夜、成彦は海鮮バーベキュー店を予約していた。大学の近くで、夜になると屋台がずらりと並ぶ場所だ。今はちょうど、ザリガニが旬の季節だった。圭一が提案する。「入口の席にしない?」「いいよ、異議なし」日和が即答する。「どっちでも」明日香は軽くうなずいた。路上の屋台で初めて食べたのは、去年の正月だった。あの日は大晦日で、淳也に連れられて一度だけ口にした。だがその夜、腹を壊して散々な思いをしたのだ。だから今日は、場の空気を壊したくなくて、彼女はほんの少しだけ口にすることにした。四人で囲むにはちょうどいい大きさのテーブル。成彦と圭一は、この店に初めて来たわけではない様子で、料理エリアへと向かい、それぞれ鉄板を手にして山のように食材を取ってきた。明日香はほとんど取らなかった。もともと食は細いのだ。さらに四人はザリガニを四キロ注文し、席に戻ると、圭一はビールを一箱抱えていた。「君たち女の子は飲まなくていいよ。俺と成彦で片づけるから」明日香は広々とした店内を見渡した。数十のテーブルが賑わい、熱気に包まれている。「あなたたち、ここによく来るの?」「たまにだな。そんなに頻繁じゃない」圭一は肩をすくめる。「成彦はすごく無口で、ピアノの練習かアルバイトばかり。学校以外では、ほとんど顔を合わせないんだ」そのとき、成彦が戻ってきた。手にはタピオカミルクティーを二杯。日和と明日香に一つずつ差し出す。「適当に買った。試してみて」「ありがとう……これ、タピオカミルクティー?まだ飲んだことないんだ」明日香が目を丸くする。「へぇ、飲んだことないの?もったいないじゃない!」日和は驚き、声を弾ませた。「どこでも売ってるのに。さあ飲んでみて!本当に美味しいんだから。私は一日に何杯も飲んじゃう。ほら、ストロー刺してあげる」そう言って、日和はストローを差し込み、カップを明日香に手渡した。「実は私、ほとんど出かけないの。路上の屋台も含めて……お父さんが絶対に食べさせてくれなくて。数えたらこれが二回目なの」「なんだって?」圭一は目を見開いた。「すごいな、それじゃあ本当に退屈な生活だな。でも安心しろ、これから機会はいくらでもある。問題は、お前のお兄さんが、お前を外に出させてくれるかどうかだよな。なぁ、成彦」成彦は
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