理仁はすぐ口を開かず、少し離れたところにある東屋を見て、そこへと歩いて行った。東屋の周りに装飾として人工雪がたくさん敷いてあり、まるで真冬の雪景色のようだった。彼は東屋の石製のテーブルの席につくと、周りの人工雪を見回し、なぜかひんやりとした気分になった。そして彼は善に褒め言葉を送った。「ここの人工雪の景色は非常に素敵ですね。季節感があります」雪の降る地域なら特に風流が感じられる。例えば望鷹市なら、今頃は確かにいたるところに雪が積もっていて、特に寒い。それが星城だと人工雪で雰囲気と景色を無理やり作るしかないのだ。「もうすぐ正月ですから、何かしら装飾して、みんなに正月気分をしっかり味わってもらいたいと思いましてね。うちの山荘のスキー場にも本物の雪がありますよ。結城社長、スキーに興味がありますか。ご案内しますよ」理仁は淡々と答えた。「いいえ、私は北国のスキー場でスキーを楽しむほうが好きなんです」善は笑った。「奇遇ですね、僕もそう思いますよ。また時間があれば、一緒に北の方へ雪を見に行ったり、スキーとかしに行きましょう。北国の景色をじっくり楽しめます。ところで、結城社長は、もしかして恋愛関係の問題で悩んでいらっしゃいますか?」善は独身だったが、非常に目が鋭い。兄夫婦の結婚式で、彼は理仁がずっと上の空な様子だと気づいていた。確かにインスタで一度のろけたことで、結城グループの社員はようやく彼が結婚したということを知ったが、完全には公表していなかった。善もそのことを知っていたが、理仁が完全に外部に公表していないから、知らないふりをしていたのだ。理仁は善を見つめた。「そんなにわかりやすいですかね」善は笑いながら説明した。「結城社長をよく知らない人なら気づかないでしょうね。結城社長は普段からいつも無表情で威厳のある方ですが、悩み事がある時、特に厳しくなりますよ。僕を信用してくれるなら、話してくださいませんか。でも、僕はまだ独身の身ですから、話くらいは聞けますが、解決策を出せるかどうか保障できませんが」彼には彼女すらいないのだ。学生時代にクラスの前の席に座っていた女の子に好意を抱いたことがあるが、卒業後二人は別々の大学に進学してしまった。最初は時々連絡を取り合っていたが、相手に彼氏が出来てから、善はもう連絡を取るのをやめたの
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