霜村冬夜が5歳のこの年、色々なことがあった。まず春日家では、春日琉生がカジノで天才に出会い、必死に賭けても勝てず、最後はパンツ一丁で春日時に連れ帰られたのだ。春日時は霜村冷司が霜村冬夜を叱ったように、棒を持って厳しく叩きのめした。恥をかいた春日琉生は、二度とカジノに行かなくなった。とはいえ、そのちょっとした技術を、こっそり霜村冬夜に彼は教え込んでいた。もともと何事にも興味を示さなかった霜村冬夜だったが、春日琉生のおかげで、少しずつギャンブルに興味を持ちはじめた。もっとも、彼の興味は賭けそのものではなく、その裏にある謎解きのほうに向いていた。春日琉生が持ち込む謎解き系のおもちゃは、霜村冬夜が必ず受け取った。そして、何も言わずに書斎のカーペットに座り込み、足を組んでじっとそれに取り組む。そんな霜村冬夜を見るたびに、春日琉生は決まってこうつぶやく。やはり霜村冷司が霜村冬夜を殴ったせいでバカになってしまったのではないか、と......霜村冷司は彼に息子のことには口出しするなと告げ、早く春日家に帰るように言った。しかし、春日琉生は納得せず、ブルーベイに居座って帰ろうとしなかったため、霜村冷司は平手打ちを一発お見舞いし、彼を実家に送り帰した。春日琉生は泣きべそをかいて春日時に訴えたが、また春日時に叩きのめされた。春日琉生は元々、まともなことにはあまり興味を持たないタイプだった。だから春日家の当主だった春日時は、彼を早く一人前に育てるため、春日家の裏の産業を彼に任せた。海外でいくつかのギャングと何度か抗争し、半殺しにされた後、春日琉生はおとなしくなり、傍若無人な喧嘩をすることはなくなり、春日家の表の産業を引き継ぎ始めた。理由は簡単だ。表の産業を引き継げば、叩きのめされなくて済むからだ......この2年間、大野皐月は大野グループを率いて北米市場への進出を続けていたが、運悪く、霜村家の四男、霜村羡礼も北米市場を取りに来ていた。如月家が霜村冷司に借りを返すため、霜村羡礼に利益を譲っていたのだ。霜村羡礼が北米のプロジェクトをいくつも獲得するのを見て、大野皐月は怒り狂い、自らカナダに乗り込み、如月雅也を呼び出して「お茶」に誘った。当時の如月雅也は、5年間の経験を経て、如月圭一の後を継ぎ如月グループの社長、そして如月家のリーダーになっていた。彼の迅速かつ
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