「彼女の後ろに隠れているあなたの謝罪なんて、何の価値もないからね」その言葉を聞いた清那は、とっさに紗雪の後ろから前へ出ようとした。だが紗雪は彼女を制し、前に出させようとはしなかった。自分の目の前で、清那が千弦に頭を下げる姿など見たくなかったのだ。千弦の狙いはもう分かっていた。自分と清那を代わる代わる辱めたい、それだけなのだ。紗雪は冷ややかに笑って言った。「篠塚さんが何を考えているのかは分かりません。でも、私が清那の後ろに隠れている人間だと言うなら、私が前に出て謝るほうが筋が通っているんじゃありませんか?」両者は長いこと睨み合ったまま、埒が明かなかった。すると千弦が突然笑い出し、ゆっくりと紗雪へ歩み寄ってきた。その様子を見た清那は慌てて一歩前へ出ようとしたが、やはり紗雪にしっかりと背後へ押し留められた。清那はこんな場面を経験したことがない。幼い頃からずっと紗雪の後ろについてきた。彼女も松尾家の一人娘として大切に育てられ、世間のこうした理不尽とは無縁だった。だからこそ紗雪は、彼女に少しでも傷ついてほしくなかった。まして千弦が狙っているのは自分だ。清那にとっては完全なとばっちりでしかない。もし京弥がいなければ、千弦はこの番組に来ることもなかったかもしれない。そして自分は京弥の妻だ。ならば、この一件は本来、自分が背負うべきものだ。清那に代わって背負わせる理由など、どこにもない。だから紗雪は最初から責任から逃げるつもりなどなく、自分が前に立ってすべてを受け止めるべきだと分かっていた。清那は自分が止められていることに気づき、力いっぱい振りほどこうとした。だが紗雪のほうが力は強かった。幼い頃に護身術を習っていた彼女にとって、非力な清那を押さえることなど造作もない。清那は紗雪の耳元へ顔を寄せ、小声で言った。「ちょっと紗雪......!このまま好き放題させて本当にいいの?」それでも紗雪は手を放そうとしなかった。千弦が目の前まで迫ってきても、なお清那を背後にかばい続ける。清那はもともと血の気が多い。もしここで本当に楽屋で揉み合いになり、それが外に漏れれば、傷つくのは番組だ。監督もその影響を受けるだろう。そんなことになれば、あまりにも割に合わない。そう考えた紗雪は、ますます
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