「素敵!!」真奈と黒澤が見つめ合っていたその時、不意に入口の方から幸江の声が響いた。二人が同時にそちらを向くと、幸江は興奮した面持ちで真奈のドレスを見つめ、「こんなに美しいウェディングドレス、生まれて初めて見たわ!なんだか私まで結婚したくなっちゃう!」と言った。言い終える前に、幸江は自分の後ろに伊藤が立っているのに気づき、頬を赤らめて慌てて言い直した。「あ、違うの、結婚したいんじゃなくて……ただドレスを着てみたいだけ!」伊藤の脳裏には、ウェディングドレス姿の幸江の姿がふっと浮かび、耳まで真っ赤になった。「美琴さん、どうしてここに?」「え?智彦に呼ばれたのよ。おじいさんが私を呼んでるって言うから来たの」幸江はあたりを見回しながら、首をかしげた。「でも……おじいさん、どこにもいないじゃない」真奈は言った。「おじいさんなら……さっきまでいらしたけど、もう帰られたの」「帰った?じゃあ、私を呼んだのは何の用だったの?」「きっと、ブライズメイドのドレスのことでしょうね」真奈がそっとスタッフに目を向けると、スタッフはすぐに意図を察して幸江に向き直り、丁寧に言った。「旦那様は幸江様のブライズメイドドレスのためにお呼びになったのです。それから、伊藤様のアッシャー用の衣装もすでにご用意してありまして、二階にございます」「私、ブライズメイドなんてやったことないけど……何か条件とかあるの?年齢制限とか?」幸江はどこか不安げに尋ねた。真奈は彼女が年齢を気にしているのを察し、やわらかく笑って言った。「ブライズメイドはね、未婚なら誰でも大丈夫だと思うわ」真奈は意味ありげに伊藤をちらりと見て、わざとらしく尋ねた。「伊藤、そうよね?」「……そ、そうだよ」伊藤はうなずいたものの、その顔にはまるで喜びがなかった。――自分だって、本当は幸江をお嫁にもらいたいのに。けれど、どうやってプロポーズすればいいのか、その糸口さえまだつかめていない。「それなら決まりね。早速試着してくるわ」幸江はスカートの裾を軽く持ち上げ、超ハイヒールのままエレベーターに乗って二階へと上がっていった。スタッフが伊藤の前に歩み出て、丁寧に言った。「伊藤様、こちらへどうぞ」伊藤はスタッフの後をついていった。もっとも、彼の意識は幸江の方に向いていた。高い
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