真奈は佐藤泰一の言葉に思わず吹き出してしまった。佐藤もつられて笑い、「さてと、あまり長居はできない。結婚おめでとう。帰ったら、ちゃんとプレゼントを開けてくれよ」と言った。「うん」真奈は軽くうなずいた。ヘルメットを被った佐藤が去っていくのを見送りながら、真奈は穏やかな笑みを浮かべた。「真奈!どうして一人で来ちゃったの!」幸江がドレスの裾をつまみ上げて真奈のもとへ駆け寄ってきた。真奈はまだ頬の赤みが残る幸江を見て、くすっと笑いながら言った。「どうしたの?告白、うまくいったの?」その言葉に、幸江の顔はさらに真っ赤になった。「やっぱり、最初から知ってたのね?」「もちろんよ!」幸江はむくれたように言った。「もう……どうしてみんな智彦の暴走を止めないのよ!人の結婚式でプロポーズなんてありえないでしょ!」「他人じゃないんだし、それに……あなたたちが一緒になるのは、私たちも心からうれしいことよ」真奈が目を細めて笑うと、幸江は珍しく照れたように顔をそむけた。「お二人、こんなところで何してるのですか?花嫁さん、もうお色直しの時間ですよ!」その言葉を聞いた瞬間、真奈の笑みがぴたりと固まった。幸江は仕返しとばかりに意地悪く言った。「さあさあ、着替えよ着替え!今夜は披露宴用のドレスが十二着もあるんだからね!サボるなんて絶対ダメよ!」そう言って、幸江は真奈の腕をつかみ、更衣室へと引っ張っていった。式場では、すでに招待客たちは十分に飲み食いを楽しみ終えていた。真奈が十二着目のウェディングドレスに着替えて姿を現すと、いよいよ撮影の時間が始まった。写真撮影はとにかく長くて、うんざりするほどだった。百卓を超える客が次々と記念撮影に訪れ、メディアのカメラのシャッター音も途切れることがなかった。ようやく最後の集合写真の時間になると、黒澤おじいさんが中央に腰かけ、真奈と黒澤はその両側に並んだ。伊藤と幸江、白石、福本英明と福本陽子もそろって席に着く。ちょうどカメラマンがシャッターを切ろうとした瞬間、伊藤が立花に向かって声を上げた。「おい、立花!こっちに来ないのか?」「行かない。なんで俺がわざわざ行かなきゃならないんだ?」立花はまったく動く気配を見せなかった。ただ式に顔を出して、少し賑わいを見に来ただけだ。写真撮影?
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