Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 2551 - Bab 2560

2636 Bab

第2551話

警備員は鈴がゲートの前で大声で騒いでいるのを見ると、また執事に電話をかけて指示を仰いだ。「さらに騒ぐようなら、追い払っていい」「わかりました」祐一はこの状況を見て、総司に言った。「なんで鈴を煽るようなことをするんだ。鈴に騒がれて結城家を怒らせたら、俺たちだって良い事ないんだぞ」総司はイライラした様子で言った。「今の俺らに何も恐れるもんなんてないだろ?会社も家も車も何もかもなくしちまったんだ。これ以上何も奪われるもんなんてあるか?仕事もクビにさせようってか?そんならペットボトルでも拾い集めて売って金を稼いでやる」「それすらもできなくなったらどうすんだよ」祐一は大きなため息をついた。「お前だって向こうのやり方がわからないわけじゃないだろう。ほら、鈴を連れて山をおりるぞ。こんなところでああやって大騒ぎさせたままにするとやばいって」総司は口を閉じて何も言わなかった。「俺たちはまだ鈴を使って咲と対抗しないといけないだろ。鈴だけが正統な理由で対抗できるんだ。俺たちはただの親戚で、本家の子供とはやり合えないんだからさ」祐一の説得を聞いて、総司はやっと彼とともに再び鈴を黙らせて強制的に引きずっていった。そして今度は二人で鈴を連れて下山していった。鈴は女で力はなく、従兄たちに敵うはずもなかった。暫くは腕を掴まれて引きずられていたが、それではきついから途中から二人におとなしくついて行くと約束して手を放してもらった。鈴は今の自分は彼らにとって何もメリットがないから、以前のように彼らがご機嫌取りをしてこないことがわかり、おとなしくついて行くことにした。鈴が琴ヶ丘にまで押しかけて騒いだことが、辰巳の母親である薫子の耳にも入った。嫁の咲が鈴に会いたがらないことを知っていて、薫子も鈴をほったらかしにしておいた。それに誰もこの琴ヶ丘で騒ぎ続けることなどできはしないから、数分も経たずに自然と静かになるだろう。こうやって楽しい週末は過ぎていった。月曜日。琴ヶ丘でゆったりと過ごした若者たちは、日曜日の夜に琴ヶ丘から市内に戻っていった。朝七時半、咲は車で花屋を見に行こうとしていた。午後は会社に行くため数日留守にしなければならない。彼女は花屋で花束を作って結城グループに行く予定だった。数日出張しないといけないから、辰巳の
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第2552話

鈴は昔すでに咲が意外と力があるということを思い知らされていた。咲は昔から母親の命令で家事の多くをこなしていたので、力だけはついていたのだ。咲が手を離そうとしないので、鈴はもう片方の手を伸ばして、咲の手をほどこうと思ったが、その時急にまた力が強くなり手首をひねられてしまった。その痛みに鈴は叫び声をあげた。「咲、いえ、お姉さん、お姉さんってば、もう悪口言ったり、叩いたりしないから。放して、手を放してよ、痛い、痛いわ!」鈴はあまりの痛みに負けを認めた。咲は鈴が泣きながら懇願してきたのを見て、暫くしてからやっと手を放してやった。鈴は手を引っ込めると、ふるふると震わせていた。ひどく手首をねじられてズキズキと痛む。手首は真っ赤になってしまった。このめくら、一体いつの間にこんなに機敏な動きができるようになったのだ?目が見えないはずなのに、一寸の狂いもなく、正確に手首を掴んできた。鈴は涙目で、車の中にいる姉を恨めしそうに睨みつけていた。もはやその鋭い眼差しで相手に穴でも開けてしまえそうなくらいだ。「咲、ここは私の家なんだから、私が帰るのは当然のことでしょ。どうしてうちの使用人たちを全部変えて、私を中に入れようとしないわけ?」この時、咲が車から降りてきた。彼女は車から降りると、ぐるりと車体を回って鈴の前までやって来た。鈴は、咲が車を支えにせず、とても自然に歩いてくるものだから、咲を見つめて完全に呆けてしまった。もしかして、目が見えるようになったのだろうか?おばから、結城辰巳がなんたらとかいうすごい医者に咲の目を診てもらったと聞いたが、すでに完治しているのだろうか?その医者はそこまですごい腕なのか?咲は十年もの長い間目が見えず、優しいおばの裕子が走り回って医者に治療方法がないか尋ねても治せなかったというのに、その名医の弟子とやらは、こんな短期間で咲の目を治療できたと?鈴は探るように、咲の目の前で手を横に振ってみた。咲は静かに彼女を見つめていた。「やっぱり、前と変わらないじゃない。見えてないんでしょ?」咲は黙っていた。咲は答えず、鈴の判断に任せた。「ちょっと、咲、あんたの目が見えても見えなくても関係ない。この家は私の家よ。私は家に帰るの。だから、追い出すことはできないはずよ。それに、あ
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第2553話

