おばあさんは言葉を失い、やや後ろめたい様子で言った。「それはそういう性分だからでしょう?教える必要はないわ」そして、独り言のようにまたぶつぶつ付け加えた。「それに、ちょっとした困難を乗り越えた方が、お互いをより大切にするようになるものよ」麗華は呆れて言葉を失った。その時、ある使用人が入ってきた。「おばあ様、奥様、若旦那様がお帰りになりました」すると、おばあさんはしっぽを踏まれた猫のようにパッと飛び起きた。その動作の俊敏さは、まるで年を全く感じさせないほどだった。「麗華さん、私は部屋に戻って横になるわよ。もし理仁に聞かれたら、彼と唯花ちゃんのことで心配して寝込んでるって伝えてちょうだいね」麗華は思わず言った。「……もし理仁がお義母さんを病院に連れて行こうとした時、私を責めたりなさらないでくださいよ」「火葬場に直行じゃなければ大丈夫よ」おばあさんは素早く部屋に戻り、ベッドに横たわって寝込んだふりをした。暫く横になっていたが、ノックの音は聞こえなかった。おばあさんは不審そうにつぶやいた。もしかして、理仁ったら、怒りすぎておばあさんが「病気」で倒れたとしても気にしなくなったのだろうか?全く、ちょっとくらい反応があってもいいのに。このまま横になり続けるべきか、それともあの生意気なやつが何をしているのか覗きに行くべきか、それが問題だ。一方で、その理仁は一体何をやっているだろう?彼は帰って部屋に祖母の姿が見当たらないと、ひとことも言わず踵を返した。麗華は思わず追いかけて、後ろから心配そうに声をかけた。「理仁、大丈夫?」理仁はまるで心ここにあらずといったような返事をした。「大丈夫」「顔色がよくないわ。ちゃんと休めなかった?唯花さんは?」「お姉さんのところに行った」麗華はびっくりして、思わず足を止めたが、息子がまた遠ざかりそうになると、慌てて追いつきながら聞いた。「まって、理仁、『行った』ってどういう意味なの?」「そのままの意味なんだ」理仁は露天のプールの前で立ち止まった。すると、上着を脱ぎ始めた。「理仁、何を考えてるの!?こんな季節にプールに入ったら、風邪を引くわよ」麗華はそれ以上詮索するのをやめ、慌てて厳冬にプールに飛び込もうとする息子を必死に止めた。「風邪を引いたって、唯花さ
Baca selengkapnya