唯花は座って、そのジンジャーティーを持ってきて、ゆっくりと飲んだ。理仁が心配してくれる気持ちのおかげか、それともジンジャーティーの効果なのか、彼女は飲み終わって少しの間横になっていると、かなりお腹の痛みが緩和された。理仁が薬を手に入れて戻ってきた頃、彼女は携帯でニュースを見ていた。「お腹が痛いのに携帯をいじってるなんて」理仁は彼女のもとへ近寄り携帯を取って、薬を彼女に手渡した。実際はボディーガードに頼んだのだが、彼はこう言った。「夜遅いからドラッグストアは閉まってたよ。だから、比較的近くに住んでる同僚に連絡して痛み止めを持ってないか聞いたんだ。さ、これを飲んだら休むんだ」唯花は顔を彼のほうへ向けてじいっと見つめた。「どうした?」彼女は突然立ち上がり、彼の前に立って彼の腰をぎゅっと抱きしめ感動した様子で言った。「理仁さん、あなた私に優しすぎるわよ!」理仁も彼女を抱きしめ返した。そしてジンジャーティーを飲んで彼女はだいぶ楽になったのだと思い、愛情のこもった声で言った。「君は俺の妻だろ、優しくするのは当然だ。じゃなきゃ一体誰に優しくしろって?」彼が彼女にとても良くしてくれると感じてくれれば、今後彼に騙されていたということを知っても、彼を捨てることはしないと願っていた。きっと彼が彼女に優しくして、よく気遣ってくれたことを思い、それを考慮してくれるはずだ。おばあさんからも彼女の心を攻めろと言われていたことだし。甘い言葉を吐くのは彼は慣れないし、彼女だって聞き慣れない様子だ。だから日々の暮らしの中の細かいところまで気を配り、少しずつ彼女の心を溶かして信頼関係を築きあげ、彼女が彼を深海の如く深く深く愛するようにさせるしかない。そうすることで二人の未来が開けるのだから。「理仁さん」「なに」「あなたさっき出かける時、どんな格好で行ったかわかってる?ナイトウェアで出かけていったのよ」理仁は驚いて急いで彼女を離し、視線を下に向けて自分の着ている服を見てみた。確かにナイトウェアだ。「しかもスリッパを靴に履き替えずに出かけていったんじゃない?」理仁はまた自分の足に視線を落とした。なるほど出かけている時、なんだか足がスース―すると思ったわけだ。スリッパのまま出かけてしまったのか。幸い夜遅くに出かけたので、誰も彼を見てい
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