All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 2541 - Chapter 2550

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第2541話

唯花は笑って言った。「私はそこまで夫の管理を厳しくしていませんよ」「でも、理仁はしたくないことはいつだって奥さんを口実にしてますよ。よく『妻がタバコは好きじゃないと言うんだ』とか『妻は俺が酒を飲むのを嫌がる』とか『今日の接待はなしだ、家に帰って妻に付き添わないと』とか奥さんを言い訳にしてるんです」「悟」明凛は笑いながら夫に注意した。「余計な事を言わないで」悟はケラケラ笑った。「余計じゃないだろう、事実じゃないか」次に隼翔が言った。「まるで自分は奥さんを言い訳になんてしないとでも言ってるようだな。みんなお前と理仁は妻の尻にしっかりと敷かれ、妻を溺愛し何でも言う通りにするって知ってるぞ。星城じゃこれは有名な話だろう。二人は五十歩百歩だな」悟は笑った。「隼翔、お前は理仁の味方して、二人で結託して俺に対抗しようって魂胆だろう」隼翔はそうからかわれて、顔を赤くした。唯月は落ち着いた様子だった。唯月と隼翔の関係は、知り合いにとっては、すでに暗黙の了解だった。事情を知っている人たちはみんな二人のことをカップル扱いしている。「あなた達若者は外で遊んでらっしゃい。私たちは口を挟まないから。あなた達が言い合うのを聞いてもいたくないし」麗華は笑いながら、若者たちを外に追い出そうとした。理仁は辰巳に電話をして、辰巳と咲も来るようにと誘った。あの二人は昨夜、琴ヶ丘に泊っていた。そして若者世代は庭に出て、東屋に座り、お茶を飲みながらおしゃべりし、優雅な週末を楽しんだ。これと同時刻、琴ヶ丘の麓にある警備員室の前には、一台のタクシーがとまっていた。タクシーの後部座席に座っている人物が、車の窓を開けて警備員室に向って大声で叫んだ。「おい、さっさとそこのゲートを開けろよ!俺たちは上に行くんだ!」その失礼な言葉遣いに、警備員は腹を立てた。彼ら警備員は、真面目に仕事をしているのだから、誰かに見下されるような立場ではない。人によっては品がなく、彼らのような仕事をしている人間に対して失礼な態度をとることもあるのだ。琴ヶ丘で仕事をしている彼らには結城おばあさんも礼儀を欠くことはない。それなのにこのような輩はあの結城おばあさんよりも尊い存在だとでもいうのか?どんな身分でここまで人を貶すような態度になれるとい
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第2542話

今回訪問してきたこの女は結城家の坊ちゃんの誰かの追いかけかもしれない。その若い女とは鈴だった。彼女は車を降りるとすぐに警備員室の窓口まで行き、手に携帯を持ったまま警備員を叩いてきた。警備員はまさか彼女から叩かれるとは思っておらず、油断していた。反応できた時には警備員はすぐに立ち上がって後ろにさがり、これ以上叩かれないように避けた。「なんで叩いてくるんですか?」「あんた達みたいなのを叩いたからってなによ?さっさと私を中に通しなさい!私を誰だと思ってるわけ?私はね、お宅の結城辰巳の婚約者の妹よ。血の繋がった妹!そんな私を通さないんだから、叩かれて当然でしょ!」結城辰巳の婚約者の妹?以前、柴尾家は結城家とは交流を持っていなかったが、咲が辰巳と婚約してからは、咲には大学生の弟がいることを琴ヶ丘で働く人たちはほとんどが知っていた。しかし、妹がいるという話は聞いたことがない。警備員もそれを聞いたことがなかった。助手席に座っている男と後部座席の男も一緒に車を降りてきた。タクシー運転手は慌てて言った。「車では登れないのなら、ここまでということで代金をちょうだいいたします。歩いて登られてください」「それはダメよ。歩いて山登りなんてとっても疲れるじゃないの。あなたはここで待ってなさい。これから邸宅のある前のゲートまで車で行ったら、タクシー代を払ってやるわ」鈴は歩いて山に登ることを拒否した。琴ヶ丘の山はそう高くはないが、歩いて登るのはやはり疲れる。鈴は今は、以前のように周りから過保護にされていないが、刑務所から出てきても依然として柴尾家の令嬢であることには変わりない。彼女はそんな自分がどうして歩いて山登りなどしなければならないのだと思っているのだ。今では使える車がないから、タクシーを利用するしかない。鈴は自分のことが可哀想でならなかった。タクシーの運転手は仕方なく、引き続きそこで待つしかなかった。運転手にそう言ってから、鈴は再び偉そうな態度で警備員に命令した。「すぐにここを通しなさい。私は柴尾家の令嬢で、咲の妹よ。言っとくけど、私を通さなかったら、後で咲にこのことを伝えて、あんたをクビにしてもらうからね」警備員は鈴がもう手を出してこないのを見ると、デスクの前に戻り、来訪者の登録用紙とペンを持って窓口に置き、鈴
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第2543話

