明凛は姫華に激しく揺さぶられ、目が回りそうになった。彼女は姫華の手を押しながら慌てて言った。「姫華、私は九条さんとはただ一度お見合いをしただけよ。それ以外何もないの。私が聞いてもきっと教えてくれないわよ」「明凛、あの九条悟とお見合いしたの?」姫華は驚きのあまり、声を上げた。「九条悟と言ったら、星城で最もハイスペックな独身男性の一人よ」明凛が悟とお見合いできる資格があるかどうかについては、姫華は疑わなかった。なぜなら、明凛は星城にある富豪家の娘で、そのおばが金城家の奥様だからだ。上流社会のパーティーに、そのおばはよく明凛を連れて行っていた。しかし、明凛が大塚夫人の誕生日パーティーで床に寝転がるという大胆な行動に出てからというもの、おばはもう彼女を連れてパーティーへ行かなくなった。「唯花の旦那さんが紹介してくれたのよ」唯花は笑って、大人しく白状した。「うちの旦那は九条さんを完全に味方につけたようね。九条さんが仕事が忙しすぎて、まだ独身なことを知って、明凛ならちょうどふさわしいと思ったのよ。それで、勇気を出してその赤い糸を引こうとしてみたの」「唯花、旦那さんもなかなかすごい人だわ。九条さんを味方につけられるなんてね。どうりで結城グループでも、うまくやっていけるわけね。九条さんは結城社長の最も信頼する人物なの。結城グループで結城家の他の坊ちゃんたちよりも高い地位についているのよ。同じ会社の同僚だけでなく、私たちのような人間でも彼に贔屓されたいと思っているわ。残念だけど、彼は結城社長の親友で、結城社長が私のことが好きじゃないから、九条さんも私を見るたびに、すぐ避けてしまうの。だからこちら側についてもらうことなんかできやしないわ」明凛と唯花は言葉を失った。九条悟ってそんなにすごい人なのか。姫華のようなお嬢様でも彼を味方につけたいと思うとは。九条悟でもこんな感じだったら、結城社長を味方につけてしまえば……この世にできないことなどなくなるじゃないか!唯花は思わず、誰かが結城社長に贔屓されたら、星城で無敵になるだろうと思った。「明凛、九条さんって人、どうだった?」姫華は今すぐにでも悟を通じて結城家の若奥様の正体を知りたかった。たとえ負けたとしても、どんな人物に負けたのかをはっきりと知りたいのだ。明凛は手を広げて見せた。「
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