「お父さんは亡くなる前に遺書を残していたわ。結婚前の個人財産は全て私に譲るって。あなたの母親が私がまだ幼かったから、私の財産を全て奪っていったのよ。それに、あなたの母親と私のお父さんが結婚してからの共有財産なら、半分をさっさとあの人は持っていってるわ」咲の父親が亡くなった時、彼女はまだたった二歳だった。しかし、父親がその遺書を残す時には多くの人に証人になってもらっていた。みんなは咲の父親が若いのにどうして遺書などこんなに早く残すのか理解できなかった。おばの裕子は、咲の父親は娘のことをとても愛し大切に思っていたから、若いうちから遺書を書いたのだと言っていた。彼は自分が結婚する前の個人の財産と、結婚後の夫婦共有財産の半分を咲のために残した。柴尾邸は祖父母が咲の父親が結婚して暮らすために用意した屋敷だ。だから、それは父親個人の結婚前にできた財産であり、咲が相続する権利がある。それから柴尾グループの株に関して、それも父親が結婚前に持っていた個人財産であり、咲のものだ。確かに昔の柴尾家は今のようにかなりのお金があったわけではないが、それでもお金に困っていたわけではない。咲の父親の個人財産の価値は、今では昔より何倍にもなっているはずだ。鈴は咲の堂々とした反論に対し、信じられない様子で考えていた。両親がずっと暮らしていた家は咲のものだった?そんな話今まで聞いたことがない。こんなに大きな屋敷が、まさか咲一人だけのものだというのか?暫くして、鈴はやっと冷静さを取り戻し、やはり信じられずに言った。「そんなバカなことがあるわけないでしょ。私はここで生まれて育ったの。だから、ここは私の家よ。いつあんたの家になったわけ?嘘つき、私の家を占領するために、適当な話をでっち上げてるんでしょ」「あなた、あの二人の部屋の鍵は開けられるでしょ?この家の不動産権利書ならきっとあの部屋の金庫に保管されているわ。その金庫を開けて取り出して見ればわかる話よ」咲は父親が残した遺書の内容は知ってはいたが、家の不動産権利書は彼女の手元にはない。裕子から、咲は当時たった二歳で、父親が生前、家の権利書には彼女の名前を入れているが、幼かったため、権利書はきっと母親が持っているのだろうと聞かされていた。咲はずっとその不動産権利書を実際に見たことはなかった。そもそ
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第2554話