執事が急いで駆けつけたが、鈴は足をがぶりと犬に噛まれてしまった。その時、咲は不在だったので、咲の同意なしに執事は鈴を家に入れるわけにはいかなかった。それで鈴にお金を渡し、病院で注射を打つように伝えた。鈴はかなりの恐怖で、執事から渡されたお金を手にすると、すぐに逃げるように去っていった。そして逃げ出す前に、咲に復讐してやると叫んでいた。そしてこの日の朝、鈴は二人の従兄と一緒にまた柴尾邸を訪れた。その時に、昨夜は咲は不在で、辰巳と一緒に琴ヶ丘で週末を過ごしていることを知った。それを知り、鈴はかなり腹を立てていた。そしてすぐに二人の従兄を引き連れて、タクシーを拾い、琴ヶ丘に直接やって来たというわけだ。咲が飼っている犬に噛まれたのだから、鈴は絶対に咲に復讐するつもりだった。そして辰巳の母親たちに、咲は善良そうな顔をしながら実は腹黒なのだと訴えるつもりだ。咲と鈴はいくら仲が悪いとはいえ、同じ母親から生まれてきた実の姉妹であることには変わりない。咲が飼っている犬に妹を噛ませたのだから、こんなに残酷な女を結城家が嫁として迎えるだろうか?黒川家の長男である黒川総司(くろかわ そうし)は来訪者を登録する用紙に彼らの名前と連絡先を記入した。警備員はそれを見てから、彼らを通してやった。そしてタクシーは三人を乗せて山を登っていった。総司は鈴に言った。「鈴、ここはあの結城家の本拠地なんだ。おとなしくしておくんだぞ。手を出しちゃいけない。手を出せば、俺ら三人には良いことなんて一つもない。さっきの警備員は性格が良いし、お前が女だからすんなり入ることができたんだ。そうじゃなかったら、警察に通報はされなくても、同僚を呼ばれて大変なことになるところだった」鈴は唇を尖らせて言った。「今の私は一般人と同じになっちゃったわ。これも咲のせいよ。咲とあの女がいなければ、私は今でも柴尾家のお嬢様として幸せに暮らせていたし、お父さんたちも捕まることはなかった。この私はただの警備員に止められるような人間じゃないのに」二人の従兄から同時に睨まれた瞬間、彼女は諦めた様子で言った。「わかったわ、もう手を出さないから。さっきもちょっと軽く叩いただけよ。あの警備員も反応が早かったわね。もし動きが遅かったら、きつい一発を喰らっていたわよ。ただの警備員のくせし
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第2544話

