志穂は冷たく笑った。「何様のつもり?あんたが説教できる立場?」私が怒るよりも先に、理奈がトイレブラシを掴み、彼女の頭めがけて振り下ろした。「他人の旦那を盗んでおいて、よく口答えなんてできるわね!」悲鳴を上げた志穂が反撃しようとするも、理奈は素早く手首を掴んで壁に押し付けた。私もすぐに加勢して、彼女の両腕を押さえつける。理奈はトイレブラシをそのまま志穂の口に突っ込んだ。「下品な女ね。口の利き方がなってないわ!これは私の親友をいじめてきた罰よ。もう吠えられないようにしてあげる!」「きゃあっ!」志穂が呻いた。たった一人じゃ到底太刀打ちできる相手じゃない。私たちの連携は完璧だった。押さえ込む者と、攻撃する者。隙なんて一切与えなかった。「うう、明、助けて」涙声で明に助けを求める志穂の姿に、怒りが再び沸き上がる。この日々の屈辱、失った子どものことを思い出すと、殺意すら芽生える。私は理奈からトイレブラシを受け取り、そのまま志穂の口に激しく押し当てた。唇はすぐに赤く腫れ上がり、血が滲んでくる。「ふん、よくも平然と名前呼べたもんね」冷たい笑みを浮かべる。「いっそ『ダーリン』って呼べば?」「呼んでやろうじゃない。彼はいつかあんたを捨てて、私と結婚するんだから」志穂は開き直って明に向かって叫んだ。「ダーリン!この女たちをぶっ殺して!もうバレたんだから、こっちがやられる前にやって!」「我慢の限界だわ!」理奈が彼女の髪を掴み、平手で顔を打つ。「他人の旦那を『ダーリン』呼ばわりって、あんた、『クソ女』ですら褒め言葉になるわよ」何発叩いたかなんて、もう覚えてない。何百回叩いたって、この憎しみは全然消えなかった。そのとき、床に倒れていた明がゆっくりと立ち上がり、止めに入ろうとしたのを、私は真っ向から遮った。「最低な男ね!」私はその頬を二発、思い切り叩いた。「学んできた教養はどこに落としてきたの?妻が点滴中に、病室の浴室で不倫とか、ずいぶん趣味が悪いわね」明は覚悟を決めたような目で私を見つめ、こう言った。「もう隠す気なんてない。おまえより志穂の方が、俺には価値がある」「演技、やめたのね。いいわよ」「真帆、俺たちは......」「黙れ!」私はその言葉を遮って、歯を食いしばった。「浮気男に離婚の主導権なんて渡さない。離婚は当然として
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