咲は体の向きを変えて、車を支えにしながらドアまで行くと、また車に乗って運転手に頼んだ。「玄関まで送ってちょうだい」そして執事に言った。「彼女に、私の後について来るように伝えて」鈴は咲が手探りで車の中に戻るのを見ると、目が見えているのではないかという疑いを消してしまった。これで何も心配などない。まずは自分の携帯と銀行カードを取り返してからだ。そして数分後。二人は前後になって二階にあがっていった。鈴は前を歩いた。咲が考えを変えて、使用人に自分を追い出すように命令するのではないかと恐れていた。今、家の使用人たちは全員咲が変えてしまったから、鈴の言うことを聞く人は一人もいない。鈴はさっさと自分の物を持っていかなければと考えていた。咲はゆったりと歩いている。その時、辰巳から電話がかかってきて、階段の途中で長々と彼とおしゃべりをし始めた。暫くしてからやっと咲は電話を切って二階にやって来た。咲が二階にあがった時、鈴が部屋から出てくるのが見えた。鈴は刑務所に入る前に買った新作のエルメスのバッグを提げている。聞くまでもなく、部屋に戻ってまずは自分の物を取り返したのだ。どうやら、ここ二日ほど携帯もお金もなく、大変な思いをしたのだろう。咲はただ瞳を光らせて、鈴がそれらを持っていくのを見ていた。鈴の銀行口座なら、咲がすでに止めてしまっている。だからそれを持っていっても、何も買うことなどできはしない。鈴はまだ若く、仕事もしていないから収入などない。彼女の両親が渡した銀行カードは小遣いをあげるためのものだった。そして、会社から毎月彼女のカードにかなりの金額が振り込まれていて、贅沢三昧をしていた。それを咲が柴尾グループを引き継いだとたんに、鈴の銀行口座を凍結させてしまった。すると鈴は得意そうな顔で咲を一瞥し、偉そうな口ぶりで話し始めた。「ねえ、そこのめくら、もうすぐあんたが負けを認める時間よ。一体誰がこの家から追い出される立場なんでしょうね?」咲は無表情で言った。「不動産権利書を見れば、すぐに答えがわかるわよ」「待ってなさい、今取ってくるから」鈴は大股で両親の部屋に行き、咲がいる目の前で暗証番号を入力した。どのみち咲は目が見えないからいいだろうと鈴は思っているのだ。入力が終わると、鈴はドアを開
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第2555話

鈴は不動産権利書に咲の名前を見つけた瞬間驚いた。この家は本当に咲のものだったわけだ。それなら、確かに鈴一家は咲の家を勝手に占領して住んでいたことになる。鈴は両親には他にも持ち家があることは知っていたが、敷地面積はこの柴尾邸ほど大きくはない。一家全員でここには住み慣れていたし、咲は家では透明人間のように存在感はなかった。使用人たちですら咲をいじめていたし、たとえこの家が本当に咲のものだとしても、誰も気にしないだろう。この時、咲が手を伸ばして鈴からその不動産権利書を奪った。そしてすぐに執事に電話をかけて指示を出した。「今すぐ数人連れて二階にあがってきて、今から鈴を追い出して」「ちょっと、あんたね……誰がこの家があんた名義だって言った?その不動産権利書にはお母さんの名前が書かれているから、この家はお母さんのものなの。つまり、私の家だってこと。出ていくべきはあんたのほうよ」咲は表情を変えずにただ鈴を見つめて言った。「鈴、私の目はもう先生のおかげで治っているから見えるの。まさか私は文字を読めないとでも思ってる?不動産権利書にははっきりと私の名前が書かれてあるじゃないの。あなた達一家が私の家を勝手に占領して、一円も家賃を払ってなかったのよ。あなたの部屋の物は持って行ってはダメよ。それを二十年分の家賃として差し押さえておくわ」その言葉に鈴は大きく目を見開いた。「咲、あんた目が見えているの?」このめくら、その目に光を取り戻していたのか。あんなに多くの医者が診ても治すことができなかったというのに、なんたらとかいう名医の弟子はここまですごい医者なのか。まさかあの咲の目に光を取り戻すことに成功するとは。ということはつまり、咲はずっと目が見えないふりをしていたと……「この!私を騙したわね!」いくら馬鹿でもここまで来ればわかるだろう。咲は目が見えていることをまずは伏せておいて、鈴にまだ咲は見えていないと思わせておいた。そして鈴が両親の部屋の鍵を開けて中に入るのを待ち、金庫を開けさせて、それらの暗証番号を手に入れるのが目的だったのだ。鈴はまったく警戒心なく暗証番号を入力する時も咲が隣にいるのにお構いなしだった。きっとその時に咲は完全に暗証番号を記憶したはずだ。このめくらは記憶力だけはいい。目が不自由な時、歩くの
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第2556話

