Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 2561 - Bab 2570

2636 Bab

第2561話

流星の父親は違法行為を行っていた。それらの会社は警察の調査が入り、彼らが失った額に関してはそこまで大きくなかった。しかし、少なからず柴尾グループの評判に影を落とし、グループ全体の株価は急降下してしまった。そして商売も右肩下がりとなり、柴尾グループの総資産は縮小していった。今、咲が柴尾グループを継ぎ、彼女と浩司の努力のおかげで、グループは何とか難関をクリアできた。咲はそのことを流星に教えてはいなかったが、浩司と辰巳が彼に教えていた。それで流星は姉が淡々と語る言葉の裏には、大きな苦労が隠されていることを知ったのだ。咲が自分の父親の仇を取るために、流星の両親を警察に突き出したのも、それは彼らが犯罪行為に手を染めたせいだ。もちろん、血の繋がる姉が自分の両親を刑務所送りにしたことを受け入れるのは難しかったが、流星も姉の気持ちを十分理解できた。柴尾家は今咲が掌握している。彼女は自分のものは誰にも渡さないが、自分のものではないのなら、それを奪うつもりはないと言っている。流星が得るべきものは咲はきちんと彼に渡すつもりだ。流星と鈴が得るべきものを渡した後、それをどう分けるかは二人の問題だ。咲は流星の両親のものだけを彼に渡す。加奈子と正一には鈴と流星の二人の子供しかいないから、もちろんこれはこの二人の間の問題だ。「姉さん、じゃ、俺は授業に行ってくるよ。終わったら事務室に休みの申請に行って、そっちに帰ったらまたゆっくり話そう」「ええ、いってらっしゃい」咲と流星の電話が終わると、咲は弟の頼み通りに彼の両親の荷物を彼の部屋に運んだ。鈴の荷物は、咲の気分が良くなった時に、また連絡して持っていかせようと考えた。今後、咲と鈴は完全に縁を切り、家族ではない。「お嬢様、辰巳様がいらっしゃいました」咲はひとこと簡単に返事をすると、携帯を持って部屋に戻ってから身分証と印鑑を持ち、下におりていった。片付けに関しては、執事がしっかり手配してくれるので咲は何もしなくていい。彼女が一階におりてきた時ちょうど辰巳が玄関から入ってきた。「咲、大丈夫か?」辰巳は大股で急いで咲の傍に近寄り、心配そうに尋ねた。咲は笑った。「なんでそんなに心配してるの。今この家にいるのは私たちの味方ばかりよ。それに私だって昔の私じゃないもの、彼らのやりた
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第2562話

辰巳は自身の人を見る目には自信がある。それに祖母のことも信じている。咲と今まで長い間交流してきて、彼女の人柄や行動、すべてを熟知している。「結婚したら一生一緒にいるのよ。離婚なんて絶対しないからね。だから結婚する前にしっかりとよく考えて。あなたみたいな優秀な人なら、この先、私よりも相応しい素敵な女性に出会った時に、おばあ様から結婚しろと言われたから私と結婚したんだなんて言われたくないよ。私と結婚した後にあなたが他に、もっと愛する女性を見つけたとしても、私はそれを受け入れられないからね」すると辰巳はまた軽く彼女の鼻先を突いた。「咲だって結城家の男が世間からどんなふうに言われているか知ってるだろう?みんな一人の女性に一途なんだ。結城家の家訓によって、結婚したら一生その家庭をしっかり守らなければならない。絶対に不倫したり、離婚したりすることは許されていないんだよ。それを破れば、結城家を追い出されて、赤の他人になって生きていかないといけないんだ。それに、俺が咲と結婚するって決めたのは、別にばあちゃんが選んだ相手だったからじゃないよ。俺が君を好きになって、愛しているからこそ結婚すると決めたんだ。君を愛していなかったら、いくらばあちゃんから強制されたって意味はないんだ」辰巳は携帯を取り出して電話をかけた。「誰にかけているの?」咲は辰巳がおばあさんに電話をかけようとしているのだと思った。「運転免許はあるけど、印鑑は今持ってないんだ。手続きに行くなら、母さんに電話して持ってきてもらおうと思って。昼になる前に市役所に結婚手続きに行こう」結婚手続きをすれば、二人は晴れて念願の夫婦になれる。辰巳は自分が咲と結婚し、正式な夫婦になるのをどれほど心待ちにしていたか、咲に知られようとはしなかった。当初、彼女は目が治って見えるようになってから結婚すると話していた。それで辰巳はずっと彼女が目に光を完全に取り戻すのを待ち続けていた。今、彼女の視力はまだ元に戻っているわけではないが、目の前にある物は見えるようになった。それで辰巳はどうやって彼女に結婚の手続きをしようと言おうか考えているところだった。それがまさか彼女のほうから言ってきてくれた。これこそ夫婦になる二人の愛のパワーだ。辰巳が結婚手続きに行きたいと口に出さずとも、咲がそれを叶えて
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第2563話

