Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 2571 - Bab 2580

2636 Bab

第2571話

玲は正直に言った。「大人になってから、旅行に行く時間はなかったんです。毎日猫の手も借りたいほど忙しかったので、遊びに行くような時間なんてありません。でも、出張が多かったおかげで、いろんな所には行きましたよ」「じゃ、新婚旅行はどこに行きたいですか?」奏汰は彼女に尋ねた。玲は少し考えてから答えた。「景色が綺麗で、比較的静かに過ごせる場所が好きです」「じゃ、そういう場所をたくさん調べておきましょう。そこに一カ月泊って、二人っきりの世界を満喫するんです」玲は景色の良い所が好きなのか。ちょうど実家のある琴ヶ丘は景色が良く、普段とても静かじゃないか。「琴ヶ丘はどうでしょう?」「好きですよ。でも、琴ヶ丘で新婚旅行を過ごすんですか?」奏汰は笑って言った。「いえ、あそこは結婚したら玲さんもよく行く家になるんですよ。あなたにとっても実家みたいなものです。新婚旅行ならどこかへ出かけないと」「でも、私もまだあなたと結婚するって決めてはいないんですよ。それなのにもう新婚旅行先の話ですか?」玲は自嘲するように笑って言った。「あなたと一緒にいると、簡単に流されてしまいます。ああ、いくら賢くても、人に流されにくい人でも、結城さんと一緒にいると全く無意味ですね」「玲さん、まだ検討中なのは、俺の一体どこが足りてないからですか?」奏汰はすでに長い時間彼女を口説き続け、できることはなんでもやってきた。それでもまだ彼女が結婚をためらっているということは、まだ自分に足りないところがあるのだろうと彼は思った。それで、一体自分のどこがいけないのか知りたかった。「いえ、足りないところなんてありません。まだデートも数回しかしたことないし、普段仕事が忙しすぎるせいで、私たちはまだ結婚するまで仲が深まってないように思うんです。恋をすると一日会わないだけでとても長い時間会っていないような気持ちになるってみんなよく言うでしょう。私はまだそこまで感じるほど気持ちが深くなってないみたいで。それが感じられないのなら、つまりあなたへの愛はまだ足りていないって証拠です。どのみち、まだ結婚ができるほど気持ちが高まっていないんでしょうね。だから、もう暫く結城さんと付き合ってみて、ゆっくり考えたいんです。新年を迎える時にあなたが家に帰れないなんてことにはならないです
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第2572話

「そう思ってるわけじゃなくて、紳士らしく振舞っているだけです」玲は笑いながら彼の手をとって車を降りた。それなら、彼に引き続き思い存分その紳士的な振る舞いを発揮してもらっておこう。奏汰はそのまま玲と手を繋いで一緒にホテルに入ろうとしていたが、彼女はそれを拒否するように、手を引っ込めた。その動作に奏汰は瞳を暗くさせた。人がいる場所では、彼女はどうしても奏汰と恋人らしく振舞ってはくれなかった。彼女が言ったように、彼への愛がそこまで深くなっていないからだ。そして二人が肩を並べて数歩進んだところで、玲が突然立ち止まった。「どうしました?」奏汰は気になって尋ねた。彼女のあの追いかけファンでも現れたのだろうか?奏汰は前方を見てみたが、彼女の追っかけはいないようだ。「河野洋文」玲は小声で相手の名前を呟くと、すぐに奏汰の手を引いて、一台の車の後ろに隠れた。数人のボディーガードは何か危険があるのかと思い、本能的に素早く反応し、素早く玲の前に集まった。そして玲の顔を隠すようにした。「みんな隠れなさい。俺の前に立たなくていいから!」玲は低い声でボディーガードたちに命令した。ボディーガードたちは黙った。どうやら主人は誰かをこっそり観察したかったのか。玲は黒いサングラスに、全身黒い服を着た年を取った男を指さした。その男はある若い女性を抱きしめていた。その女性は天使のように可愛らしい顔をしていたが、スタイル抜群でかなりセクシーな格好をしていた。彼女の傍を通りかかった男はみんな思わず振り返って何度も彼女を見ていた。「あの男は凪さんの実の父親です。黛家当主の夫、河野洋文と言います。彼の傍にいる女性は私は知りませんが、まさか彼が外で浮気しているなんて。もし当主が知れば、ズタズタに引き裂かれることでしょうね」黛家当主の夫だと聞き、奏汰は携帯を取り出して急いで盗撮を始めた。動画を撮りながら言った。「黛当主なら、理仁兄さんと唯花さんの結婚式に参加してから星城に滞在しているそうです。彼女の夫はきっと奥さんがここにいない隙に若い女と遊んでいるんでしょうね」玲は言った。「黛当主は夫のことをかなり厳しく管理しています。河野はきっと浮気などする度胸はないでしょう。できても今みたいに女性を抱きしめて堪能するくらいです。そ
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第2573話

