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第852話
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交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1122話
吉田「……清水さん、注意してくれてありがとうございます。もし教えてくれなければ、屋敷に入って若旦那様の怒りを買うところでした。若旦那様のお部屋は、言われたとおりにレイアウトしましたか？」と吉田は心配そうに尋ねた。「もちろんです。とってもロマンチックなお部屋になっていますよ。きっと若奥様もお喜びになるはずです。ご夫婦の気持ちもヒートアップすることでしょう」清水は期待した眼差しで言った。「若奥様に一刻も早くおめでたい知らせがあると良いですね」彼らの主人があそこまで努力して行動してきたから、期待しないわけがないのだ。「そのような話は私の前だけでおっしゃってくださいね。若奥様の前で言うと、きっとプレッシャーを感じられるでしょう。若旦那様と若奥様が一緒にいらっしゃる時間はまだそこまで長くありません。もしかすると、お二人は暫らくの間はお二人だけの世界を楽しみたいと思っていらっしゃるかもしれませんよ」吉田も唯花が早めに妊娠することを望んでいるのだが、夫婦がまずは数年二人きりの世界を過ごしたいと思っているのであれば、彼ら使用人たちも子供を催促するような資格などないのだ。清水は言った。「わかっていますよ。若奥様の前でこのようなお話は絶対にいたしません。私は他のどなたよりも、あのお二人がずっと幸せで仲良くお過ごしになるのを望んでいるのですからね」清水は理仁が唯花に惹かれていく過程をずっと見てきた証人であるのだ。それに、夫婦が衝突して冷戦状態に陥った頃もずっと見届けてきた。理仁はたまに清水に愚痴をこぼすこともあったが、清水がそれを聞いていつも適切な助言を与えたのだ。吉田は言った。「私だって、若旦那様と若奥様が一生仲良くお過ごしになることを望んでいますよ。もう二度と喧嘩などして冷戦にならないと良いんですが」以前彼は用事があって、暫らく執事の仕事を休み、臨時で渡辺に家の一切を任せていたのだ。その時ちょうど理仁が自分の身分を明かし、唯花がその事実を受け入れられない時期で、夫婦は喧嘩になり、かなり硬直状態が続いていたのだった。彼ら結城家で働く者たちにとって、それはヒヤヒヤするほど心配な出来事だった。渡辺は一日に何十回と吉田に早く帰ってきてほしいと電話をかけていた。この執事という仕事をさっさと返上したかったのだ。清水もそれが過ぎ去ってもまだハラハ
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1121話
理仁は少し考えて言った。「その方法もいいと思うよ。DNA鑑定が一番直接的でわかりやすい方法だからね。それに説得力もあるしね。明日誰かにあいつを連れて来させよう。君はあいつと血縁関係があるか調べてみて、裁判の時に証拠として出せばいい。あいつらにギャフンと言わせてやるんだ。ただ内海陸が彼らの孫でなかったら何とも言えないが」唯花「……じゃ、もしも、陸が本当にあの人たちの孫じゃなかったらどうするの……」理仁「……」その仮定に夫婦は一瞬にして言葉を失ってしまった。そして、最後には理仁が口を開いて話した。「だったら、君のおじいさんと血縁鑑定を直接したらいいだろう。あのじいさんはきっとそれは拒否するだろうから、内海陸を利用して、おじいさんから髪の毛を十数本抜いてもらってこればいいさ。毛根がついているものがいいから、そのように注意しないとね。君のおじいさんの髪の毛を手に入れたら、鑑定に出せる」必ず血が必要というわけではないし。内海陸は内海家では一番年が若い子供だ。しかも陸は過去二回も唯花から懲らしめられていて、彼女に対して恐怖心を抱いている。だから、彼を利用するのが最も有効な手段なのである。唯花は理仁の言った方法はいけると思い言った。「じゃ、あなたの言ったとおりにやってみましょう。陸を利用して、あの人の髪の毛を数本抜き取ってきてもらって、それから鑑定に出すわ。結果が出れば、すぐに私のお父さんがあいつらの子供かどうかはっきりするものね」夫婦二人は話していて、家に帰るまでの道のりがとても短く感じていた。そしてすぐに高級住宅地のてっぺんにある、瑞雲山の邸宅へと帰ってきた。清水が出てきて屋敷の前の門を開けた。清水を見た瞬間、唯花は清水の給料をアップする考えが浮かび、理仁に相談した。彼は「うちは君の家でもあるんだ。君自身が決めていいんだよ。清水さんの給料を増やしてあげたいと思ったら、別に俺の同意を得る必要なんてないさ」と言った。「清水さんはあんなにお姉ちゃんの手伝いをしてくれたでしょ。本来彼女の仕事ではなかったんだし、給料を増やさないとなんだか申し訳なくて。私たち夫婦二人の家庭だもの、一緒に生活しているでしょ、あなたが決めなかったとしても、あなたにこのことを教える必要はあると思う。私たちの家庭のことなのに、あなたが何も知らないなんてことあっ
