明日香は、兄の家ではなく、学校の寮に住もうと考えていたが、学校も来週からは冬休みに入る。クリスマスが過ぎれば、すぐに冬休みがやってくる。ガーデンレジデンスのエントランス前。すでにウメと珠子が待っているのが、車窓越しに見えた。車が止まると、ウメが真っ先に駆け寄り、後部座席のドアを勢いよく開けた。車を降りた明日香に、ウメはすぐに歩み寄って、その手を掴んだ。包帯の巻かれた傷を見て、顔を曇らせる。「ちょっと見せてください!......もう、どうしてこんな怪我を......!」「大丈夫、ほんのちょっと皮が剥けただけ。痛みもないし、すぐ治るから」明日香はそう言いながら、穏やかに微笑んで見せた。珠子も近づき、ほっとしたように声をかけた。「明日香ちゃん、部屋の準備できたよ。私と同じ部屋でごめんね。飾りつけ、気に入ってくれるといいんだけど......」そう言いながら、自然と明日香の腕に自分の腕を絡めた。「......うん、わかった」明日香は特に感情を込めずに答えた。幼い頃から、部屋はいつも一人で使ってきた。誰かと寝起きを共にする習慣はなかったが、だからといって、今さら嫌だとも言えなかった。部屋に着くと、珠子はドアロックの暗証番号を教えてくれた。部屋の中には、もともとあったベッドの隣に、新しいベッドが一台追加されていた。ベッドシーツやカーテンは、ウメが明日香の好みに合わせて選んだものらしく、ピンクを基調とした柔らかな色合いで揃えられていた。その枕元には、誕生日に欲しがっていたピンクのクマのぬいぐるみがそっと置かれている。よく見ると、珠子のベッドにも、全く同じクマが同じ位置に並べられていた。他人の世話になっている身として、「気に入らない」とは言えなかった。だから明日香は、少し表情を和らげて言った。「ありがとう。すごく気に入った」珠子の顔がぱっと明るくなった。「よかったぁ。実はね、私もウメも、気に入らなかったらどうしようって心配してたの。まだ本調子じゃないんだから、今日はゆっくり休んで。荷物は私とウメで片づけるから」「ううん、もう平気。自分でやるよ」「じゃあ、一緒に片付けよう!」明日香は頷いた。断ったら悪い気がしたし、心のどこかで、少しだけその言葉が嬉しかった。荷解きが終わる頃には、クローゼット
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