凪が兄たちが外で浮気しているのを見てしまい、何も知らなかった妻たちに教えたことで、彼らは今喧嘩になっている。女性として、玲は凪はよくやったと思った。浮気をしている人間が自分の兄だからといって彼の味方になり、その妻に黙っていることなんてできない。逆に自分が夫に浮気された立場だったとして、周りはみんな知っているのに、自分には教えてくれなかったと知ったら、どんな気持ちになるだろうか。「河野はそんなに馬鹿な人間じゃない。黛当主が帰って来れば、彼はきっとこそこそと女性に会ったりしないでしょう」奏汰は話している時に、瞳をキラリと光らせて、小さな笑い声をもらした。「だけど、俺たちで当主の手助けができますよ。知らないならまだしも、今この目で目撃してしまったんです。当主に伝えるべきでしょう。一応、唯花さんの親戚にあたる人なんですから。玲さん、そう思うでしょう?」玲は言った。「あなたも悪い人ですね。黛一族内をさらに混乱させるつもりで?だけど、私もそう思います」玲はそう言うと、我慢できずに笑った。「どうやら、私も悪い人間のようです」「それは違います。俺たちは善良な人間ですよ。見てください、河野のほうこそ、一体何をしているんですか?彼は間違ったことをしているんだから、正しい道に戻してやらないと。黛当主に代わって悪い奴を懲らしめてやるんです。彼をはめようとしているわけでもないし、あいつは完全に罪を犯しているんですから。俺みたいに一人の女性に一途な男からしてみれば、特にあの男のこのような行為は許せませんね。もし、自分の妻に不満があるなら、離婚すればいいんです。離婚はしたくない、だけど外では若くて綺麗な女の子と遊びたいって?そんな都合の良い話なんてあります?夢を見るのはいい加減にしろって話ですね」どのみち、奏汰はすでに洋文が若い女と一緒にいるのをすでに撮っているし、ラグジュリゾートには監視カメラも設置してある。洋文があの女性を抱くようにしてホテルに入っていく様子はしっかりと捉えられている。彼がわざと洋文に濡れ衣を着せようとするはずがないだろう?「黛当主は怖い方だというのに、あの男はよくもまあ浮気なんてできたものですね」この時、洋文はすでにあのセクシーボディの女性と一緒にホテルに入ってしまった。玲たちもこれ以上隠れる必要は
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第2574話