それからまた数分ほど走り、タクシーは鈴たち三人を琴ヶ丘邸の近くにあるゲートまで送った。「到着しました。タクシー代をお願いします」鈴の従兄二人は各々車を降りた。二人はただ鈴のボディーガード代わりとして、威勢良く見せるためについて来ているだけだ。用心棒代がないのはまだいいが、タクシー代を出すわけがない。今、彼らはもう金持ち家の坊ちゃんではない。自由に金を散財するような生活とはおさらばし、自分で仕事をして稼いでいる。一カ月に二十万ほどの給料で、妻と子供たちを養わなければならないのだから、節約する必要がある。二人は鈴のようにはいかない。鈴が咲と大きな喧嘩をして、自分の家に戻れなくなっても、柴尾家の令嬢であることには変わらない。柴尾家の財産を鈴も相続する権利がある。鈴が柴尾邸に戻り、自分の銀行カードと携帯、車の鍵を取り戻すことができれば、いくらでも金に困ることはない。だからタクシー代は鈴が出すべきなのだ。鈴は二人の従兄がさっさと車を降りたのを見て、タクシー代は出してくれないことがわかり、不満そうに口を尖らせた。そして小声でぶつくさと文句を言うと、しぶしぶ代金を支払った。運転手は代金をもらい鈴が降りるとすぐに車をUターンさせて下山しようとした。この時、総司が言った。「ちょっと、運転手さん、ここで待っていてくれよ。少ししたらまた市内に帰るのにタクシーに乗るんだからさ」ここはタクシーを呼べない。結城家にはいくらでも車があるが、彼らが貸してくれるはずもないし、市内まで車で送ってくれるはずもない。祐一と鈴がタクシーに待っていてもらおうと思った時にはすでに運転手はアクセルを踏んで、逃げるように車を走らせていってしまった。まったく彼らをタクシーに乗せる気はないらしい。「あんなに焦って、事故でも起こせばいいのよ」タクシーを呼びとめることができず、鈴は車に向かって大声で罵った。「もういいよ、後で電話でタクシーを呼ぼう」祐一は言った。「鈴、あんまりわがままするのはやめろよ。現実を受け止めるんだ。今、おじさんは刑務所に入ってて、柴尾家は咲が当主になってる。昔のように振舞っても、損するだけだし、誰もお前を助けてくれないぞ。嘘でもいいから、咲をおだててご機嫌取りをするんだよ。じゃないと、柴尾家にはいつまで経っても入れな
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第2545話

尾崎家と黒川家が鈴に力を貸すのは、このような企てがあったからだ。鈴のほうが咲よりも操りやすい。以前、彼らは咲は目が見えないから花を売ることしかできない人間だと、まるで相手になどしてなかった。それがまさか、柴尾家の三人の子供たちの中で、一番能力が高いのが咲だと彼らはまんまと騙されていた。「鈴、俺らはもちろんお前の手助けをするよ。そもそも俺たちだっておじさんの会社でしっかり働いてたんだ。咲が一体どうやって来栖を買収したのか知らないけど、彼と結託して俺たちを会社から追い出して咲が会社を乗っ取りやがった。彼女はお前の実の姉さんだ。おじさんとおばさんが刑務所に入ってから、お前は家にいなかったし、流星君はまだ子供だから、咲が柴尾グループを継いでも管理職たちは何も言えなかったんだ。それに、来栖が彼女の手助けしてたしな。おじさんは昔から人を見る目は確かだった。だけど今回に限っては来栖って男は裏切った。来栖はおじさんに引き抜かれて、かなり高く評価されていたよ。それにおじさんは、彼と鈴をお見合いさせようとまで考えてたみたいだぞ。それなのに、まさかあのめくらのほうを助けるなんてな。おじさんがあれほど信頼していて、良くしてやってたってのにさ。来栖は会社では二番手だったけど、それ以上に権力を持ってたんだぜ。以前、俺たちも会社ではおじさんにこっちが怒られるかもしれないから、来栖の前じゃ礼儀正しくして、ご機嫌取りしないといけないくらいだったんだ。それが今、尾崎家も黒川家も、こんな悲惨な日々を送ってる。鈴、お前だって見ただろう?俺たちはただお前を手伝って全てを奪い返したいって思ってるんだ。だけど、こんな理不尽で名分もない状況じゃ、お前に頼るしかないんだよ。俺たちは今は鈴の加勢をすることしかできない」祐一と昭成は、聞こえの良い話ばかりをしていた。「俺たちも鈴とあのめくら女が不仲だって知ってる。ただ、俺たちは劣勢に立たされてるから、鈴はまず我慢して姿勢を低く、咲の機嫌を取るんだ。彼女には間違いを認めて、警戒心を解かせたら、自分のもんを取り返して、それから復讐したって遅くはないだろう」鈴は少し考えてから言った。「二人の話も一理あるわね。頑張ってみるわ。だけど、ちゃんとできるかどうかは約束できないよ。だってあの女ひどすぎるもの。あいつの顔を見た瞬間に引っ掻い
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第2546話

