「神崎さん、おめでとうございます」咲は笑ってベッドの前まで来た。理紗も笑顔で返した。「柴尾さん、ありがとうございます。どうぞ座ってください」理紗はそう言いながら、咲の体を支えて座らせようとしたが、咲は自分で近くにあった椅子を引いてきて座った。理紗は咲が自然にその動作をするのを見て、今泣き喚いている子供のことなどすっかり頭から消え、咲に尋ねた。「柴尾さん、もう見えるようになったんですか?」彼女は依茉が咲の目を治療しに来ていることは知っていたが、今どれほど治療が進んでいるのかまでは知らない。妊娠後期になって、理紗は病院へ検査に行く以外は、特に外出はしていなかったし、玲凰も他人の話をすることは滅多になかった。この間、姫華から依茉は咲の目を完全に治療できると自信があるという話を聞いていた。それで理紗も姫華にそこまで自信があるならきっと大丈夫だろうと返事をしていた。咲はとても不幸な境遇の人だから、みんな彼女の視力が回復することを願っていた。「はい、目の前のものならはっきり見えるようになったんです。遠くはまだぼんやりとしていますけどね。かなり近視な人と同じくらいの視力だそうです」咲は穏やかにそう答えて、また理紗に言った。「神崎さん、早く横になられてください。出産したばかりだから、座っていると痛いでしょう?」「見えるようになって本当に良かったですね。焦らないで、ゆっくり回復していけばいいと思います。私は大丈夫。この子ったらいつも泣くんです。夫じゃ、あやすことができないから、オムツを確認しないと」咲の目が見えるようになったことを知り、理紗はとても喜んだ。玲凰が子供を抱いたまま近づいてくると、彼女は子供を夫から受け取ってベッドの上に寝かせてからオムツを確認した。「あら、やっぱりね。玲凰、オムツを変えなくちゃ。この子ってすごく綺麗好きみたい。うんちしたらすぐに泣き出すのよ。ウェットティッシュじゃなくて、お湯でお尻を洗ってあげないと、気持ち悪くて寝てくれないのよね」二人とも新米の親だが、理紗のほうが玲凰よりも赤ちゃんの世話に慣れてきている。玲凰はオムツを持ってきて、息子がうんちをしたのを見ると、またすぐに洗面器にお湯を入れて、タオルを浸して絞った。理紗が息子のオムツをとると、彼は優しい声で言った。「貸して、お湯で
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