All Chapters of アイドルの秘密は溺愛のあとで: Chapter 111 - Chapter 120

128 Chapters

第111話

 「確かに私と皇羽さんは将来結婚する約束をしました。指輪も交換しています……だけど結婚するタイミングも発表も、今ではないと思うんです。日本だけでなく世界中から注目を浴びているIgn:sの一人から既婚者が出るなんて、ファンの方々への裏切りです」「……それで、いいの?」  かげろうさんが、ゆっくり尋ねる。玲央さんと似た、心配してくれている顔だ。あまり口数は多くないけど、こういった何気ない所作からでも優しい人だと分かる。 そして、それはかげろうさんだけじゃない。メンバー全員が、皇羽さんと玲央さんを見守ってきた優しい人たちだ。玲央さんを支えようと一致団結してくれていたのも、記憶に新しい。 (そんな優しい人たちが集まるIgn:sだからこそ、迷惑はかけたくない)  迷惑――自分で言った時に、ツキンと胸の奥が痛む。私と皇羽さんは好き合っているから一緒にいて、二人で過ごす時間を幸せだと思っているけれど……私たち以外の人からすれば、迷惑以外のなにものでもないんだ。 唇に力を入れないと、口が情けない「への字」になっちゃう。まさか私と皇羽さんの恋が、これほど前途多難だったなんて……。  だけど、ここで諦めない。モデルデビューする前、私はもう二度と「皇羽さんを自分から諦めない」と決めた。だから今だって繋いでみせる。私と皇羽さん、二人の気持ちを未来へ繋げていく。 切り開くんだ。みんなが認めてくれる、私たちが寄り沿う未来を。 例え結婚が今じゃなくても、どれほど時間がかかっても―― 「そもそも結婚を発表するのであれば、私がモデルとしてデビューする際に〝皇羽さんと恋仲である〟と明言しておくべきだったのです。そこでたたかれてデビューできなければ、それまでの私だったということ。 だけど当時の私は、デビューすることが大事だと思っていたので……皇羽さんとの関係を明かす、なんて微塵も思っ
last updateLast Updated : 2025-10-10
Read more

第112話

玲央さんが、私の肩へ優しく手を置く。 「ごめんね。皇羽から話を聞いてすぐ、皆と相談したんだ。答えは、さっき聞いた通りだよ」 「さっき聞いた通りって……」 Ign:sの皆さんは、私と皇羽さんを後押ししてくれるの? 付き合っていることも、結婚することも発表していいの? 「でも、そんなことをしたら」 Ign:sだって、どんな影響を受けるか分からない。もしかしたら大量のファンが去っていくかもしれないし、反対に過激なファンが増えて困ったことになるかもしれない。そんな騒動を懸念した事務所が、とうぶんIgn:sを表に出さない決断をするかもしれない。 どちらにしろ、無傷ではすまない。今までとは確実に、大きく変わって来るだろう。高確率で、悪い方へと。 やっぱり……そんなこと、あってはダメだ。これからIgn:sは、まだまだ活躍していくのだから。 「迷惑をかけたくありません」と、皆さんの好意を、気持ちだけ受け取った。 だけど玲央さんは「怖がらなくていいよ」と、私の肩に置く手を熱くさせる。 「いい方法を、皆で考えよう。誰も傷つかない結婚を、二人が成し遂げるために。大事な人たちの大事な局面だ。ぜひ俺たちに手伝わせて」 「でも……」 「萌々ちゃんと皇羽の二人だけじゃない、Ign:sがいる。俺たちは二人の味方だよ。二人で悩んで答えが出なくても、これだけ人数がいたら何かしらの突破口が見つかりそうじゃない?」 「!」 玲央さんは、Ign:sの皆さんは…… 本当に、私たちの結婚を認めてくれるんだ。後押ししてくれるんだ。幸せな門出になるようにと、願ってくれているんだ。 「ありがとう、ございます……っ」 こらえきれない涙が、さっきから流れ続けている。もっとおしとやかに泣きたいのに、もはや号泣だ。モデル失格の泣き方だ。きっと目は、明日パンパンに腫れちゃうだろう。 だけど、これが今の私だ。しょせんは背伸びしているだけで、本物はまだまだプロのモデルに及ばない未熟者。芸能界について知らないことが多い、一般人に近い私だ。その分、もっている知識も少ない。 だから仲間の力をかりる。二人で考えてダメでも、皆さんとなら―― 「きっとご迷惑をかけちゃいます。きっと、たくさん悩ませちゃいます。 それでも、手をかしてくださいますか……?」 するとミヤビさん、
last updateLast Updated : 2025-10-11
Read more