「鈴は半年旅行に行っていて、今日やっと帰ってきたんです。家に帰ったら誰もいなかったので、ここにお姉さんに鍵をもらいに来たってわけです」昭成は適当な嘘をついた。鈴が刑務所に入っていたことを彼女は誰かに知られたくない。当初、彼女が刑務所に入ったことを、上流社会の人間は知っていたが、一般人は誰も知らない。だから、昭成は鈴のためにも嘘をつくことにした。鈴は半年旅行に行っていて、久しぶりに帰ってきたら門に鍵がかかっていて、ここに鍵をもらいに咲を探しに来たということにしたのだ。二人の警備員は互いに目を合わせていた。咲さんの妹?彼らは咲に妹がいるなど聞いたことはなかった。咲の弟と、いとこを見たことはあったが、そのいとこも今目の前にいるこの二人ではなかった。咲には三人のおばがいることを思い出したが、そのうち二人のおばと咲は仲が良くないため、咲は会おうとしない。だから、今まで一度もこの二人のおばは招待されたことはなく、咲と仲が良いおばだけが琴ヶ丘に客として招待された。「暫くお待ちください。執事に電話して、咲様に尋ねてもらいますので」警備員の一人はそう言うと、背を向けて警備員室に戻っていった。そしてもう一人は三人分の椅子を持ってきて、鈴たちに座って待つように伝えた。この二人の警備員の態度はかなり良かったが、鈴は不満そうに座り言った。「わざわざ聞く必要なんてないです。直接入って咲を……姉を探せばいいですから。半年家にいなくて、外に出てきたら、あ、帰ってきたら、姉が結城辰巳さんと婚約していることを初めて知ったんです。せっかく来たんだし、親戚になる人に挨拶すべきでしょう?姉の結婚相手にご挨拶しないと」鈴は刑務所から出てきて、咲から柴尾家の財産を奪おうと思っているだけでなく、咲と辰巳の関係も壊してしまいたいと考えていた。鈴は自分が咲よりもずっと上だと思っているのだ。彼女は咲よりも若くスタイルが良いし、目が見えない障害者ではないと思っている。後で辰巳に会った時、あまりの美しさに彼は自分から目を離すことができないだろうと鈴は思い込んでいた。咲も綺麗ではあるが、目が見えないし、スタイルだって自分ほどセクシーじゃない。あのめくらの胸はまな板同様だ。まあ、まな板と比べれば少しふっくらしている程度だろう。鈴は自分はどこをとっても素
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第2547話

「鈴」祐一は小声で注意した。「突っ走るんじゃないぞ」すると彼はさっきの警備員に笑いかけた。「ここで座って待っています。咲さんが私たちに会うと言ってくれたら、中に入れさせてください」鈴はかなり苛立って、黙ったまま不満そうに口を尖らせていた。以前の鈴なら、好き勝手に罵ったり殴ったりしていた相手だというのに、今は会うだけでも難しくなってしまった。結城家に嫁ぐ女はやはり格が違う。あのめくらは結城辰巳とはまだ正式に結婚しているわけではなく、まだ婚約しているだけなのに、一気に身分が高くなったものだ。鈴は心の中で呪うように罵っていた。一番良いのは結城辰巳が咲を弄ぶことだ。咲が彼に遊ばれて飽きて捨てられたら、大いに祝ってやろう。執事は警備員から電話で尋ねられると、返事をした。「咲様には確かに妹がいるが、以前咲様を苦しめていた。そして刑務所に送られたと聞いていたが、もう刑務所から出てきたのだろうか?咲様は妹とは仲がかなり悪い。妹はよく咲様に嫌がらせをしていたらしい。咲様に妹と会うかどうか尋ねて、会うつもりがおありなら彼らを通していい」警備員はすぐに返事をした。警備員たちは自分の責務をしっかり果たし、辰巳の婚約者の妹だと聞いて勝手に中に通さないでおいてよかったと思っていた。今ここにいる女は辰巳の婚約者を苦しめ、ひどい扱いをしていたという。刑務所にいたというのに、さっきは旅行に行っていたと嘘までついていた。このように平気で人を欺こうとするような輩なら、絶対に良い人間ではないに決まっている。執事は東屋に向かった。東屋に座っておしゃべりをしていた辰巳たちは、執事が来たので話すのを止めた。「どうした?」まず辰巳が東屋に入ってきた執事に尋ねた。「辰巳様、咲様、柴尾家の次女が来ました。彼女は咲様に会いたいと言っていますが、お会いになられますか?」すると辰巳は咲を見た。咲はテーブルの上にあるポットをとろうと手を伸ばし、カップに紅茶を半分入れて、みんなのカップにも注いでからポットを置いた。そして自分のカップを持ち上げた。優雅にその紅茶を堪能し、良い茶葉だと立て続けに褒めた。咲はカップに入っている紅茶を半分ほど飲んで、淡々とした口調で言った。「鈴には、入れるなら自分で入ってきたらいいと伝えてください。
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第2548話

