「ジンジャーティーも作ったんだ。時間がないなら、タンブラーに入れるから一緒に店に持って行って飲んでくれ」唯花は少し意外そうに彼を見つめた。彼が彼女のためにわざわざジンジャーティーまで作ってくれていたなんて。理仁はタンブラーをさっと水洗いし、作っておいたジンジャーティーをその中に入れて、それをまた袋に入れてから彼女に手渡した。「ちゃんと飲んでね」唯花はそのタンブラーの入った袋を受け取り、じいっと彼を見つめてから言った。「行ってきます」それだけで行ってしまった。理仁はその場に立ったまま彼女が出かけるのを見送っていた。おばあさんは彼に「彼女を送ってあげないのかい?」と聞いた。「彼女は出口がどっちかくらいわかってるだろ」おばあさん「……」さっきまで彼が進歩したと褒めようと思っていたのに、結局はまたがっかりさせられてしまった。こいつ、本当に……呆れて言葉も見つからない。「ばあちゃん、彼女のさっき俺を見つめるあの目、たぶん、ばあちゃんがここにいなかったら、きっと俺にキスしてくれたぞ」おばあさん「……」理仁は残念そうにおばあさんの隣に座り、祖母と孫二人で黙々と朝食を食べた。「唯花さん、厚めのコートは着て行かなかったみたいだけど」おばあさんは突然そう言った。理仁は淡々と言った。「彼女に後で持って行くよ」おばあさんは彼がちゃんと話が通じるようになって大変満足した。唯花は急いで出かけたが、姉に電話をするのは忘れなかった。陽の状況を尋ね、姉が会社を休んだと知って、姉の家には行かず、直接店に行った。すでに生徒の登校時間が過ぎた時間だった。彼女はお店を開いた後掃除をした。外は雨が降っているので、店の外には看板やラックなどは置かず、店の中にそのまま置いていて、少し中が狭く感じた。彼女は羽根はたきを持って、本棚のホコリを落とした。数日後には高校生たちは冬休みを迎える。彼女の本屋は基本的に店を閉めて年越しの準備ができる。「唯花さん」聞きなれた声が後ろから聞こえてきた。唯花が後ろを振り向くと、まず目に飛び込んできたのは鮮やかな薔薇の花束だった。その花束を抱えていたのは金城琉生だった。暫くの間彼に会っていなかったら、琉生は少しやつれたようだった。ヒゲも綺麗に剃っておらず、以前のように太陽みたいな男の
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