「咲、ちょっと待っててね、母さんに今すぐ電話するから」辰巳は咲の頬にキスをして、すぐに母親に電話をかけた。薫子は暫くしてからやっと彼の電話に出た。「母さん、今ちょっといい?」薫子は言った。「さっき起きたところ。今日は特に何もないし暇よ。どうしたの?何か用があるの?」息子は大人になってからというもの、親の手助けを求めることは少なくなった。子供から必要とされなくなる感覚を薫子はかなり前に経験していた。「俺、咲と昼前に市役所に行って、結婚手続きしようと思ってるんだ。でも、印鑑を家に置いてるからさ、母さんか父さんが持って来てくれないか?それか誰かに頼んで持ってきてもらってもいいよ。こっちから家に戻ってまた市役所に行くと時間がかかって、午後になっちゃうからさ。俺、できれば早く手続きに行きたいんだ」もし印鑑をこの時持っていれば、辰巳は今すぐにでも、咲と一緒に市役所に行って手続きをしたくてたまらなかった。本気で咲のことを愛するようになってから、彼はずっと彼女との結婚を心待ちにしていた。咲は目が見えなかった頃、辰巳のような完璧な男性を前にして、卑屈になっていた。そのせいでずっと迷い、彼の気持ちを受け入れることすら、かなりの時間がかかってしまった。婚約するために、辰巳は何度も音濱岳の依茉に会いに行って、咲の目の治療を頼み続けた。咲はその事実を知ってから、ようやく勇気を出して、彼と一生の愛を誓うことを決め、婚約することにしたのだ。彼女は辰巳の姿を直に見ることができるようになってから、結婚したいと思っていた。彼女曰く、結婚相手がどのような容姿なのか知りたかったかららしい。この時、辰巳が母親に話す言葉を聞いて、咲はまた顔を赤らめた。そんなに結婚したくてたまらないのか……薫子はそんなめでたい話を聞くと、すぐに眠気を吹き飛ばしてニコニコと笑った。「もちろん時間はあるわ。お母さんは暇で暇でしかたないのよ。すぐにそっちに届けに行くからね。今柴尾さんのお宅にいるの?それとも会社?」「柴尾家だよ。今日はまだ会社には行ってないから」「わかった、今届けるからね。指輪はいるの?」辰巳は言った。「いるいる、母さんはやっぱりよく気がつくね。俺は興奮しすぎて指輪のことなんてすっかり忘れてたよ。前オーダーメイドした結婚指輪が俺の
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第2564話