第113話

 「迷惑は承知だ。厄介だと思ってくれて構わない。苦労をかける自覚がある。これから見るのは地獄かもしれない。だけど、これ以上に萌々と離れていると……俺がもたない。左手の指輪だけじゃ萌々を守れないと、嫌というほど知った。萌々を守りたい。間接的にではなく、俺が直接、この手で」「皇羽さん……」  そんなことを思ってくれていたんだ。この指輪は、私にとって充分にお守りになっていたのに、それではまだ足りないと、そう思ってくれるんだ。 彼の愛の深さに、止まっていた涙が再び溢れる。これほどまでに愛されて、大事にされて……私は幸せ者だ。今度は、その幸福を形づくる。夫婦という形に、二人で変わっていく。そんな私たちを、皆には知ってもらいたい。 「皇羽の溺愛っぷりは相変わらずだね」  クスリと笑みをこぼすミヤビさんが、おもむろにスマホを操作する。そうしてマネージャーさんとのメールを見せてくれた。 「俺も二人の関係を秘密にしておくのは潮時だと思っている。というのも、皇羽にドラマの話が来るんだよ。キスシーンどころではなく、濡場ありのね」「「え」」「ほら、皇羽って無駄に色気ある設定で売っているからさ~」「「あぁ……」」  ドラマの話は、どうやら皇羽さんも知らなかった事らしい。ミヤビさんは「俺がマネに言って、丁重にお断りさせてもらったよ」と説明してくれた。ホッと、肩の力が抜ける。だって演技とはいえキスだって嫌なのに、それ以上のことなんて……! でも、それは結婚したとて振って来る問題かもしれない。実際、結婚していてもドラマでキスシーンをそつなくこなす俳優はたくさんいる。むしろ俳優とは〝そういう職業であり個人の私情は介さない〟が常識であり暗黙のルールだ。 「……」  いまやアイドルは、歌って踊るだけが仕
last updateLast Updated : 2025-10-12
Read more

第114話

 「皇羽さん、今日はどんなお仕事だったんですか?」「雑誌の特集。ちょっと海に行っていた」「まさか水着……?」「なわけ。海辺にあるお洒落なカフェで撮影だ」「そ、そうなんですね!」  一瞬、胸にザワリとしたものが漂った。私も大概だなぁ。皇羽さんのこと、強く言えないや。 でも冷静になってみると、皇羽さんから甘い匂いがする。ほのかに潮の匂いも。 珍しい匂いをかぐと和むのか、少しずつ心に平穏が戻って来る。 「海に行っていたの? それなのに戻りが早くない?」  メンバーも初耳だったのか、玲央さんが驚いた様子で皇羽さんに聞く。確かに、ここから近場の海って、電車や車を使って一時間かかるはず。 「撮影が終わったら、後は全部マネに任せて帰ったんだよ」「どうして、そこまで急いだんですか?」「……今朝、なんか萌々の様子がおかしかったから」「え?」「妙に心配になってな。そばにいたかったんだよ」「っ!」  確かに私、昨日から緊張していた。Ign:sの皆さんに会うこと自体が緊張するけど、それに加えて皇羽さんのことを聞こうとしていたから……。場合によっては、結婚の話も打ちあけないと!って意気込んでいたし。そういう不安とか緊張が、全部、皇羽さんには伝わっていたんだ。 「さすが皇羽さんですね」  隠れてメンバーの皆さんに会っていたことに申し訳なさを覚えて、しどろもどろで称賛する。すると皇羽さんは「当たり前だろ」と言わんばかりに、ハンッと鼻を鳴らした。 「昨日の様子が変だったのは、今日のコレを心配していたのか?」「う……そうです」「なら、いい」「〝いい〟?」「もしかしたら、またしつこい
last updateLast Updated : 2025-10-13
Read more

