玲は凪のその証言を援護するように言った。「ご当主様、凪さんの話は本当です。彼女はさっきずっとここで食事なさっていました。俺は彼女にダンスを誘おうと思って、その時彼女はやっと立ち上がったのです」「私は別にあなたが若葉を転ばせたなんて言ってないわ。ただ近くにいるのに、妹が転んでどうしてすぐに助けに出てこないの」和子は養女のほうを大切にしていると柏浜では有名だった。和子のその言葉に、周囲はみんな心の中で、このばあさん、痴呆症にでもなっているのか、状況をまったく理解できていない、と愚痴をこぼしていた。養女が転んで、実の娘が助け起こしに行かないと責めるとは。若葉は自分で起き上がることができないのか?若葉が転んだことは凪と何の関係がある?「そうよ、若葉が派手に転んでいるのに、凪ったら立ったまま傍観しているなんて、情けのない人間ね。若葉を起こすのを手伝ってあげてもいいじゃないの。若葉が無様に転んで恥をかいたのを楽しんでいるんでしょ?」そう言ったのは綾だ。明らかに凪のせいではないのに、このように言うことで若葉に凪を恨ませようとしているのだ。凪は口を開いて何か言いたげにしていたが、結局何も言わずに頭を下に向けて悲しそうな雰囲気を出した。彼女の可哀想な様子に見た者は怒りを覚えた。みんな、黛家の面々は状況をちゃんと理解できない理不尽な人間だと思った。若葉の実の父親は、本物の令嬢だった凪を陥れたのだ。彼女は生まれてすぐに執事の娘として、田舎に連れて行かれて育った。そして若葉のほうは、元々凪のものだった全てを奪った。そして神の意志でやっと凪が本物の令嬢であることがわかったというのに、黛家は以前と変わらず若葉のほうを大切にしている。凪に対して表面的にはよくしているが、実は彼女に冷たくあたっている。この黛家の当主である凪の実の母親ですらこのように凪を扱っている。凪が正式に黛家の令嬢として戻って来て、すでに一年経っている。それに和子とは何度も接待に付き合っていて、その時みんなは黛家の当主が凪に不満を持っているのを目の当たりにしていた。当主が誰かの前で凪に対して微笑みかけている姿など見たことはない。今、凪は黛家が経営する会社では管理職に就き、彼女にある程度の権限を与えたように見えるが、それはただ表面上にすぎない。凪が田舎で育ち、何も
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