「ああ、きれいに洗ったよ」静華は顔を赤らめ、胤道の腕から抜け出すと、温泉の中に身を沈めた。胤道もそのまま湯船に入ってきたが、静華を抱き寄せ、自分の膝の上に座らせた。「森、俺は他の女に触れられるのが大嫌いだ」「うん」静華は頷いた。胤道が昔からこの潔癖症のような性格だったのは知っている。ただ、りんに対してだけは許容範囲が広かったが、それでも一定の距離は保っていた。「かなり長く洗った。皮膚が赤くなるほど擦ったが、それでもあの女の不快な臭いが、触れられた場所に残っている気がするんだ」「だから」胤道は腕に力を込め、静華をさらに引き寄せた。密着した肌から伝わる高熱が全身に広がり、痺れるような感覚が走る。「森、助けてくれ」胤道の声はとても低く、耳元で囁くようだった。静華は背筋を震わせて身を縮こまらせ、下唇を噛んで耐えた。「どうすればいいの?」「彼女の臭いを、お前の香りで上書きしてくれ」胤道の瞳が熱く燃え上がる。「あの女が触れた場所に、お前が触れるんだ。俺の体に、お前だけの香りを残してほしい」静華は恥ずかしそうにうつむいたが、ふと考え直した。優香が触れた場所など、たかが知れているはずだ。そうでなければ、胤道が黙っていたわけがない。「分かったわ。どこを触られたの?」胤道は静華の白く細い指先を掴み、自分の胸板に押し当てた。掌の下で逞しい筋肉が躍動し、熱が伝わってくるのがはっきりと分かった。引き締まっていながらも弾力がある、男らしい体つきだ。病み上がりとはいえ、日頃の鍛錬のおかげで、無駄な肉は一切なかった。「ここだ」「ここ?」静華は眉をひそめた。「胸まで触られたの?」静華が不機嫌になるのを見て、胤道は静華の額にキスをして説明した。「トイレに行った時、外で待ち伏せされてな。ここのポケットにカードキーを入れられたんだ。直接肌には触れていないが、それでも気分が悪い」静華の表情が少し和らいだ。静華は指先に湯をつけ、胤道の胸元に触れると、ゆっくりと擦り始めた。静華もまた、あの女の気配を消し去りたかった。だが指先で触れているうちに、何かが徐々に熱を帯びていくのを感じた。胤道の呼吸が乱れ、重く、そして荒くなり、その吐息が残らず耳にかかって、まるで誘惑されているようだった。「胤道…
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