手紙の下には証拠が収められていた。静華は長い間呆然とし、胤道もまた、ただ静かに彼女に寄り添い続けた。 翌日、二人は南栄へ戻る飛行機に乗った。三日も経たないうちに、本市政界のトップが汚職で失脚したというニュースが南栄中を震撼させ、国中の格好の話題となった。 誠一は書斎で事の顛末を知り、老いた顔に後悔の涙を流した。 「もっと早く知っていれば……そうすれば、お母さんを一人で去らせるようなことはしなかったのに」 静華は目を伏せ、あの手紙を誠一に渡した。「母さんは手紙の中で私に言っていたわ。彼女が去ったのは、すべての人を守るため、自ら望んだことだと。あなたのことを恨んだことなんて、一度もないって」 誠一は手紙を見つめ、言葉にならないまま、激しく唇を震わせた。 静華は静かに部屋を出て、ドアを閉めた。 仁志も警察へと引き渡された。蒼真の追及により、彼はこれまでの殺人の実態を自白し、当然ながら香澄も同罪として裁かれることになった。 すべての悪党が、自らへの審判を待つ身となったのだ。 静華は中庭で胤道が錦鯉に餌をやっているのを見つめ、彼の隣に座ると、そっとその肩に頭を預けた。 胤道は自然な動作で彼女を抱き寄せた。「お父さんのそばに、もう少しいてあげなくていいのか?」 静華は彼の手を握った。「彼が泣いているのを見たら、私も泣きたくなっちゃうもの。それに、今は彼も、一人で感情を整理した方がいいと思うの」 「それもそうだな」胤道は少しの間沈黙し、真剣な声で言った。「すまなかった」 静華が顔を上げると、胤道は言った。「もし俺がいなければ、お前もお母さんも、全く違う結末を迎えていたはずだ」 静華の呼吸が一瞬止まった。彼女は身を起こし、泳ぐ錦鯉を見つめながら、正直な思いを口にした。「本当のことを言うとね、胤道。あなたを愛さなかった可能性を、数え切れないほど考えたわ。あなたがいなければ、私の人生はもっと順調で、もっと平穏だったと、それも認める。 でも、私がこの道を選んだ以上、すべての責任をあなたに押し付けることはできないわ。それに、あなたがいなければ、あんな大物を引きずり下ろして、母の仇を討つことなんてできなかった。 蒼真くんからも聞いたの。古賀から聞き出したところによると、母が飲まされた薬は寿命を縮めるも
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