美千代は真面目な顔で頷いた。「そうね。うちの息子には、やっぱり紗雪みたいな子じゃないとだめだわ。紗雪以外に、あの子にふさわしい人なんて想像もできないもの」「まあ、これで心配する必要もなくなった」宇一郎は美千代の肩を抱き寄せ、二人は寄り添いながら、京弥と紗雪の姿を眺める。その表情は、いっそう嬉しそうだった。これでもう、京弥が一生独り身なのではと心配する必要もない。紗雪の存在が、すべての不安を払拭してくれたのだ。そんな絵になる二人の姿を見て、会場の中で一人の女性が拳を強く握りしめていた。「どうしてあなただけが、全部手に入れられるの......しかも、こんなに多くの人に注目されて......」歯を食いしばり、悔しさを滲ませる。「納得できない......同じ母親から生まれたのに、どうしてあなただけそんなに恵まれているの......」そう呟いたのは、緒莉だった。彼女は他の者に紛れて、この集まりにやって来ていた。彼女が目をつけたのは、椎名家の傍系にあたる椎名栄斗(しいな えいと)という男で、絵に描いたような遊び人だ。緒莉は彼を手玉に取り、この集まりの存在を知ると、参加できるよう頼み込んだ。最初、栄斗はためらっていた。これは家族の集まりだ。部外者を連れて来れば、上に知られたときに罰を受けるのは避けられない。だが緒莉には最初から計算があった。この機会に椎名家と繋がりを持ちたい――彼女が欲しいのは、目先の利益ではなく、長く続く利益だ。やがて彼女は、自らの魅力を武器に迫った。「栄斗さん、私たちの関係はもう......他人じゃないでしょ?」「ああ、そうだな......他人じゃない」栄斗はあっさりと骨抜きにされた。もともと緒莉は彼の好みど真ん中で、その上あれこれ仕掛けられては、もはや判断力など残っていない。気がついた時には、すでに彼女を連れて集まりに来てしまっていた。こうなっては、今さら引き返すこともできない。緒莉が何か呟いているのを聞き、栄斗は慌てて顔を向ける。「この場で、むやみに人のことを詮索するなよ。それと俺のそばから離れるな。問題も起こすな」彼は傍系の人間として、自分の立場はよく分かっていた。もし当主に、勝手に外部の人間を連れて来たことが知られれば、ただでは済
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