翌日の朝、玲奈と青木おばあさんたちは墓地へ向かった。墓石の写真の中で、青木おじいさんは白髪だった。とはいえ、青木家の人々はみな若々しく見える。静香が離婚した時、青木おじいさんはまだ50代で、白髪もほとんどなかった。玲奈ははっきり覚えている。静香のことがあってから、1年も経たないうちに、青木おじいさんの髪は真っ白になった。青木おじいさんは病気で亡くなった。去年になって、玲奈は初めて知ったが、青木おじいさんの病気は鬱と関係があると。病気さえなければ、今も元気に生きていたかもしれない。青木おじいさんは最期まで、静香を可愛がっていた。何年経っても静香が回復せず新生活を始められないことを思うと、青木おばあさんは真っ先に目を赤くし、裕司に支えられながら墓石の写真を撫でた。「あなた……」青木おばあさんは言いたかったのだろう、愛しい娘がまだ回復せず、申し訳ないと。しかし、言葉は喉まで出かかって、結局何も言えず、青木おばあさんはただ写真を撫でながら涙を流した。玲奈は目を赤くし、茜の手を離して顔を背けた。悲しげな空気を感じた茜は玲奈を見上げ、困惑した目をした。「ママ?」玲奈は頭を横に振っただけで、何も返さなかった。1時間後、玲奈たちは墓地を後にした。この辺りにも、青木家と親しい親戚が何人かいるのだ。ほぼ毎年、玲奈たちは青木おばあさんと共に、その親戚を訪ねるのだ。今年西川家を訪ねた時、青木おばあさんと同い年の西川おばあさんは茜を見て、一瞬ぼうっとした。「この子は玲奈の娘……茜ちゃんだよね?二、三年会わないうちに、こんなに大きくなったのね?」玲奈は頷き、茜に挨拶させた。西川おばあさんは躊躇いながら尋ねた。「茜ちゃんのパパは一緒に来ていないの?」去年、茜が来なかった時、玲奈と青木おばあさんは、智昭が仕事で海外に連れて行ったと説明していた。今年になって、茜が戻ってきたが、その父親は……結婚してから何年も経ったのに、智昭が玲奈と一緒に祖父のお墓参りにきたのは、たった一度だけだ。それはまだ二、三年前、玲奈と智昭の仲がようやく温まり始めた頃のことだった。智昭と離婚手続きの準備をしていることを知らない茜が隣にいたので、玲奈は「彼は忙しい用事があるの」と言った。西川おばあさんは玲奈が智昭のことを淡々と話すのを
Read more