唯月は笑って言った。「二人の仕事はうまくいってないって聞いたけど、それほどかからずに失業するかもしれないわね。給料だって中身が空っぽのカードを渡されるわけで、それのどこが自慢になるっていうの?私とあいつは離婚する前は必要な費用を夫婦二人で半々負担してたけど、離婚する時に二千万以上財産分与で私がもらったわ。あいつが失業したとしても、別に私と陽が生活に困ることなんてないのよ」莉奈「……」俊介は不機嫌になった。「誰が俺らが失業するって言った?俺らは仕事は順調だぞ」それに対して唯花が口を開いた。「あんたの母親が言ってたのよ。あの人、ほぼ毎日お姉ちゃんのところにやって来て、その女狐にあんたがたぶらかされて夢中になってるって文句言ってるのよ。その女は財産を食いつぶす貧乏神だってね。湯水のようにお金を使って、あんたが苦労して稼いだ金も全く惜しまないとか、成瀬さんの両親は娘を嫁がせるんじゃなくて、娘を売ったクズ一家だともね」莉奈の顔色が一瞬にして暗くなった。俊介は成瀬家が要求してきた結納は確かに多すぎると思い、唯花の言葉にすぐには返事はしなかった。現在の彼の財力であれば、成瀬家の要求通りにそのお金を渡すことはできる。しかし、実をいうと彼はあげたくないとも思っていた。その金額があまりにも多すぎるからだ。それに彼は自分のお金を使って、あの家をまた内装しなければならないのだ。それから、結婚式や披露宴、様々なところにお金が必要で、成瀬家に結納金を渡したくないと思っていた。俊介の母親の言葉を引用して言えば、一千万以上なら世間で一番優しく美しい仙女のような女性を嫁にできるだろう。成瀬莉奈はそれにあたるのか?さらに、莉奈は道徳観に欠けているとも言っていた。莉奈が当初、彼には妻も子供もいると知っていながら、彼を誘惑したと。莉奈にその気がなかったらできないことなのだ。莉奈が何も企んでいなければ、さっさと離職して、俊介から遠く離れていたことだろう。俊介の母親は成瀬莉奈こそアバズレ女だと罵っていた。たとえ容姿がいくら美しかったとしても、安っぽいクズ女で唯月には敵わないと言っていた。「お姉ちゃん、私、他にもまだいろいろ買わなくちゃ。またあちこち回りに行こうよ」唯花は不和の種をまくのに成功し、姉と一緒にショッピングカートを押して去っていった。俊
Read more