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1120話
もし、けしかけた相手が一般人であれば、加奈子もすでにどうにか処理できているはずだ。しかし、その相手が結城家の若奥様ともなると、加奈子も、もうお手上げだ。「彼女なら別に私のところに来てないわよ。柴尾社長があなたのところに来たの？」「ああ、また謝罪の品を持って謝りに来たよ。だけど、俺は彼には会っていない。辰巳に顔を出してもらったんだ」辰巳は今後、柴尾家の面々とは交流する機会が増える。そのため彼に出てきて処理をさせることで、手慣らしをさせておいたほうがいいだろう。辰巳がそれを知れば黙ってしまうだろうが。「柴尾夫人が私のところに来たとしても、柴尾鈴を許すことは絶対にないわ。敵に情けをかけることは、自分にとって危険な行為だもの。私と柴尾鈴の確執はどんどん大きくなってる。絶対に和解するようなことはないでしょうし」それに唯花は柴尾咲のほうについているし、鈴はその咲に敵意を向けているのだ。唯花と鈴の立場が違うことで、敵対する相手はもう定められているのだ。「あんな女と和解する必要なんてないさ。彼女のあの野蛮な性格はすでに出来上がってしまっている。全ての人間が彼女を持ち上げて、ご機嫌取りをし、彼女の言うこと全てに従うものだと思い込んでいる。君が彼女を許したとしても、彼女の君に対する恨みはいつまでもあるだろう。隙を狙って君へ復讐をしようと企むはずだ。自分のやったことが間違いだと気づかないような人間に、和解するなんて考えを持ってやる必要なんて一切ないんだよ」理仁はかなりの自信を持ってこう告げた。「唯花、心配しなくていい。この俺がついているんだ。結城理仁の妻が誰かから虐げられるなどもってのほかだ。誰のことも恐れる必要はないし、腰を低くして誰かにへつらう必要もないんだ」唯花は笑って言った。「たとえ私があなたの妻じゃなくたって、私も自分の正義を貫く人間よ。私は何も間違ったことをしていないのだから、どうしてこっちが先に折れる必要があるの？彼女が今日私にやったことを、明日は他の誰かにやるでしょう。だからまずは法という武器を使って彼女を懲らしめてやらなくちゃ。あの野蛮な性格を改めさせることはできなくても、教訓を与えることはできるでしょ。そうすれば、今後、そう簡単に人の命に関わるようなことに手を出そうとはしないはずだわ」そう言い終わると、唯花は笑顔から真面
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1119話
「どこに帰ってるの？」夫婦二人が暫らく愛について語った後、唯花はトキワ・フラワーガーデンに帰る道ではないことに気がついた。「瑞雲山の家に帰るんだ」唯花はひとこと「そうなんだ」と返事した。理仁はかなり心配そうに彼女のほうを見ていた。唯花が不機嫌になったり、嫌がったりしないか心配だったのだ。瑞雲山の邸宅は彼女にとって恐らく良いイメージはないからだ。彼が自分の正体を明かした後、唯花を失うのが怖くて、彼女をこの屋敷に二日軟禁していた。みんなから説得されてやっと彼は唯花を自由にさせることにしたのだ。そして彼女が瑞雲山を離れてから、今に至るまでここへは足を踏み入れていない。「唯花さん、もしあそこに帰るのが嫌なら、運転手にルート変更を伝えて、フラワーガーデンのほうへ帰ろうか？」そして少し言葉を詰まらせてから、小声でぶつぶつと呟いた。「ばあちゃんが、フラワーガーデンのほうに居座ってるんだよな」唯花「……瑞雲山のほうへ帰りましょう。ルート変更なんてしなくていいわ」この男、おばあさんがトキワ・フラワーガーデンに住んでいるから、もし彼が我を忘れ、夜唯花とイチャつく時に、羽目を外してしまって、おばあさんを驚かせてしまうんじゃないかと考えているのだろう。唯花もおばあさんに色々と気づかれたくはなかった。瑞雲山邸に関しては、唯花は別にトラウマを持っているわけではない。ただ、またそこへ行くと、思わずあの時のことが思い出されてしまうのだった。それでも、それはもう過ぎたことだ。彼女もいつまでもその記憶から目を背けているわけにはいかない。あの時、彼が狂い、彼女に固執していたことは、今考えれば理解できないことはないのだ。「わかった」理仁は彼女が瑞雲山の邸宅に行くのを特別嫌がっている様子はないのを見て、ほっと胸をなでおろした。彼はフラワーガーデンにいるよりも瑞雲山のほうに慣れている。そこで何年も生活してきたのだから当然のことなのだ。トキワ・フラワーガーデンではたったの数カ月しか暮らしていなかったのだから。「昼間、柴尾夫人が君の邪魔しに来なかったか？」ここで突然理仁がそう質問してきた。鈴が警察に捕まり、柴尾社長がその知らせを受け取ると、急いで星城へと戻ってきたのだ。彼は妻から事の経緯を聞いてから、もはや頭から血でも噴き出る
