ラグジュリゾートホテルの最上階にあるプレジデンシャルスイートルーム。唯月と玲はリビングのソファに腰かけ、奏汰が二人に紅茶を入れて、フルーツ盛り合わせの皿を準備していた。「内海さん、もしよかったら、うちに泊まりませんか?私の持ち家で部屋数も多いし、広いんです。どのみち私は一人なので、同居人が増えると嬉しいです」玲は自分の家に唯月を誘った。唯月は玲のほうへ顔を向けて笑って言った。「白山社長、私がそちらにお邪魔したら、柏浜の芸能ニュースで、あなたと奏汰さんが破局したと騒がれてしまいますよ。それに、もしかしたら『結城奏汰はただの思い込み?白山社長が好きなのは、やはり女性だった!』みたいな伝え方までされてしまうかも」玲は言葉に詰まった。玲はまだ男装をしている。それなのに彼女の家に唯月が泊れば、すぐに誤解されて不必要な面倒に巻き込まれかねない。唯月は柏浜に来たばかりで、まだ足場を固めていない。そんな中で多くの女性から恨まれてしまっては、不利になる。玲を慕っている女性は多い。彼女達は男の奏汰には敵わないが、唯月相手となれば、きっといけると思うはずだ。「白山社長と奏汰さんの仲はますます良くなっていますよね。ちょうどいいタイミングで、正直に自分が女性だということを公にしてもいいと思います。お二人とも実際は違うのに、同性愛者だと言われているでしょう?」玲は少し黙ってから、口を開いた。「いえ、今は周りに説明する必要はありません。もし、彼と結婚することになったら、結婚式にはウェディングドレスを着ますので、みんなその時わかるでしょう」唯月は笑って言った。「それでも、もしかすると、白山社長は男なのに奏汰さんのために、自分が受けになってるなんて、言われてしまうかも」玲「……」「私も誰かに結婚しろとか離婚しろとか、お節介を焼くことは普段ありません。私自身、結婚していた頃は日々落ち着いて過ごせることはなくて、離婚騒動にまでなりましたから。元夫から暴力をふるわれた時は、包丁を持って彼を街中追いかけ回して、鼻が腫れるまで殴ってやりましたよ。たまに、結婚が女性にとって何の意味があるのかわからなくなる時があります。結婚して、夫と努力しながら家庭を支えていく。子供を産んで育て、義父母の世話までしないといけない。しかも、相手からは理解してもらえ
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