柏浜空港。唯月を迎えに、奏汰が一足先に空港に来て、彼女の到着を待っていた。理仁からの任務に、彼が断わることなどできるはずもない。しかし、理仁からの指示でなかったとしても、唯月が来ると知れば、必ず空港まで迎えに行くに決まっている。唯花の姉であり、陽の母親なのだから。彼女たちは結城家の親戚にあたる。奏汰は常に時間を確認していた。外はどんどん暗くなっていき、完全に真っ暗になり、街の明かりがついてから、唯月はようやく柏浜に到着した。彼女の乗る飛行機は無事着陸し、唯月は携帯のフライトモードをオフにして、妹にメッセージを送った。【唯花、さっき飛行機が柏浜に到着したわ。もう少ししたら降りてラグジュリゾートに向かうわね。その時また電話するから】唯月は柏浜ではラグジュリゾートホテルに滞在する予定だ。前回、詩乃と一緒に来た時も、同じホテルに泊まった。今回また柏浜に来ることになり、詩乃は唯月に家を見て回り、気に入った物件があれば購入したらいいと伝えていた。そのほうが、いつもホテルに泊まるよりも便利だからだ。そして唯月が家を買う場合には、良い物件を探すように言われている。費用は全て詩乃が負担する。唯月が星城で暮らしている家は、理仁が最も最低の価格で彼女に売ったものだ。当初はもちろん理仁は贈るつもりだったが、唯月がどうしても拒否するので、しかたなく形式的にお金を受け取ることにした。しかしそれでも、唯月の貯金はほぼ全て使い果たしてしまったことだろう。そのため、唯月が柏浜で家を購入するのは、すぐには難しい。彼女は伯母から家を見に行けと言われたので、言われた通りに見に行って購入しようと思っているが、その時には不動産権利書に伯母の名前を書くつもりだ。今後、唯月も詩乃も頻繁に柏浜に来ることになる。家を購入しておいたほうが、なにかと便利だ。実は今回、詩乃も一緒に来たがっていたが、理紗がまだ出産したばかりなので、唯月一人で行かせるしかなかった。詩乃も、唯月姉妹と娘の姫華には、唯月を黛一族の次期当主として育てる意思があることを伝えていた。今、唯月にのしかかるプレッシャーは一番大きかった。唯花はすぐに姉に返信した。【無事に到着したのならよかった。お姉ちゃん、ホテルに着いたらまずはご飯を食べてね。時間ができてから電話してくれたらいいよ】
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