「星城で俺が知りたい事は、なんだってわかるってことだよ。柴尾家の次女は俺とは関係ないし、顔すらも覚えてないぞ。彼女に関することには俺はまったく興味ないからさ」「あっそ、勝手に疑って悪かったわね。引き続きお茶をどうぞ」明凛は夫のカップを持って彼の前に差し出し、この話はここまでにしておいた。悟はそのカップを受け取って一口飲んでから辰巳に尋ねた。「辰巳君、義理の妹は一体どういうことなんだ?」「刑務所でかなり態度を良くしていたから、予定よりも早く出てきたみたいですよ。昨日出てきて柴尾家に帰ってみたいですが、鍵がないから門も開けられなかっただけです」辰巳は誰かから鈴が義理の妹だという言葉を聞くのは嫌いだったが、反論はできなかった。確かに鈴が義理の妹であることに間違いないからだ。咲と鈴には姉妹の情がなかったとしても、二人が実の姉妹である事実を変えることはできない。咲は淡々とした口調で言った。「あの人たちは、私のお父さんが残してくれた家に二十年以上も居座っていました。私にひどい扱いをしただけでなく、命まで奪おうとしてきたんです。鈴は確かに私の妹だけど、彼女は私を姉だとは思っていません。彼女の私に対する態度、みなさんもご存じのはず。十年前、私の目が見えなくなった時も、彼女も使用人たちも私を家に入れてくれませんでした。私に自分で門を開けろって言ってきたんです。でも、私は鍵を取られてしまったから、門を開けることができなくて、手探りで門をよじ登るしかなかった。その時、門の下にはたくさんガラスの破片をまかれていたんです。私は心の狭い人間だから、私に良くしてくれた人のことも、ひどい扱いをしてきた人のこともみんな覚えています。私をひどい目に遭わせた人には同じ仕打ちをしてやります。絶対に許したりしません。鈴は昨日の夜、二人のいとこと一緒に家に来て、私が飼っている犬を毒殺しようと企んでいたみたいです。でも、犬の姿がなく、諦めて門から侵入しようとしました。でも、垣根の向こうに隠れていた犬たちがすぐに出てきて彼らを追いかけたんです。鈴は犬に噛みつかれて、執事が病院で注射を打つようにとお金を渡しました。今日彼女は確実に私に文句を言いに来たのでしょう。せっかく週末ここでゆったりと過ごしているのに、あんな人のために良い気分を壊されたくありません」ここに
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第2549話