玲は奏汰の服を引っ張った。奏汰は彼女に続いて歩きながら言った。「黛当主はいつになったら帰ってくるんでしょうね。『黛家の乱』を心待ちにしているんですが」玲はちらりと彼を見て言った。「当主も夫が浮気していることを知っても、外で騒ぐことはないでしょう。彼を連れて帰って、家の中で喧嘩するはずです。あなたが心待ちにしている光景は見られないでしょうね」「凪さんがいるじゃないですか。彼女が黛家の表面的な平和を壊した張本人ですよ。彼女の父親の無様な結末を隠しておけますか?俺はそうは思いませんね」少し考えてから、奏汰は小声で言った。「凪さんも油断できない人のようですね。家庭内を混乱させて、お兄さんたちを会社から追い出す隙をずっとうかがっているのでしょうね。あの邪魔な人間がいなくなれば、彼女の黛グループ内での地位は一気に確かなものになりますから。さすがは黛当主の実の娘。自分の家族であっても容赦しない、残酷な面を持っていますね」玲は少し黙ってから、凪を擁護した。「凪さんには確かに黛家の女性が持つ残酷さがあります。でも、その残酷さは当主のそれとは違いますよ。彼女は兄たちを会社から追い出すくらいの残酷さだと思います。彼らは会社では私腹を肥やして、自分の派閥を作り、内部を混乱させようとしているから。当主のように家族を殺すような残酷さは持っていませんよ」玲が凪のことを高く評価していることを奏汰はわかっている。これ以上凪の悪口は言えなくなり、話題を変えた。一行はホテルに入った。奏汰は玲を連れて直接彼の専用エレベーターに乗って最上階に向かった。その階にあるレストランはこの時ビュッフェ形式にしてあり、玲には好きなものを自由に食べてもらった。奏汰は洋文とあのセクシーな女が今何をしているのか気になり、こっそりと部下にメッセージを送り、洋文の動向に目を光らせておくように指示を出した。もし、あの男が彼女とホテルの部屋をとったら、その部屋に入る時に写真を撮ればいい。これと同時刻の黛グループ本社にて。社長オフィスで凪は一人でデスクに座り食事をしていた。それはファストフードだった。仕事が忙しくて、わざわざ外に出て食べて帰って来る時間がもったいないからだ。それでデリバリーを頼んでおいたのだ。たまに、彼女も下にある社内食堂で食事をする時もある。
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第2575話

どのみちセクシー美女が、とある大物社長の愛人だと知っている人はそんなに多くない。洋文もそれを知らない。もし彼が知っていれば、そんな相手の愛人に手を出す勇気などないはずだ。凪は動画と写真を見終わると、秀一にメッセージを送った。【あなたのほうで保存しておいて。私は見たら削除して携帯から消してしまうわ。お母さんが帰ってきた後に疑われて携帯を調べられたら困るから】秀一は彼女に返信した。【すでに保存してあります。お嬢様、お食事はお済ですか?】【デリバリーを頼んで、今食べているところよ】その返事を見た秀一は眉をひそめた。【お嬢様、いつもいつもデリバリーではいけませんよ。会社に食堂があるから、そちらで食事されてもいいじゃありませんか。もし時間がないなら、私に教えていただければ、今後は毎日お食事を届けます】凪は彼の返事を見て、心が温かくなった。黛家に戻ってきてからというもの、彼女は孤軍奮闘してきて、一人も心を許せる相手がいなかった。実の母親にさえも、本心を見せることはできなかった。和子の子供は凪一人ではなく、兄たちや若葉もいる。若葉は母親の前で甘えるのが上手く、とても自然にそうやっているが、凪はどうにもできなかった。しかし今では秀一がいる。彼が付き人として来てから、凪は彼の仕事に対する責任感と彼女の傍にいる意味を理解して、彼に対する信頼は本当の家族に対するものよりも深くなっている。以前、秀一に探りを入れてみたことはあるが、今ではすっかり信頼し、今まで彼にはかなり世話になっている。秀一が付き人として来たばかりの頃、たとえ凪の周りからみんな離れていったとしても、自分だけは絶対に離れることはないと彼に伝えられた。彼は凪の付き人になってから一生彼女に忠誠を誓い、彼女の腹心となり、死ぬまで離れることはないのだ。もし、彼が死んだとしても代わりとなる新たな付き人が現れて、永遠に凪の傍には忠誠を誓う腹心が欠くことはない。秀一は完璧な男で、何でもできる。もちろん料理も彼にとっては朝飯前だ。それに彼が作る料理はどれも美味しい。凪は文字を打つのは遅いと感じ、いっそ電話をかけることにした。「あなたはもうご飯を食べたの?」「いえ、まだです。後で食べようと思って。そちらにお食事を届けましょうか?」「あなたにはもうかなりお世
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第2576話