咲は辰巳の頼みを断わることはなかった。彼女はただ彼に代わって銀行カードを管理するだけだ。別に彼がいくら使おうと構わないし、彼女も彼が稼いだお金を使うつもりはない。辰巳は咲の頬にキスをして彼女を見つめて微笑んだ。見れば見るほど好きな気持ちが大きくなっていく。「なんで私を見てそうやっていつも笑うの?」「そりゃ、嬉しいからに決まってるだろ。咲、俺はすごく幸せなんだ。だから思わずにやついちゃんだ」そう言いながら、彼はまたニコニコと笑っていた。咲もつられて笑ってしまった。二人はそれから少しおしゃべりして、薫子がもうすぐ市役所に到着するだろう時間を見てから、辰巳は咲に言った。「咲、母さんはそろそろ到着する頃だから、俺たちも出発しよう。市役所に俺たちが到着する頃にちょうど母さんも着くはずだ」辰巳は市役所に行く前に薔薇の花束を買うつもりだ。咲が突然結婚手続きをしようと言ってきたから、彼は何も準備していなかった。それでも、今から用意したって間に合う。花束と指輪は必ずセットだ。咲は辰巳が一生大切にしようと決めた女性だから、完璧にしないと。「ええ」辰巳が立ち上がって自分のほうへ手をさし伸ばしてきた時、咲は安心してその大きな手に自分の手を重ねた。そして彼に引かれるままゆっくりと立ち上がった。二人は手を繋いで外に向かって歩き出した。あなたの手を握り、共に老い、これからも残りの人生を互いに支え合いながら過ごそう。咲は辰巳と白髪になってもずっと愛し合っていたいと思った。若者世代から羨ましがられる義父母のように、結婚して数十年過ぎても、まるで二人が付き合い始めた頃のように仲睦まじくありたい。咲は辰巳の運転する車で一緒に行った。咲は運転免許は持っていない。彼女は十六歳の時に失明してしまったから、その時まだとっていなかったのだ。いつも乗る車の運転手は辰巳が雇ったボディーガードだ。彼女を普段守れるだけでなく、運転手代わりにもなれる。それから二十分後。市役所の前。薫子は息子たちよりも二分早く到着していた。彼女は息子の車が来たのを見て、にっこり微笑んで自分も車から降りた。辰巳の父親である宗則も一緒に来ていて、妻が車を降りるとその後に続いた。辰巳はゆっくりと車を駐車した。咲の視力はそこまで良くなく、
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第2565話

宗則も微笑んで言った。「そうだよ。こんなめでたい事なんだから、私たちはとっても嬉しいんだ。もうこんな時間だ、辰巳、早く咲さんを連れて手続きをしておいで。もうすぐ昼食の時間になってしまう」両親から急かさせて、辰巳は咲の手を引き、母親から印鑑と前から用意していたダイヤの結婚指輪をもらって、咲と一緒に市役所の中に入っていった。薫子と宗則はすぐに帰ることはなく、外で二人が出てくるのを待っていた。宗則は妻のほうへ首を傾げて言った。「こうやってると三十二年前のことを思い出すよ。私たちが結婚手続きをしたのがまるで昨日の事のようだな。あれからあっという間に長男がここにまた手続きをしに入っていった。時間が経つのは本当に早いね。私たちも年を取ったものだ」宗則は妻の手を繋いだ。「当時、白髪になっても一緒にいようって約束しただろう」薫子も感動した様子で言った。「そうね、本当にあっという間だったわ。なんだかまだ十八歳の気分よ。でも、辰巳ももう三十歳だから、私たちったら本当に年を取ったわよね。認めたくなくても、もう否定はできない年齢だわ」「君はまったく年を取って見えないぞ。私の目には永遠に十八歳のままだ」薫子は肌の手入れをきちんとしている。辰巳の横に並ぶと周りからは姉と弟と間違えられるほどだ。宗則のほうも若々しいが、以前一族のビジネスの手伝いをし、仕事がとても忙しく、配慮しなければならない状況が多かったため、心労のせいで白髪が増えてしまった。退職後は、妻から要求されて黒く染めている。それで、彼が妻と一緒にいても、妻よりも十歳ほど上に見える。実際、二人の年齢差は一歳しかなかった。薫子は夫に褒められてにこにこと笑った。「私だって永遠に十八歳でいたいけど、それは無理な話ね。いくら肌の手入れを怠らなかったとしても、やっぱり年齢には勝てないわ」「私は君と一緒に年を取っていくんだから、怖がることもない。それに私のほうが君よりずっと老けてるんだし」薫子は笑った。「怖くないわ。あなたが傍にいてくれれば、何があったって怖くないからね」当時結婚する時にも、二人はこのような会話をしていた。あれから数十年経っても、宗則から聞いた言葉がまだ薫子の耳元にこだましている。彼は言ったことをきちんと守っている。そして今日彼らの長男が結婚する
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第2566話