第115話

 皇羽さんが仮のレオとして、どれほど真剣にアイドルという仕事に向き合って来たか知っている。「ただの代わり」なんて言うくせに、家の中に防音室を作り歌を練習した。全身鏡張りにし、ダンスを練習した。何度も動画を見て、何度も練習して。コンサートが近くなったら、家に帰らないほど朝から晩まで練習に明け暮れた。 そこまで身を粉にしてアイドルに携わって来た皇羽さんが、そんな簡単にアイドルを捨てるの? 皇羽さんにとって、Ign:sのコウってそんなにちっぽけな価値だったの?  久々に、皇羽さんに腹が立って来た。はらわたが煮えくり返るって、きっとこういうことだ。 いつもの調子で、すました顔をして、決して本心は曝け出さない。私のために行動するのが全てで、それが自分の幸せに繋がっていると「妄信」している。 違うんですよ、皇羽さん。 あなたの幸せは、私と一緒にいることで確かに生まれることでしょう。だけど私がいない、あなただけの世界でも、確かに幸せは生まれているはずです。 そのことに気付いているのか、はたまた、気づいているのに目を瞑って気づかないフリをしているだけなのか―どちらにしろ、私が目を覚まさせてあげないと。 皇羽さんは、ずっとコウを続けていくべきです。 それがあなたの幸せに繋がっているのだから。  「あなたがコウを辞めるなら、私は一生あなたと結婚しません。白紙に戻します」「は?」「さっきの発言を撤回するまで、私に〝コウを続ける〟と誓うまで……この指輪は、お返しします」「え……」  傷ついた皇羽さんの顔。それを見た私の心も、刃物で刻まれたようにズキズキと痛い。 だけど、皇羽さんに気付いてほしいから。コウをしている皇羽さん、とてもカッコよくて輝いているって知ってほしいから。 誰かが代わりをできるわけじゃない。あなたが務めるコウを待っている人がいるから。 そのことにあなたが気づいてくれるまで、私は、あなたの隣に並べない
last updateLast Updated : 2025-10-14
Read more

第116話

「俺は、皇羽がウソを言っているとは思えないな。アイツは、アイツの思うがままに動いていると思うよ」「そう、でしょうか?」「うん。だって、ちゃんと萌々ちゃんへのデメリットあるもん。 結婚発表してコウが脱退して……その状態で萌々ちゃんがモデルを続けられると思う? 俺はね、コウのファンが絶対にそうはさせないと思っているんだ。コウは脱退したのに、どうして夢乃萌は……って」「!」   それは、その通りだ。むしろ辞めるのは私の方だと、誰もが思うだろう。知名度、人気率、どれをとってもコウの足元にも及ばないのだから。比べるまでもない。本来、辞めるべきは私なんだ。 「君へのバッシングを考慮しなかった点を踏まえると、やっぱり皇羽は、自分の思いのままに動いていると思う。誰のためでもない、自分が萌々ちゃんを守るためにアイドルを辞めるのが一番いいと思っているんだ」「複雑ですね……望まれている人ほど、今の地位をたやすく捨てる。皇羽さんが手放そうとしているものは、今の私が喉から手が出るほどほしいものです。私がコウほど人気で知名度もあれば、結婚を発表することに何も躊躇しなかったでしょう」  いいなぁ皇羽さん、羨ましいなぁ。 マンションから一歩外に出たら、私と皇羽さんは天と地ほどの差がある。こんなに近くにいるのに、実際は触れられない距離にいる人だと知る度……心に傷を負う。 「さっき、玲央さんが〝ライバルと認めてほしい〟と言った気持ち、わかります」  同じ土俵に立ちたい。叶うなら、誰もが圧倒されるモデルに、なりたかった。そうすればコウと結婚したとしても、みんな納得してくれるのに。ようは、釣り合っていないから後ろ指をさされるんだ。皇羽さんの隣に立つだけの器が、私にはない。 「悔しい、どうして私は……」「はい、そこまでだよ」「む」
last updateLast Updated : 2025-10-15
Read more