若葉が結城奏汰のことになると悔しそうにしているのも仕方がない。彼女は彼のことをクソ野郎だの恥知らずだの罵っている。若葉が片思いしていた玲を奪っていったからだ。「ですから、河野洋文の不倫をあばく役目は結城辰巳氏に任せても良いかと……彼は裏で黛家に対して牙を向け始めています」黛家にとって、奏汰はどちらかというと敵側だ。黛家と詩乃姉妹の関係に加え、凪の星城へ行った時の態度を思い出すと、秀一は心の中でため息をついた。凪は神崎家や結城家のことを敵とはみなさないだろう。凪は前当主の死因を明らかにしたいとも思っている。凪が前当主を母親が手にかけたという証拠を掴めば、彼女は黛家の後継者を辞退し、黛家とは縁を切り、自分の人生を歩み始めると秀一は自信を持って言える。凪は表面上だけ弱い人間を演じている。実際、黛家に戻ってくる前にはすでに事業に成功し、若い女社長になっていた。養父母の凪に対する態度は最悪で、常に彼女から利益を搾り取ろうとしていたものだから、彼女は自分が社長である事実を隠し続けているのだ。凪は、自分は弱い人間で、能力がなく、次期当主には若葉もなる可能性があると周りに思わせている。それは笑わせる話だ。黛家の規則は誰も変えることはできないというのに。若葉は黛家の本当の娘ではない。彼女は能力は高くないが、高かったとしても、黛家の血は流れていないという時点で彼女が後継者になる資格はないのだ。「いいえ、こちらから何かする必要はないわよ。結城さんもこの事実を知って黙っているような人ではないもの。彼はあなたの望み通りに行動するはず。彼はそもそも黛家に対して良く思っていない。お父さんの浮気現場の証拠がある今、私たちが何か手を出す必要はない。彼のほうが勝手に行動に移してくれる。どのみち彼も黛家が混乱するのを高みの見物するでしょう。唯花さんは彼の親戚だもの」凪は続けた。「結城理仁さんと、そのいとこたちはみんな唯花さんのことをとても大事にされているから」秀一は頷いた。「では、私たちは何もせず見てましょう」奏汰が洋文の不倫を和子にばらすのを見ていればいい。「さあ、あなたはご飯を食べに行って。私はいいから」「わかりました」すると凪はすぐに電話を切った。秀一は携帯を耳元から移動させ、暫くの間見つめていた。そして携帯をポケット
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第2577話

凪は、若々しくカッコよさをまだ保っている実の父親が、母親よりも数十歳も若いセクシーな女性を抱きしめているのを見て、呟いた。「この人、若い頃はきっと芸能人にも負けないほどのイケメンだったでしょうね。年を取ってもちょっとお洒落すれば、まだまだイケてるおじさんだわ」どうりで母親が厳しく夫を管理しているわけだ。和子は夫が外で若い女と遊んでいることを知ったらどう思うのだろうか。しかも、彼が女と遊ぶための金は凪の兄か若葉があげたものだろう。そうなると和子は一体どのように感じるのだろうか。これと同時刻の星城では。スカイロイヤルホテルから琴ヶ丘に戻ってきた唯花は到着すると、すぐに部屋に戻って夢の世界へ旅立とうとした。やはり妊娠でかなり眠気が強いようだ。理仁は彼女に付き添って一緒に部屋に戻った。唯花が部屋に入った瞬間、さっさとベッドに横になって眠りにつこうとするのを見ると、理仁はベッドの端に座って笑って言った。「眠いなら車の中で寝てよかったのに。着いたら抱っこして連れて来てあげるからさ」「帰ってからじゃないとダメなのよ。理仁、私ちょっと寝るね、あなたも寝る?寝ないなら。書斎にでも行って本でも読んでいたらいいわ」理仁は優しい眼差しで彼女を見つめ、穏やかに言った。「おやすみ。俺はまだ眠くないよ」すると唯花は目を閉じて、すぐに寝てしまった。数分ですぐにぐっすりと寝てしまった唯花を見つめ。理仁は屈んで彼女の額にキスを落とし、大きな手で彼女の顔を優しく撫でてから、まだ平らなお腹にも手をあてた。そしてまた彼女の耳元で優しく囁いた。「唯花、お疲れ様」暫く静かに座っていてから、理仁はようやく立ち上がり、寝室を出て書斎に向かった。デスクの上には妊娠、出産に関する本が置いてあり、すでに読み終わったその本をもう一度読み始めた。彼はこの本の内容を全て頭の中に記憶させたいと思っている。唯花が妊娠する前、彼は妊娠や出産に関して知識はなかった。唯花が妊娠してから家族も一緒に彼女の世話をしてくれているが、それでも彼は自分で世話をしてあげたいと思っていた。そして彼は本屋に行って、妊娠に関する本を買い漁った。しかも買った本を持って悟に会いに行き、悟と比べて彼も同じくらいの本を読んでいることを知り、その大量に買った本を抱えて家に帰った。新婚旅行の
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第2578話

