ノラは冷たく笑った。「もうすぐ会えますよ。その時には、もっと面白いことが起きるはずですから」バタン、とドアが閉まる音が響く。若子はその場に崩れ落ち、涙を流しながら泣き続けた。......修は手足を縛られたまま壁にもたれかかり、横目で曜を見る。曜の方が、自分よりも傷がひどい。でもノラは、曜を死なせるつもりはないらしく、しっかり手当てをしていた。曜は気を失ったあと、ゆっくりと意識を取り戻し、目を開けて修と視線を合わせた。目に一瞬、後悔の色がよぎる。「修、すまない。お前まで巻き込んでしまった」修は鼻で笑う。「父さん、前にお前、俺のせいでおばあさんが死んだって言ってただろ。でも実際、全部の元凶はお前の女癖のせいじゃないか」曜は苦しそうにうなずく。「その通りだ。全部俺のせいだよ。昔はその責任をお前に押し付けてた。すまなかった」「で、他にまだどれだけあるんだ?父さん、昔どんだけ母さんを裏切った?」修の声にも、自然と嫌悪がにじむ。「当時の俺は反抗ばかりしていた。お前の母さんとは結婚したくなかった。でもおばあさんがどうしてもって言うから、逆らうために......」曜はぐったりと壁にもたれ、顔を上げて言う。「今さらこんなこと言っても遅いな。俺は後悔してる。藤沢家のみんなを不幸にした」「父さん、今や藤沢家は死んだり傷ついたりで、桜井の目的は十分果たしただろ」「修、お前が俺を恨んでるのも、お前が俺を嫌ってるのも分かってる。全部俺が悪い。でも俺は桜井くんのことを憎めない。彼がこうなったのも俺のせいだ。もし俺が彼の母親とちゃんと向き合っていれば、こんなことにはならなかった。彼が俺を殺したいって言うなら、それも受け入れるさ。もし最初からあいつの存在を知っていたなら......放っておいたりはしなかった。絶対に、彼を一人にしなかった」父さんが泣きながら弱々しく話す姿を見て、修の心にもほんの少しだけ、動くものがあった。「俺、自分に弟がいるなんて知らなかったよ。こんなに長い間ずっと、いきなり現れて、藤沢家に災いをもたらすなんてさ。もしあいつがこんなことをしなかったら、全部違う未来があったのかもな」でも―もう、何もかも遅い。起きてしまったことは、どんなに悔やんでも取り返しがつかない。修は続けた。「あいつが俺を殺しても別にいいよ
Baca selengkapnya