第117話

 「ただ、コウが辞めて全て解決するとは思っていないよね? 根本的な問題はそのままだ」「!」  ミヤビの言葉を受けて、玲央が「その通り」と頷く。 「萌々ちゃんにも言ったけど、二人が結婚してコウが表舞台から消える。矢面に立たされるのは萌々ちゃんだけ。祝福も賛辞も、非難も。全ての目が、萌々ちゃん一人へ向くよ」「! それ、萌々に」「言ったよ。ちゃんと納得してくれた。皇羽と違って、色んなことを頭で考えている。それを横から邪魔しようなんて野暮なこと、しないであげて。だから電話もメールも禁止と言ったんだ。 皇羽、こんな時だからこそよく考えて。萌々ちゃん、ずっと泣いていたよ」「……」  玲央から言われた言葉、一文字ずつ重さを増して胸に積もる。心が苦しい。圧迫されている。俺は間違っていたのか? せっかく良い答えを出せたと思ったのに。 「じゃあ何が正解なんだよ……」  どうすれば萌々は笑うんだ。 俺に何ができる? 「コウ、重すぎる愛っていうのは、時に虚しいものなんだよ」  ミヤビの言葉に「虚しい?」と復唱する。好きが空回りするっていう意味だろうか。  「中身が伴っていないんだ。愛しているという割に、相手の望まない行動をとってしまう。それはね、相手が大事にしている物に気付けていないからなんだよ」「萌々が大事にしている物……?」  なんだよ、大事にしている物って。萌々が大事にしている物といえば、モデルの仕事だろ? 幸せな結婚をすることだろ? だけどミヤビは首を振った。どうやら違うらしい。 「彼女が大事にしているのは、お互いの幸せじゃないかな?」「お互いの、幸せ?」「
last updateLast Updated : 2025-10-16
Read more

第118話

 「さて、我々の絆も確認できたところで。本格的に、これからどうするかを考えないといけないね。萌々ちゃんも萌々ちゃんで色々と考えていると思うが、まだ芸歴が浅い。知らない事情も多いだろう。先駆ける俺たちが、正しく、心地よく導いてあげないとね」「……みんな忙しいのにすまない。力を、かしてほしい」  座ったまま頭を下げると、ヨシノが「おわ!」と後ろへひっくり返る。見ると、腕に鳥肌が立っていた。 「皇羽、急に素直になるなよ。怖いだろ、お前はいつもツンケンしてろよな」「それでさっき誤解されそうになったから、もう今日はこの状態でいく」「素直な皇羽って、違和感ありまくりだよねぇ」  ヨシノと玲央がヒソヒソと話をしている。くそ、丸聞こえなんだよ! ただでさえ萌々とケンカして傷心しているんだから、もっとオブラートに扱ってほしいってもんだ。 「萌々……」  ケンカしちまった。仲直りできるか? 俺たち、前みたいに一緒に暮らせるよな? 掌に収まる小さなリングを、落とさないよう力を込める。 覚悟はしていたけど、俺から萌々が離れるとこんなに不安になるとは。思った通りのでかいダメージ。 こんな状態なのにメールも電話もダメなんて、非常によくない。今すぐ暴れ回ってしまいそうだ。一刻も早く解決策を編み出さないと、街に危険が及ぶレベル……あ、その前に。 「そういや玲央。俺がココに入る前に〝萌々を奪う〟とか言っていたな」「あ、聞こえちゃった? ま、もう知っていることでしょ。せいぜい萌々ちゃんを手放さないようにね。この先、何があってもね」「うぅん……」  既に、現段階で、俺の手から萌々はすり抜けている。不甲斐なさから、恋敵の目を見られない。 だけど、それでも守る。どれほどすれ違って
last updateLast Updated : 2025-10-17
Read more