東屋にいるみんなも知っていることだった。咲と知り合う前、咲が柴尾家でどのような日々を過ごしてきたか、鈴が姉にどんな仕打ちをしてきたか、彼らはそれを知ってから、鈴は牢屋で一生を終えればいいのにと思っていた。だから、今咲が鈴にどのような態度を示しても、彼らはそれをひどいとは思わない。むしろ鈴に少し仕返しした程度で、これは復讐のうちに入らないだろう。辰巳は婚約者の手を強く握りしめ、無言で彼女を支えていると伝えた。咲がどのような決断を下しても、彼はなんだって支持する構えだ。咲がここまで来るのも簡単ではなかった。咲は運が良かったからここまで生きてこられたのだ。咲が今鈴を困らせているのは、加奈子と鈴が咲にしてきた事と比べれば、かなり軽い仕返しでしかない。咲は辰巳のほうへ顔を傾けて何も言わずに微笑み、彼の手をぎゅっと強く握り返した。咲はそう簡単にやられはしないし、鈴を許したりもしない。鈴は二人の従兄とゲート前で返事を待っていた。警備員室の入り口に椅子を置いて座っているだけだから、太陽に照らされてとても暑かった。暑いしイライラするしで、彼女は苛立ちを隠せずにこう言った。「なんでまだ返事がないのよ。もう十一月だっていうのに、なんで今日はこんなに太陽が強くてあっついのよ!」昭成は咲を落ち着かせようとした。「もう少し待とう。きっとそんなにすぐに返事は来ないだろう。星城の天気はこんなもんさ」「咲は絶対にわざとよ。わざと返事を遅くして、この暑い中私たちをずっと外で待たせる気なんだわ」こんなに太陽が強いと知っていれば、日傘でも持ってきたというのに。鈴が苛立っている中、警備員が部屋から出てきて申し訳なさそうに言った。「すみません、咲様はお会いにならないので、帰るようにとおっしゃっています」「あのめくら、なんですって?」鈴は突然立ち上がり、綺麗な顔を歪めて怒りだした。「あいつ、私に会わないって?時間がないわけ?忙しいわけないでしょ?週末なのに忙しいわけないわ!絶対にわざとよ、私に会わないようにしたいだけよ。あのクソめくらめ!」鈴は狂いそうなほどに腹を立てていた。警備員は眉をひそめて言った。「すみませんが、言葉にはお気をつけになられたほうがいいと思います」咲はすでに目が見えるようになっている。たと
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第2550話

鈴は怒り、振り返って昭成の顔に平手打ちをした。その瞬間、バシンッという大きな音が響いた。昭成は顔が火照るようにひりひりと痛んだ。彼はその瞬間、何も考えずに鈴の顔に平手打ちを返した。鈴はまさか昭成から叩かれるとは思ってもいなかった。小さい頃から大人になるまで、この従兄は鈴の機嫌を取ることばかりで彼女の言いなりだった。いとこたちが鈴のご機嫌取りをするのは言うまでもなく、あの二人のおばですらも同じだった。柴尾家で鈴が最も可愛がられて大切にされていることをみんな知っていたからだ。まさか黒川家の従兄からこのように叩かれる日が来るとは……鈴は彼に叩かれた頬を手で押さえて、信じられないといった顔で昭成を睨みつけて怒鳴った。「よくも私を殴ったわね!」昭成も同じく怒鳴り声をあげた。「お前一体自分を何様だと思ってるんだ?まだ柴尾家の令嬢だとでも?ふざけんな、前科持ちのくせに。まさか今でもまだ昔と同じように高貴な柴尾家のご令嬢だと思ってんのか?言っとくけどな、鈴、お前の母親は刑務所から一生出てこられないんだぞ。彼女は刑務所では態度が悪いから、二年の執行猶予が終われば死刑執行は免れないぞ。父親は生きて出てこられたとしても、十数年後の話だ。もうすっかり状況は変わっちまった。お前は父親が出てきてから昔と同じような暮らしができるとでも思ってんのか?お前の両親は咲の父親を殺したんだ。そして今、咲は後ろ盾を持ってる。絶対にお前らのことを許すはずがない。お前の父親が出てきても、復讐を考えるに決まってるさ。それなのにお前はまだ両親が支えになってくれるとでも思ってんのかよ!それに今俺らがいるのは一体どこだ?お前、長生きするつもりないんだろ?ここはな、あの結城家の拠点で、結城家に嫁ぐ予定の咲をめくらだとかクソ女だとか罵るとかありえないっての。死にたきゃお前一人で死ねよ。俺たちを巻き込むな、俺たちはまだ死にたくねえんだよ。お前は咲が昔のように簡単にいじめられる弱い奴だとでも思ってんの?それに前だって、咲をいじめても損することがあっただろ?本気で自分はまだすごい人間だと思ってんの?俺らがお前に良い態度をとってたのだって、お前の両親に気に入られて利益を得たいと思ってたからにすぎないんだ。今の状況も理解できず、ずっと強気で傲慢でわがままでさ、そんな
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