修が質問した。「じゃあ、その『金融評論家』の言っていることが本当に正しいかどうかは、どうやって見抜けばいい?だって、実際に全てが噂ってわけじゃないだろ?」「まさにその通り。そこが一番大事なポイント」若子は笑顔で答える。「だからこそ、『信頼できる情報とは何か』『どうやって金融情報を検証するか』ってテーマを本の中で取り上げたいんだ。ネットの情報源の確かめ方を紹介したり、企業のレポートや財務データ、ニュースの裏付けをどう取るかも解説するつもり。例えば、ある会社で本当に何かトラブルがあった場合、その内容がどんなものかを具体的に分析する必要があるし、その問題が解決可能なのか、あるいは単なる市場の正常な揺らぎなのか、マクロな視点でも見ることが大切。人で例えるなら、顔にホクロが一つあるだけで『人間じゃない』と決めつける人がいるけど、そのホクロも人の一部であって、ホクロ=人間ではない。でも、断片だけを切り取って『ホクロ=すべて』と勘違いしてしまう人がいる。これが『断章取義』、本質を見ずに一部だけ見て全体を判断する―まさにネットや金融の世界でよくある現象だよね」若子は続ける。「この本で一番書きたいのは、身近な例を使って金融データや知識を分かりやすく解説すること。複雑な概念をシンプルに伝えたいし、『文字が読めれば誰でも分かる』ような本にしたい。いまの金融市場は複雑で、普通の人が損しやすいから、誰でも『読んで理解できる金融』を目指してるの。読まれるかどうかは分からないけど、自分の思ったことや考えをちゃんと形にしたいんだ。......ただ、自分の考えが変じゃないか、ずっと誰かに聞いてみたかった」若子ずっと、金融のプロである修にこのテーマについて聞いてみたかったのだ。修はしばらく考えてから、真剣な眼差しで言う。「そのアイディア、十分合理的だ。小説のキャラや物語の中で、金融市場の現象や現実を生き生きと描けるし、ネットの暴力や群集心理と金融市場の群集行動を結びつけることで、金融の複雑さや不安定さ、噂や感情が投資判断にどう影響するかを読者に実感させられる。そして、物語にすることで抽象的な金融知識も身近に感じてもらえるし、実際の日常と結びつけて説明できるから、金融リテラシーやリスク意識も自然と高まる。読者に『冷静な視点』や『ファ
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