第119話

  ◇  無事にクウちゃんと連絡がとれ、合流できた。 幸い家で引っ越し作業をしていて、私の声色を聞いただけで「卒業式までうちで過ごす?いい記念になるしさ!」と提案してくれた。 何も話していないのに、こうして私の意図を汲み取ってくれる彼女の存在は、昔から今まで私にとって大きくて、何ものにもかえがたいほど貴重だ。クウちゃんと友達になれて、本当に良かったな。  近くのコンビニに寄って着替えと、最低限の必要な物を揃える。あとは、気持ちばかりになるけどお菓子を買おう。 コンビニの隣に並ぶドーナツ屋さんへ入る。 「うーん、十個くらいでいいかな?」  クウちゃんは一人っ子で、お父さんとお母さんの三人暮らし。十個と言わず、本当はもっと買いたいけど、誰かがドーナツ嫌いだと余っちゃうしなぁ。 「それに味はなににしよう? 甘いのばかりだと飽きちゃうかな?」  たくさん悩んで、悩んで……そして我に返った。私って、悩んでばかりだな。 「おススメを……十個、ください」  自分で決める全ての選択死に、自信がなくなっている。 皇羽さんとの結婚も、本当にしたいか分からなくなってきている。誰の気持ちを優先するのが正解なのか分からない。 もちろん、できるなら全員の気持ちを優先したい。みんなが笑顔で見守ってくれる中で、結婚できたらいいな。 ……そんなこと、出来ないと分かっているけれど。  モヤモヤした気持ちを抱いたまま、クウちゃんのお家に到着する。中から「萌々!」と、クウちゃんが飛び出し、抱き着いてくれた。 温かな温度に安心して、こんな私でも好いてくれる友人がいて、また涙が溢れる。 「く、クウちゃん~っ」「萌々、よしよし。話は
last updateLast Updated : 2025-10-18
Read more

第120話

 「萌々ぉ……」「え、クウちゃん?」  私を見るクウちゃんの顔には、既に涙の痕が幾重にもあった。 ずっと無言だったのは、泣いていたから? それほどショッキングだったんだ。 (私が、クウちゃんを傷つけた……!)  だけどクウちゃんは「萌々!」と。 もう一度私の名前を呼んで、抱き着いてきた。 急なことに体がぐらついて、二人一緒に祭壇の前に倒れる。 たくさんのレオグッズが無事か急いで確認すると、それらは一ミリも動くことなく私たちを見下ろしていた。 (まるで玲央さんに見はられているみたい……)  何とも言えない心地になりながら、私に張り付くクウちゃんの体を、下から支える。 「ごめんね。私、クウちゃんのこと傷つけたよね」「なに言っているの。私は嬉しいんだよ。萌々が結婚だなんて……しかも好きな人とでしょ? なにそれ最高じゃん!」「え……?」   思ってもない言葉に、肩の力が抜ける。 だって……喜んでくれるの? クウちゃんが大好きなIgn:sのメンバー。その一人と結婚したいと言っているんだよ?  信じられないでいると、クウちゃんが私の頬をむぎゅっとつかむ。 既に彼女の目は充血していて、さっきまで泣きっぱなしだった私の目とお揃いだ。 そこまで泣いてくれる理由が、私の結婚を喜んでくれるからなんて……。 「萌々が今までどれほど苦労して育ったか知っているし、その頑張りを本当にスゴイと思っている。 私が中学生の頃バイトなんて思いもしなかったし、同い年にそんな子がいる想像さえつかな
last updateLast Updated : 2025-10-19
Read more
PREV
1
...
8910111213
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status