咲はいずれ義母になる薫子を見た。薫子は咲が自分をそうやって見つめている意味を理解し、可笑しくなって軽く咲のおでこを押して言った。「そんなふうに私を見つめなくていいのよ。体調を整える、整えないっていう話以前に、本当に不妊だったとしても、嫌いになったりしないからね。もし、そんなことを気にするような人間なら、辰巳があなたのことを口説くのに反対していたわ。二人の仲が深まるのを黙って見続けることだってなかった。咲さんのことを知った時、あなたはまだ目が見えなかった。おば様が十年もお医者さんを探し続けたのに、見えるようにならなかったのよね。私はね、息子が好きな人なら、あなたがどうであっても私はそのまま受け入れるの。嫌いになったりしないから。たとえあなたが男だったとして、辰巳が好きになったとしても、受け入れるわよ」その言葉に咲は感動して言った。「お義母さん、ありがとうございます。家庭の温かさと、母親の愛がどんなものなのか、私はようやく感じることができました」義母となる薫子は咲を自分の娘のように可愛がっている。「息子のお嫁さんなんだから、誰よりも大事にするに決まっているわ。咲さん、何も負担に感じることはないよ。先生のことも、私たちのことも信じてちょうだいね」すると咲は力強く頷いた。もちろん、咲はみんなを信じている。女性三人はおしゃべりをしながら母屋の玄関先まで歩いていった。その時、辰巳は玄関の前で待っていた。買って来た物は、全て家の中に運び終わり、辰巳は咲が来るのを待ってから、彼女と一緒に奏汰の父親に渡すつもりでいた。「おばあ様は家にいない?」咲は辰巳が玄関の前で待っているのを見て、彼に尋ねた。咲は何度も琴ヶ丘に来たことがある。結城家の若者たちとおばあさんが特に関係が良いことを知っている。おばあさんが家にいるなら、普通彼らはみんなおばあさんに付き添っておしゃべりをしている。「ばあちゃんなら少ししたら帰ってくるよ。俺に料理をしとけって」辰巳は自然な動作で咲の手を握って笑った。「なんだか、家に仕事しに帰ってきたみたいだ」「手伝いが必要ならいつでも言って」唯花は辰巳の言葉に続いて言った。「理仁が家で暇そうにしているから、彼に手伝わせてもいいわ」「お父さんだって暇よ。栄達さんも学さんも暇にしてるだろう
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