明凛は自分の両親がかなり悟のことを気に入ってるので、もし両家が顔合わせでもしようものなら、恐らくそのまま結婚の流れになってしまうだろうと思い、どうにか断ろうとこう嘘をついた。「おば様、両親は最近旅行に行ったばかりで、たぶん数カ月後しか戻って来ないのです」それを聞いて小百合はとても残念そうに「旅行に行っていらっしゃるのね。じゃあ、お二人が戻って来られてから、また食事をしましょうか。明凛ちゃん、ご両親は悟と会ったことがあるのかしら?」と言った。「ありますよ」「悟のこと、何ておっしゃってた?」明凛は悟のほうを見て言った。「両親には聞いたことがないんです。九条さんがうちに来る時は、十中八九、うちの弟を食事に誘うために来ていたので、両親は九条さんが弟のことを好きなんだと勘違いしていたんです」小百合「……」悟はあのイケメン顔を気まずそうに歪めた。しかし、特に言い訳などしなかった。彼は明凛がまだ両家の顔合わせをしたくないとわかっていたし、それに彼も特に焦ってはいなかった。今年中に彼女を手中に収めることができればいいと思っているだけだ。「明凛ちゃん、悟はね、絶対にあなたのことが好きなのよ。もしこの子が男のほうに興味があるんだったら、最初に犠牲になるのは理仁君よ。理仁君はもう結婚しちゃってるし。そうだわ、理仁君の奥さんってあなたの親友なのよね。本当、縁があるのよ。理仁君と悟も親友同士なのだから」親友同士である唯花と明凛が結婚した相手も、同じく親友同士だなんて、素晴らしいことだ!小百合は息子に代わって、明凛に悟は両刀使いではないということを説明しておいた。明凛は笑って言った。「おば様、わかっていますから」小百合の携帯がここで突然鳴り響き、彼女はその電話に出た後、二人に言った。「明凛ちゃん、おばさん、用事ができたからお先に失礼するわね。悟とここでゆっくり食事を楽しんでちょうだい。食べ終わったら映画デートよ、この子接待がないなんて珍しいんだから」「おば様、一緒に食べないんですか?」「遠慮しておくわ。私もお客様が来たから食事会に行かないと。じゃ、行くわね。あちらをお待たせするわけにはいかないから」小百合はそう言いながら立ち上がり、息子に何か二言三言注意して、名残惜しそうにその場を離れた。小百合が去って、明凛はホッと一息つき、悟に
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