「理仁兄さん、今電話して大丈夫?」奏汰は玲を送り届けた後、自分のオフィスに戻って理仁に電話をかけた。理仁は少し責めるように言った。「用があって電話したなら用件を伝えるだけでいい、わざわざ今電話していいか聞く必要はない。もう電話してきて俺は出てるだろうが」奏汰は笑って言った。「さっき送った写真と動画は、黛当主の夫の不倫の証拠だよ」理仁は黙ったまま、奏汰が続けて話すのを聞いていた。「彼女の夫の名前は河野洋文。若い頃はかなりのイケメンだったらしいけど、能力はなし。それで黛当主の夫になったんだ。彼は黛家では当主の夫という立場ではあるけど、実際には夫としての尊厳などなく、妻に頼り切った生活をしているよ。黛当主は彼のことをかなり厳しく管理していて、毎月の小遣いも彼女が夫にあげてるんだ。毎日使える金額は一万円を超えさせないんだとか。以前、不倫しようとして妻からかなり厳しく指導されたらしく、若い子と遊びたいけど実際に遊ぶ度胸はなかった。で、今回黛当主は兄さんたちの結婚式に参加して、半月くらいずっと柏浜に帰ってなかった。それであの男はこれはいいチャンスだと思ったんだろう。当主が夫の浮気を知れば、かなり大きな喧嘩になるぞ。今すでに黛家内部は大荒れだ。当主の息子たちも外に愛人を作ってて、それが凪さんにばれてから彼らは奥さんと大喧嘩中だ。それに加えてこの男まで不倫したとなると、もう大混乱になるはずだよ。兄さん、唯花さんと少し相談して何かやりたい計画があるなら、黛家が危機的状況なのに乗じていろいろできるぞ」理仁は低い声で尋ねた。「河野洋文って男が黛家当主の夫なのか?」「うん、玲さんが教えてくれたんだよ。俺はその男のことは知らないからね。玲さんは生まれも育ちも柏浜で、黛家と関わる機会は多いから、彼女が確かにそうだって言ってた。あの男が当主とパーティーに出席した時に、玲さんは何回も河野を見かけたらしいから間違いないね」「黛家のあの本物の令嬢も面白そうな人だな」理仁がそう言った。そして奏汰も言った。「黛凪さんだね、彼女は腹黒い部分はあるけど、筋が通ってる人だ。あんな母親がいて本当に残念だね」凪が黛家の次期当主になれるかどうかは、まだはっきりとわからない。唯花の母親は前当主の実の娘だっというのに。「凪さんは裏で当時、
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第2579話