鈴は必死に抵抗して現金を奪われないように守ろうとしたが、一人では二人の使用人の力に敵うはずもなかった。一体咲はどこからここまで力のある使用人を見つけてきたのやら。一千万近くある現金は全て没収されてしまった。「ここは私の家なんだから、うちにあるものは全部私の財産に決まってるでしょ。鈴、ドアを開けてくれてどうもありがとうね。そのバッグは要らないから、あなたにあげる。ドアを開けてくれたお礼とでも思ってちょうだい」その瞬間、鈴は咲の首を絞めて殺してやりたいと思った。このバッグは自分の金で買ったものだというのに、恥一つないこの女は「あげる」と言ってきた。「そうやって睨み続けるなら、そのバッグも返してもらうわよ。自分で出ていく?それともこちらから誰かにあなたをつまみ出させてあげようか?」咲はそう軽く笑いながら言っていたが、鈴の耳には身も凍り付くような冷たさに聞こえた。二人のおばは、一番残酷でひどいのは咲だと言っていた。この時、鈴はようやく多くの教訓を得て、理解した。実の妹に対しても、一番情けの欠片もないのは咲だったのだ!「自分で出ていくから構わなくて結構。咲、柴尾家の全てがあんた一人だけのものってわけじゃないんだからね。私とお父さんとお母さんのものは、必ず取り返してみせるから」鈴はそう言いながら、自分のバッグを抱きかかえて、息を切らしながら外に駆けていった。裁判を起こして、財産分与させてもらう!咲は別に鈴が財産争いのために裁判を起こすことなど怖くもなく、ただ笑っていた。柴尾家の全ては、この時すでに咲の手にある。鈴が両親の財産を裁判を起こして取り戻そうとしても、教えてやろう、柴尾グループ内の違法な行為を行っていた会社こそ鈴の両親のものだ。すでにそれらの会社には警察の調査が入っており、そうではない会社の株のほとんどが咲のものになっている。それに鈴のものになった財産も流星と分割することになる。だから最後に彼女の手に残る財産など、彼女が思っているよりも、かなり、相当、ものすごく少ないのだ。その事は今は伏せておいて、鈴へのサプライズにしてやろう。将来鈴のものになる少ない財産では、そう長くは持たないはずだ。それを使い果たした時、鈴にまだ何ができるというのか。いくら騒いだとしても無駄だ。裁判ではっきりと彼女の財産は分けら
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第2557話

河野夫人に電話が繋がらないとわかり、鈴はその後朱美に電話をかけた。朱美が電話に出ると、鈴はすぐに話し始めた。「朱美おばさん、私の物は取り返してきたの。お金があるからマンションの部屋を借りてくれないかしら?まずはそこでとりあえず暮らして、咲と財産分与の裁判を起こして、大金が入ったら家を買うから」鈴が自分の物を取り返したと聞くと、朱美は尋ねた。「家には入れたの?入れたんなら、どうしてまた出てきたのよ。あのお屋敷で暮らすほうがいいじゃない。部屋を借りたらまた余計なお金がかかるんだし」鈴は暫く黙ってからまた口を開いた。「おばさん、後で直接会って説明する。おばさんが思うほど簡単じゃないの。まずはガソリンが切れそうだから入れてくる。その後そっちに向かうから。樹里おばさんと祐一兄さんたちにも声をかけておいて。お昼は私がみんなにご馳走するわ。ここ二日、お兄さんたちも私の手助けをしてくれたし。私って性格が悪くてわがままだけど、恩は忘れない人間だよ。おばさんたちが私のためにいろいろしてくれたこと、ちゃんと覚えてるんだから。今の私は惨めだけど、でも、財産を取り戻したら、絶対にみんなを元通り、お金持ちで幸せな生活にしてあげるからね」机上の空論なら誰だってできる。ただ、鈴がこう言うのも、自分が裁判を起こして財産を取り戻し、少なくともまた大金持ちに戻れると信じているからだ。金なら腐るほどあるのだから、おば二人に少しくらいあげても構わないし、従兄の二人にまた仕事を紹介してあげられると思っている。鈴はビジネスのことなど全く知らない。柴尾グループを取り戻したところで、信頼できる人に会社の経営を手伝ってもらわなければならないのだ。だから鈴はこう考えた。二人のおばの子供たちは昔から自分に良くしてくれていた。それがたとえご機嫌取りをするためであったとしても、彼らは柴尾グループで長年働いていたから、自分よりも経験値は上だ。会社を取り戻した後は、従兄たちに会社を任せて、自分はいくら儲かっているか数字だけを見て、金を使っていればいい。そうすれば楽に贅沢な暮らしができる。鈴は咲のようではない。目が見えない時でも自分で会社を経営していた。今は見えるようになっているから、目が見えない時よりもさらに多くの業績を上げていることだろう。鈴は自分の家に一体どれほどの
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第2558話