「さあ、一緒に食事をしに行きましょう。スカイロイヤルのレストランの個室を予約しておいたから、二人のお祝いにご馳走するわ。みんなにも電話しておいたの。おばあ様も二人が今日結婚したことを知って、とても喜んでいらっしゃるわよ。咲さん、お義母さんね、さっきあなたのおば様にも電話して、辰巳と結婚手続きをしたことを知らせておいたのよ。おば様にも来ていただいて、結婚式について話し合いましょう。年越しまでそんなに時間がないし、今年中に結婚式が挙げられたらいいと思ってるんだけどね」薫子の行動は速い。辰巳と咲が結婚手続きをしている間に、薫子のほうはすでに咲のおばである裕子に結婚式の相談をするため連絡していた。咲の母親と継父は生きているが、刑務所に入っている。それに咲は二人のことを憎んでいるため、結婚式の件を彼らと相談することはできない。だから、薫子は裕子に来てもらおうと思った。しかし、加奈子は咲と血の繋がった母親であるから、薫子は嫁の意見を尋ねることにした。「咲さん、あなたのお母様のほうにも一応伝えるべきかしら?」加奈子からの祝福の言葉がもらえなくても、一言伝えておくべきだろう。咲は少し考えた後、言った。「辰巳さんと一緒に面会に行って伝えることにします。結婚式の細かい事は、お義父さんとお義母さん、それからおばさんの三人で相談してもらえば大丈夫です。柴尾家では裕子おばさんだけが私に良くしてくれていたので」弟も良くしてくれているが、彼はまだ大学生で若いので、よくわからないはずだ。「わかったわ」薫子は笑った。「あなたのおば様も二人の結婚を知ってとっても喜んでいたわ。午後に来るって」咲は辰巳と婚約してから、結城家が後ろ盾になっている。彼女の目も視力が少し戻り、裕子も、この悲しい生い立ちを持つが、幸せを掴んだ姪を安心して辰巳に預けられる。裕子は嫁ぎ先でやることが多く、あまり実家のほうへ帰ってくることはなかった。それでもよく咲と流星には電話をしてくれていた。咲の中では、裕子が母親代わりだった。咲は実の母親からの愛は得られなかった。おばである裕子から母親の愛と同じような優しさを受け取っていた。「あなたと辰巳はいつ面会に行く?」「午後にします。面会に行って帰ってきた頃にはおばが到着しているでしょうし」薫子は頷いた。
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第2567話

遠く柏浜にいる奏汰も、従兄の辰巳が咲とすでに結婚したという知らせをSNSにアップしているのを見て、かなり羨ましがっていた。奏汰は居ても立っても居られなくなり、すぐにホテルにある自分のオフィスを出て、白山グループ本社へ向かった。この時の玲はちょうどある契約を終わらせたところだった。彼女は立ち上がると、顧客と握手を交わして、穏やかな声で言った。「それでは中条社長、今後ともよろしくお願いいたします」中条は笑った。「ええ、よろしくお願いいたします」玲は礼儀正しくこう言った。「そろそろ昼食の時間ですね。一緒にいかがですか?」「白山社長、お気遣いありがとうございます。今回はかなり厳しいスケジュールですので、時間がなく、急いで空港に向かわなければなりません。昼も飛行機内でとるしかなさそうです。次回またぜひ一緒に食事ができればと思います」玲はそれに理解を示した。「わかりました。次回こちらに来られた際には必ずこちらがご馳走しますので」「ええ、約束です」中条は笑いながら応えた。玲が弟に目配せすると、碧は彼女の意図を察し、立ち上がってすでに用意していた柏浜のお土産を中条に渡した。「中条社長、これは柏浜の特産なんです。大したものではないのですが、ぜひお召し上がりください」中条は遠慮気味だったが、最後には笑顔でそれを受け取った。「白山社長、わざわざ手土産まで用意してくださらなくてもいいですのに」玲との商談で、白山グループとの契約をこぎつけるのはなかなか難しい。しかし、玲の人に接する礼儀正しさは完璧だった。見た感じ厳しく冷たい雰囲気を放ってはいるが、玲と商談をしたことのある人物はこぞって玲を褒め称えている。ただ……こんなに素晴らしい好青年のイケメンが、同性愛者であるのが惜しい。多くの人が白山家と親戚関係になりたいと期待していたのに、社長たちはみんな失望の谷に突き落とされてしまったのだ。玲が同性愛者でなければ、彼らは自分の娘を玲とお見合いさせたいと考えていた。玲と碧、それに数人の管理職たちが一緒に中条とその連れが玲のオフィスから本社ビルを出るまでついていき、中条たちがすでに手配していた車に乗り込んで空港に行くのを見送った。中条は確かにスケジュールが詰まっていて、グラン・エデンホテルのレストランで食事をする
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第2568話

