「知りたいことは、調べられる」凌央は淡々とそう言った。まるでどうでもいいことのように。裕之は、どこか不安な気持ちを抱えた。長い付き合いの凌央との友達関係には、特に争いもなかった。だから、彼はすっかり忘れていた。凌央が本当はとても危険な存在だということを。凶暴で、まるで狼のような男だ。敵に回すと、最後には食い尽くされてしまう。「もしお前が今不便なら、また今度話そう。でも、桜華市は狭いから、思いがけないところで会うかもしれないぞ」凌央はそう言い、電話を切った。裕之は携帯を握りしめ、震える手を感じた。凌央の言葉には、明らかな脅しが込められている。しばらく考えた後、裕之は美咲を送り出す決心をした。賭けてみる価値はある。運が良ければうまくいくかもしれない。その考えが浮かぶと、少し気が楽になった。裕之はタバコを一服吸い、病室に向かって歩き出した。病室では、美咲が携帯を見ながらニュースのトレンドをチェックしていた。顔は怒りで真っ赤になり、体が震えていた。裕之はその姿を見て、思わず声をかけた。「何を見てそんなに怒ってるんだ?」美咲は深呼吸をして、手に持った携帯を見せながら言った。「誰かが私を殺人犯だって誹謗してる!」彼女は自分が人を殺したとは思っていなかった。むしろ、法律に従って罰を受けるべきだと思ったことはなかった。あの人たちは死んで当然だと思っている。だって、ただ助けただけだから。信一、あいつは障害者で変態だから、死んで当然だ。「そんな言葉、見るだけ無駄だよ。見ると余計に辛くなるし、気分も悪くなる」裕之は美咲の横に座り、彼女の目を見つめながら言った。「実は、聞きたいことがあるんだ」美咲の心は一瞬、ざわついた。裕之が電話をかけていた時、何かを聞いてしまったのだろうか?まさか、彼はもう助けてくれないのでは?「緊張しなくていいよ。気軽に聞くだけだから、答えたくなければ無理に答えなくていい」裕之は優しい口調で言った。いつも通りの会話のように。美咲は心を決めて言った。「それなら、質問して。わかる範囲で答えるわ」裕之は少し考えてから言った。「お前が問題に巻き込まれた時、なぜ凌央に頼まなかったんだ?」さっき凌央からの電話で、裕之は気づいた。美咲が言った時、彼は自分が信頼されていると思った。頼り
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