理仁は言った。「黛家の当主になる人には必ず一人能力の高い忠誠心のある付き人がつくなら、その人物はかなり多くの事を知っているはずだ。もし、前当主の付き人がまだ生きているなら見つけだして、今の当主が悪事を働いた証拠を探れるだろう。もし、彼もすでに亡くなっているのなら、もう四、五十年も前の話だから、なかなか真相を調べるのは困難だぞ」あの九条家ですら、証拠を探すのは難しかった。「あとで弦さんに電話して聞いてみよう。黛家の前当主の付き人だったのが誰なのか、その人物は今生きているかどうか、もし生きているなら今どこにいるのかをな」奏汰は言った。「それなら俺のほうで聞いてみるよ。玲さんの父親に聞いてみたほうが早いかもしれない」実は黛一族にいる高齢の人物に尋ねればわかるだろうが、そんなことをすればすぐに和子に気づかれてしまう。もしかすると、前当主の付き人もまだ生きていて、和子もその人物を探しているかもしれない。「それもいいな。何か新しい情報が入ったら教えてくれ」「うん。それにしても、辰巳兄さんはもう結婚したらしいじゃんか。羨ましいな。俺は辰巳兄さんとは同時にばあちゃんから相手の女性の写真をもらったのに、彼はもう結婚してしまって、俺は未だ玲さんを口説いている途中だよ。はぁ」用件を済ませると、奏汰は理仁とおしゃべりを始めた。どうせ奏汰はこの時暇だったし、理仁も暇だったから、少し二人でいろいろと話をした。「どこのどいつが半年も動こうとしなかったんだっけな。そりゃ辰巳よりもかなり遅れて行動を開始したんだからそうなるだろ。お前の相手だって今じゃ、お前に気があるわけだし、もっと頑張ってみろ。来年にはきっと結婚できるだろうさ。理仁は続けた。「こういう話を俺にされても困る。お前の人生だろ、自分でどうにかしろ。俺はもう休む」そう言うと、理仁は奏汰との通話を終了させた。奏汰の愚痴に付き合っていられなかったのだ。当初、奏汰は玲が見た目が完全に男で、まったく女性らしさがないと言ってなかなか行動に移そうとしなかった。ようやく柏浜に行ったかと思えば、いつもまずは玲が女性であることを暴こうとするばかりで、なかなか本腰を入れて動けなかった。理仁から強制的に電話を切られても、奏汰は怒ることはなく、ただぶつくさと呟いた。「自分が幸せだからって従弟のこと
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第2580話

理仁は思わず笑い声をもらした。「まさかあの弦さんが一般の人と同じように飛行機で移動する日が来るとは」「私も別にお高くとまった人間ではありませんよ」理仁はケラケラ笑った。「ええ、そうですね。弦さんはそんな方じゃありません。俺のような身分の人間でもあなたに会おうと思えば、コネを使わないといけないくらいにね。もし悟が俺と親友じゃなかったら、いくら大金をはたいてもあなたには会えないというのに」弦は言った。「社長、私は忙しい身です。あなただって結城家の後継者として、我々のような身分の人間がどれほど忙しいかはよくわかっておいででしょう?」「話したい事は簡単にまとめることはできないので、弦さんは彼女に会いに行ってきてください。俺は悟のほうに連絡します」弦は頷いた。「何かあったらできるだけ悟のほうへお願いします。あなた達はお互いに話しやすいでしょうしね。この世の終わりも来ていないんですから、わざわざ私を探さなくて大丈夫ですよ」弦は今人生初の「恋」というものに熱を上げている最中だから、忙しいのなんの……それに、両親から毎日のように蔵峯にさっさと行けと急かされている。ダラダラしていたら小夏を他の男にとられてしまうと言うのだ。小夏は弦の運命の女性だ。弦が無事に結婚できるかどうかは全て彼女にかかっているのだから、他のなによりも重要事項だ。弦の両親は彼に代わって小夏を口説き落としにいきたくてたまらないくらいだった。しかも、弦はまだ小夏に告白していないのかと、文句まで言われてしまった。この世に恐れるものなど何もないあの九条弦が、小夏に出会ってからは少し尻込みをしている。焦って彼女に告白して、驚かれるのではないかと恐れているのだ。小夏は度胸のある子だから、弦も彼女が驚くことはないと思っているが、二人が知り合ってからまだ日が浅く、もう少し自分のことを知ってもらってから告白するのがベストだと彼は考えていた。交流する時間が長くなれば、自然と物事は進んでいくことだろう。今回、蔵峯に行って、小夏に気持ちを伝えるタイミングがないか探るつもりでいた。それに、花京院家のみんな前でも自分をよく見せておかなければ。弦が一番心配しているのは、自分が小夏よりも十歳も年上だということだ。「ええ、わかりました。この世の終わりが来ない限り、弦さん
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