中条はぼうっとして、少ししてからハッとした。「あれは結城家のあの御曹司の車でしたか。奏汰さんと言いましたね、彼は本当に毎日白山グループまで白山社長に会いに来ているんですか。ただの噂だと思っていましたよ」「それは噂なんかではありませんよ。事実です。白山社長はここ柏浜では一番若く優秀な大企業の社長です。とてもカッコいい方ですからね、たくさんの女性が夢に見る憧れの白馬の王子様ですよ。しかしまさか、あれだけ多くの女性でも白山社長を口説くことができずに、男性に落とされてしまうなんて。ですが、見た目では結城社長と白山社長はとてもお似合いですね。もし、どちらかが女性だったら、もう完璧なカップルですよ。はあ、二人とも男だからとても残念ですね」あの二人が両想いになったことで、どれほど多くの女性がショックを受けたことか。柏浜の名家の令嬢たちは奏汰のことを恨めしく思っている。彼女たちはまさか男に負けてしまうとは思っていなかった。「では、あの二人は確かにお付き合いされているんですね?」中条は興味津々な様子で尋ねた。「結城社長はまだ白山社長を口説いているものだと聞きましたが、それはただ結城社長の片思いなんじゃないかと思っていました。もともと白山社長のほうは別に男性に興味があるわけではなく、それは結城社長のほうだけだったと」運転手は答えた。「それは私も詳しくは知りません。私はただの運転手ですからね。私が知っている情報も他の柏浜人が知っていることだけで、本当のところがどうなのかは誰もわからないんです。白山社長は近寄りがたい方です。多くの社長との付き合いがありますが、親友のように仲の良い方はいらっしゃいません。それで白山社長の内心を知ることができる人間なんていないんです。ですが、白山社長は結城社長のことをだんだん受け入れるようになっていると聞いています。それに、結城社長は白山社長のために女装までしたとか。お二人のうち、恐らく結城社長のほうが男性が好みで、白山社長はやはり女性のほうが好きなんでしょう。そうでなければ、結城社長がわざわざ女性の格好をしてくるはずがありませんからね」奏汰は女性の格好をして街中を歩き、白山グループまでやって来た。その時、多くの人がそれを目撃していた。人の口には戸が立てられないというが、誰かが噂を流し、どんどん拡散していって
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第2569話