鈴の母親である加奈子は恐らく生きて刑務所から出ることは不可能だ。朱美は心の奥深くで加奈子のことを嫌っていた。美しい加奈子は災いのもとだと朱美は思っていた。まずは弟と結婚して殺害し、今度は兄と結婚したが、その兄も刑務所送りになってしまった。弟の死に兄も関与はしているものの、そもそもの原因は加奈子だった。兄は加奈子と堂々と一緒になるために、手を組んで弟を殺した。この時朱美は、咲に報復できればいいのだがと思った。咲は今では結城辰巳の婚約者になり、あの結城家の後ろ盾を持つようになってしまった。朱美たちにはそんな咲に仕返しするようなチャンスも度胸もない。朱美は心の中で何度もこの姪をクソ女だと罵って、どうにか怒りを発散させた。鈴が柴尾家を出てからどこへ向かったか、咲はだいたい予想できたが気にしなかった。尾崎家と黒川家に鈴の全てを搾り取ってもらえばいい。以前、あの二人のおばは金持ちだったが、実家である柴尾家のほうからも金と利益を得ようとずっと考えていた。それが今ではバイトで生計を立てる生活に様変わりしてしまった。裕福な暮らしに慣れ過ぎている彼らは、夢の中でも金持ちだった頃の生活を見ている。鈴が彼らに手助けを求めれば、彼らにとって鈴は格好の餌食ではないか?鈴が裁判で得られた少ない財産は尾崎家と黒川家に綺麗さっぱり吸い取られてしまうだろう。その時互いにつぶし合う様子を咲は高みの見物をしていればいい。咲は弟には、自分が得るべき財産は少しも鈴たちに渡すつもりはないと伝えてある。咲のものでないなら、手をつけることはしない。咲は以前母親が住んでいた、この広くて豪華な内装の部屋を見つめていた。本当の家の持ち主である咲は家政婦と同じ部屋に押し込められていた。そして咲は執事に指示を出した。「この部屋を綺麗に片付けて。ここはリフォームするから」以前母親と継父が暮らしていたこの部屋は主寝室にあたる。咲はまず金庫を今彼女が寝ている部屋に移させ、母親の貴重なジュエリーには手を出さなかった。弟が帰ってきたら、その管理を任せようと思った。この部屋を空にする前に、咲は弟に連絡し、彼の両親の部屋は綺麗に片付けると伝えた。流星は暫くしてから返事をしてきた。【姉さん、父さんと母さんの荷物は誰かに頼んで俺の部屋に運んでもらって。姉さんにとて
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第2559話

