210. 第八話 準決勝A卓決着! (や、や、やられた! やらかしたーー! トイトイ三暗刻!? ここに来てツモスーってあんた。伍萬切っとけば良かったかー。三色なくてもトップだもんね。……まあ、伍萬の方が安全なんてそんな根拠は場にひとっつも書いてないから無理なんだけどさ…… そもそもオーラスはアガリやめなしだから打点はあった方がいいし……)そう思うとシオリはある人の書いたブログ記事を思い出していた。 ◆◇◆◇ “麻雀にはすべき選択をしても負ける時があります。それでもいい。ミスして負けたのでなければ。私は勝利よりも正しい麻雀を追求していきたい。正しい選択正しい攻め正しい鳴き正しいオリ 正しいオリによるオリ打ちなら、それすら美しい行為に私は思う ライジン” ◆◇◆◇ (ライジンさん。私、間違ってないよね。私は正しいよね。私の麻雀は…… 美しかったでしょう?) シオリは『ライジン』というブロガーの記事をいつも参考にしていた。いつのまにかシオリにとってライジンは心の師匠のような存在になっていたのだ。これに勝ったら決勝進出をダイレクトメールで報告したいと思っていたが、今負けた。(だが、美しく打てたんですよと。そう報告しよう――) シオリはカメラの前だったので悔し涙を堪えてなんとか微笑む。うまく笑えてない気がする。表情も作れないくらいショックだった。すると―― 「待ってください」 そう言ったのは豊田だった。「みなさん忘れてませんか
Last Updated : 2025-09-02 Read more