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1118話
もちろん、彼女が愛に溺れて物事をしっかりと判断できないような人間であったら、彼もここまで彼女に狂ってしまうほど落ちてしまうこともなかったのだ。この時、理仁はふいに清水が彼に言っていた言葉を思い出した。彼が愛しているのは、今のこの唯花であって、もし彼女が変わってしまえば、それはもう彼が愛する彼女ではなくなっているのだと。彼女の性格はまさにこのようなのだ。「だって恋のライバルなんていないじゃないの。もし、最強のライバルが現れたとしたら、常にあなたから目を離さないように見張ってヤキモチを焼くに決まってるでしょ。誰かにあなたを取られちゃうんじゃないかって心配にもなるわよ。だって、私はそこまで優秀な女性とは言えないんだもの」彼女は当たり前のようにそう言った。彼女も本当に恋のライバルなどいないからだ。理仁のことを恋焦がれて慕っている女性なら絶対に少数ではないはずだ。しかし、そのような女性たちは、告白する勇気すら持っていない。それに唯花も理仁を慕う女性に会ったこともないから、バチバチと火花を散らすこともない。だから、今の彼女は順風満帆で、完全に理仁の優しさを独占しているのだった。彼の優しさ、深い愛情、そのすべては彼女のもの。そこまで考えて、唯花は自分は本当にとても幸せな人間なのだと実感した。ここまで愛にまっすぐで一途な男性など、なかなかいないだろう。こんなに優秀な男性から一身に溺愛されているとは、唯花は夢の中でも思わずにやけて目が覚めてしまいそうだ。理仁は愛おしそうに彼女を大事に抱きしめて、からかうように言った。「だったら、そんな君のために誰かライバルでも用意したほうがいいのかな。少しくらい俺のために焦らせたほうがいいだろうか？」「そんなことできるの？もし、誰かが私のところへやって来て『内海唯花、理仁は私のものよ。いったいいくらで彼を私に譲ってくれるのかしら？』って言ってきたら、私の言い値であなたを売ってやるわよ。夫を売って稼いだお金で優雅な日々を過ごしてあげるわ、はははは！」それを聞いていた運転手と七瀬は言葉を失っていた。この話題は非常に危険である。運転手は一旦車を止めて、一時退避をしたかったが、それを実行する勇気などなかった。七瀬は透明人間になりたいと心から思ったが、残念かな、そのような能力を彼は持っていない
交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています 第1117話
詩乃は江藤家の屋敷の前に立ち、他の数人の夫人たちと一緒によく知っているあのロールスロイスが去って行くのを見送っていた。「神崎夫人、結城さんは姪っ子さんのことを本当に大切にしていらっしゃるようですね。パーティーはまだ半分しか終わっていませんのに、もう迎えにいらっしゃるなんて」詩乃はそれに対して笑って言った。「そうですね、結城さんは姪のことを大切にしてくれていますよ。我々年を取った者もあんなものを見せつけられると羨ましくなってしまうくらいに」詩乃の近くにいたある夫人が探るように質問してきた。「結城社長と姪っ子さんはいつ結婚式を挙げる予定でいらっしゃいますか？我々も、ご結婚のお祝いがいつできるのか、まだかまだかと心待ちにしているんですのよ」詩乃は笑って言った。「この間、私と夫、それから姪っ子たちと一緒に結城家の琴ヶ丘邸へお邪魔したんです。彼らの結婚式の件を話し合いに行ったんですよ。秋に差しかかる頃の良い日取りに決まりました。みなさん、まだ数カ月はお待ちいただくことになりますわ。ご安心ください、みなさんのお席はご用意しておりますから、結婚式にはお祝いをくださればいいのです」その場にいた夫人たちは揃って笑いだした。「それはもちろんですわ」結城家に招待されることは非常に名誉なことなのだ。そんな彼女たちも結城家と交友を深める機会を逃すわけはない。実際、多くの人が唯花と麗華の嫁姑が仲良くやっているのかを聞いてみたいと思っていた。唯花が毎回パーティーに伯母である神崎夫人と参加しているのは、姑との不仲のせいなのか、それとも他に原因があるのか知りたいのだ。しかし、以前原田夫人が余計なことを口にして麗華に嫌われてしまったことを考えると、みんなは好奇心があるものの、口に出すのは我慢していたのだ。詩乃から、理仁と唯花の結婚式が秋の初めに行われるということを知り、これこそ一大ニュースとなった。これにより、内海唯花が結城家の若奥様という立場であることが将来も確定し、いずれは結城家をとりまとめる女主人へとなることが決まったことになる。ここにいる夫人たちの中で娘がいる者は、家に帰ってさっそく娘に伝えようと思っていた。今後、もしパーティーで唯花に会ったら、友人関係にはなれなくとも、決して唯花を怒らせるような真似をするなと釘をさしておくのだ。息子がいてすでに嫁が