流星は誰かが姉の逆鱗に触れてしまったのだろうと予想した。長年の恨みを抑え込んでいた姉の堪忍袋の緒が切れたから、両親の部屋を綺麗さっぱり片付けようとしているのだと流星は思った。しかし、両親の部屋には暗証番号を入力するタイプの鍵がかかっている。その暗証番号を流星自身も知らない。母親は流星に咲のほうを味方していると言い、多くのことを流星には教えていなかった。咲も弟に隠すことはなく、鈴が予定より早く刑務所から出てきて、今朝早くに家に来たことを全て話した。流星はそれを聞くとため息をついた。そして、あの災いを振りまいてばかりいる疫病神の姉が外に出てきてしまったのかと思った。それでは一族内がまた荒れることになるだろう。彼は咲に言った。「姉さんは母さんたちの荷物を俺の部屋に移すだけでいいよ。鈴姉さんの物は俺から彼女に連絡して自分で綺麗に片付けるように伝えるからさ」柴尾邸が咲のものだとわかった今、咲も鈴を住まわせておくわけがない。流星もこの姉のために咲に許してほしいと頼むことはできない。鈴が昔からどれだけ咲に嫌がらせをしていじめてきたか、彼は誰よりもよく知っているからだ。刑務所に長い間入っていて少しは変わったかと思えば、どうやら本当に心から変わったわけではなかったようだ。刑務所からできるだけ早く出るために、言うことを聞き、心を入れ替えたふりをしていただけだ。「それから、鈴姉さんが財産分与の裁判を起こすことになったら俺に教えて。あの人に多くを渡してはいけない。彼女がお金をたくさん持ったら全部なくなってしまう。散財するだけじゃなく、世間知らずだ。人を罵ったり責めることしかできない、無駄遣いしか特技がない人だから」流星は柴尾家を咲に任せておけば、自分は安心して勉学に勤める。もし、鈴の手に渡ってしまえば、すぐにでも鈴の行動を止めるために急いで帰ってきたくなる。彼はこの二人の姉のことをよく理解している。鈴は絶対に一族を破滅の道へと導く存在だ。両親が甘すぎて、鈴をダメ人間に育ててしまった。「いや、鈴姉さんには財産分与させたらいけない。大学に休みをとって、一度帰るよ。刑務所に父さんたちに面会してくる。二人の財産を俺に譲るように説得して、俺が鈴姉さんの生活費を毎月渡すようにしたほうがいい」流星は自分で両親の財産を管理し、鈴の最低限の
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第2560話

「どうであれ、うちの財産を鈴姉さんに全部食いつぶされるわけにはいかないんだ。それにうちの朱美おばさんと樹里おばさんだ。二人は絶対に鈴姉さんを唆して、財産を奪い取るに決まってる。鈴姉さんはお世辞に弱すぎる。おだてられただけですぐに何でも人にあげちゃうから」流星がこのように考えているのも、彼ら柴尾家の財産を守りたいがためだ。両親はまだ生きている。あの二人の名義になっている財産を流星に渡してもらい、それをまた咲に管理してもらえば、安心できる。咲のものでなければ、彼女は絶対に手をつけることはしないからだ。それに咲はもうすぐ辰巳と結婚し、結城家には有り余るほどのお金があるのだから、別に流星のものに手をつける必要はない。そもそも流星が親から譲り受けるだろう少しの財産など目にも入らないだろう。「ところで姉さん、違法取引して得ていたものを除いて、俺の両親の財産はどのくらいあるの?」流星は両親が以前やっていた商売の中には違法なものがあり、警察に調査されて、全て没収されていしまったことを知っていた。だから、今ではそれを除いた合法的に得てできた財産しか彼は相続できない。咲は答えた。「あの人たちが違法行為で稼いだ所得は全て調査が入って没収されているわ。でもそれは柴尾グループとは関係のない会社だったことがわかってるの。柴尾グループには違法行為はなかったから、問題ないわよ。それから柴尾グループの株は私のお父さんがほとんどを所有してた。おじいさんとおばあさんが渡したみたい。だからお父さんの大部分の株を除いた残りがあなたのお父さんと他の株主たちのもとにあるわ。今の会社の株価から計算して、あとは彼が持ついくつかの不動産を合わせれば、きっと二十億くらいじゃないかしら」正一は重刑が科せられた。二十数年前に加奈子と実の弟を殺害した罪に加え、違法行為を行っていたことで罪はさらに重くなっていた。流星はまた尋ねた。「警察に捕まる前は、柴尾家にはどれくらいの資産があったの?」「さっき言った額の十倍を少し超えるくらいね」流星はそれを聞いて決意を固めた。「姉さん、やっぱりさっき俺が言ったようにしよう。今から大学に休みを申請してくる。飛行機で帰って父さんたちに会ってくるよ。父さんたちの名義にある財産を俺に譲渡する手続きをしてほしいって」直接咲に譲渡できれば
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