「結城社長、申し訳ございませんが
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