奏汰は花束を抱きかかえたままビルのほうへと歩いてきた。昼休憩の時間で、多くの社員が外に昼食を食べに出ているところだった。ちょうど奏汰が花束を抱えて会社に入ってきたのを見ても、彼らもすでに見慣れてしまっていて、逆に奏汰が現れない日があれば、どうしたのかと不思議に思うようになっていた。「結城社長、こんにちは」社員たちが心のうちでいくら奏汰に不満を持っていても、表面上は彼に礼儀正しく接していた。奏汰は笑顔で会釈し、それで社員たちへの返事とした。そしてすぐに奏汰は玲と碧の二人の前にやって来た。「玲さん、昼休憩の時間だから迎えに来ましたよ。食事に行きましょう。これはあなたに」そう言うと、彼は花束を玲の前に差し出した。玲は淡々と言った。「言ったはずです、私は花束は好きじゃないって。毎回来るたびに花を持って来るのはやめてください。オフィスにある花で花屋が開けそうですよ」日によって、彼は一日に何回か玲に会いに来る。そのたびに花束を必ず持ってきている。玲がその花束をゴミ箱に捨てようものなら、奏汰はまるで仕返しするかのように、さらに多くの花束を買ってくるのだ。玲はもはや奏汰のこの行いに、もうどうしたらいいか全くわからなくなった。「だったら、花瓶をもっと買ってオフィスに届けます」「うちのオフィスに花瓶をたくさん並べて、私の仕事がはかどらないようにする気ですか」奏汰は笑った。「わかりました。俺が間違ってました。じゃ、次からはこういう花束じゃなく、簡単に処理ができる花束を贈りましょう。今オフィスにある花瓶は家に持ち帰っていいですよ。これでオフィスも綺麗に片付くことでしょう」碧はすぐ傍にいて口を開いた。「奏汰さん、兄さんはあなたから贈られる花束が好きじゃないですが、俺はとっても好きです。だったら俺にくださいよ。それを女友達にプレゼントすれば、金が節約できるし」「おや、碧君もいたんですね」奏汰は持っていた花束を玲の懐に押しやり、自然な動きで玲の手を繋いだ。すると碧はわざとらしく誇張して言った。「奏汰さん、大の大人の俺がここに立っていたんですよ。まさか今になってようやく見えたっていうんですか?それなら視力を調べに行ったほうがいいと思いますよ。兄さんも、目の不自由な人は選ばないほうがいいと思うよ、よく考えてね」
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第2570話

ボディーガードたちは静かに碧の後ろについていた。彼らは目の前で主人の玲が奏汰の車に乗せられるのを見ていた。そしてすぐにあのマイバッハはみんなに見守られる中、白山グループを離れた。碧はぶつくさと呟いた。「まったく、奏汰さんは本当に今まで見た中で一番偉そうな人だ。義理の弟になるかもしれないっていう俺のご機嫌取りなんて一切しないんだからな」そうやって文句を言いながらも、碧は二人のお邪魔虫にはなろうとしなかった。もし、玲が本当に「兄」であったなら、碧は兄が不幸にならないように二人にくっついていく。しかし、玲は姉だし、いつかは誰かと結婚するはずだ。奏汰は玲にとても相応しい相手だから、二人の邪魔にならないようにしている。邪魔などして奏汰が両親に訴えに行けば、彼は親からこっぴどく叱られるに決まっている。今や碧の両親の前では奏汰のほうが玲と碧よりも可愛がられている。「碧君はくっついて来てないですね?」奏汰は車を運転しながら、助手席にいる玲に尋ねた。玲は振り返って確認するまでもなく、直接答えた。「あいつはただ口だけで、実際について来ることはないですよ。きっと母さんたちにあなたが訴えに行くと恐れてるんです。碧は私よりも十分遅れて生まれてきたんです。今はまだきちんとした彼女はいません。私にはあなたがいるから、母さんも父さんもあいつの結婚について心配するようになって目を光らせているんです。あなたが母さんたちに訴えでもすれば、あいつは怒られて早く結婚しろと急かさせるってわかってるんですよ」弟がまだ遊んでばかりいるので、玲も少し焦ってはいるが、どうすることもできなかった。玲にはもう奏汰という決まった相手ができたが、弟には彼女もまだいない。玲は以前、弟と凪を近づけさせたいと考えていたが、弟も凪も互いに惹かれることはなかった。今、凪の傍には秀一がいる。奏汰はケラケラと笑った。「俺だっていつもいつもご両親に彼の文句を言いに行きたくないですよ。それなのにデートまでも邪魔されそうになるんだから。もう立派な大人なくせに、これなら陽君のほうがお邪魔虫とは一体何なのか彼よりも理解していますよ」陽は理仁から何度もお邪魔虫だと言われるうちに、だんだんその意味を理解するようになっていた。理仁と叔母が一緒にいる時に、自分がついて行くと、理仁か
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