「昔から”どうせ俺なんて頑張ったところで無意味”って、変な諦め癖がついててさ。高校もそう。どうせ皆と一緒には出来ないだろと思って、端からヤル気がなくて受験しなかった。 Ign:s に入って忙しくしてるから、まぁ結果オーライなんだけどさ」「そうだったんですか」「でも萌々ちゃんから叱られて、自分が恥ずかしくなった。最初から諦めるんじゃなくて、限界まで頑張りたいって。レオの名にふさわしい俺でありたいって。久々にやる気が起きたよ」 ここで初めて、玲央さんは私を見る。 照れくさそうに眉を下げながら。「だけど今日レオになれなかった。理由は色々あるんだけど……すごく自分が情けなくなったよ」「理由?」 聞き返した私に、玲央さんは何も言わなかった。ふっと、憂いのある笑みを浮かべるだけ。「このままじゃ、あの日萌々ちゃんに言われたみたいに……いつか皇羽が、本当にレオになる日が来るかもね」「……」 確かにあの時、私は言った。――サボってばかりいると、本当に皇羽さんにレオを取られちゃいますよ? だけど今の玲央さんを見て、あの日と同じ気持ちにはならなかった。 だって玲央さんの目の輝きが、あの日とは違うんだもん。自分と戦っているって分かる。本気でレオと向き合っているって分かる。玲央さんの頑張りが、全身から伝わって来ている。「玲央さんは頑張っていますよ」「俺が、頑張っている……?」 玲央さんはキョトンとした。次に苦笑を浮かべて「気を遣ってくれなくていいよ」と言う。 だけど玲央さん、私は本音を言っているだけです。「私は、皇羽さんが Ign:s のためにどれほど努力しているか知っています。全てはあなたのピンチヒッターを的確にこなすため。最初は〝皇羽さんすごい〟と思っていました。だけど……その皇羽さんと肩を並べる玲央さんもすごいんだって。最近やっとわかったんです」「! 俺がすごいって、何かの間違えじゃ……」「いいえ、すごいです」 きっぱりと言った私に、思わず玲央さんは固まる。その一瞬の隙を見逃さず、畳みかけるよう続きを話した。 玲央さんに自信を持ってほしい――そんな祈りを込めながら。「スタッフの名前を丸暗記する、ファンの子の特徴を覚える――玲央さんが始めた努力だろうが、皇羽さんが始めた努力だろうが、結果的にお二人はその努力を分かち合い共有している。そして1
Terakhir Diperbarui : 2025-05-20 Baca selengkapnya