霜村冷司は和泉夕子の言うことを聞き、和泉夕子は白石沙耶香の言うことを聞く。つまり、白石沙耶香を落とせば全てを掌握できるってことだ。何を恐れる必要がある?頭の中で整理をつけたところで、霜村涼平は思い切って電話を切り、身を翻した。その少し抜けている霜村涼平が振り向いた瞬間、霜村冷司は軽い身のこなしで、すばやく車のドアを開けた――寝室のドアが開くと同時に、和泉夕子は振り返った。そこから出てきたのが何だかよくわからないうちに、両目を大きな手で覆われた。そして、耳元で冷たくも美しい声が囁く。「見るな。目が潰れるぞ」「......」目を覆われた和泉夕子は、内心笑った。霜村冷司は自分が裸の霜村涼平を見るのが嫌だったんだろう。だけど......一目見ただけで目が潰れるなら、白石沙耶香は......白石沙耶香は、突然飛び出してきた霜村涼平を見て、顔が真っ赤になった。彼女は駆け寄ると、霜村涼平を部屋に押し戻しながら、文句を言った。「中にいろって言ったでしょ。どうして出てきたのよ?!」霜村涼平は眉をひそめた。「僕を見たって目をつぶすわけじゃないんだから、出てきちゃいけないことはないだろ。それに――」言い終わるや否や、白石沙耶香によって無理やり部屋へ押し戻された。彼を閉じ込めた後、白石沙耶香はドアノブを握りしめ、振り返えると霜村夫妻を見た。「私たち、昨夜何もしてないって言ったら信じる?」霜村冷司は無表情で彼女を見た......その視線に全身がすくむような思いをした白石沙耶香は、すぐに話題を変えた。「夕子、応接間にでもどう?」それを聞いた和泉夕子は、霜村冷司の手のひらから、すばやく顔をのぞかせた。「ええ、いいわね――」その場を取り繕おうとして言っただけの白石沙耶香だったが、和泉夕子からはまさかの「いいわね」という返事。「今日はお邪魔しない方がよさそうね。私たちはもう帰るわ」と言うと思っていたのに......白石沙耶香は仕方ないと言った様子で、頭を抱えながら、階下へと駆け降りて行った。「こっちこっち......」慌てて逃げる後ろ姿を見て、和泉夕子はくすくすと笑った。「あなた、沙耶香とちょっと話してくるから。車の中で待っていて......」霜村冷司は冷たく無関心な瞳で、寝室のドアをじっと見つめた。「行ってこい。私
Read more