『ここ』と言って、藍がぽんぽんと叩いたのは、自分の足の間。︎︎︎︎︎︎ 「そっ、そんな!恥ずかしいよ!」 「なんで?今日は母さんもいないから、家には俺と萌果の二人だけだよ?」 「そうだけど……」 「久しぶりの、ふたりきりだから。俺、萌果とくっつきたいなぁ」 くっつきたいって、そんなにハッキリと言われたら……断れない。 ふたりきりの空間で、藍と見つめ合うこと数秒。 「おっ、お邪魔します」 私が何とか勇気を出して自分から藍の足の間に座ると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。 「お邪魔って、全然邪魔なんかじゃないよ」 耳元で囁かれて、どきっと心臓が跳ねる。 ピタリと密着する体。背後から、藍の熱が伝わってきて……やばい。 藍との距離がいつも以上に近く感じて、ドキドキする。 あまりの近さに、私は耐えられず……。 「あっ。あの俳優さん!私、最近好きなんだよねぇ」 「は?」 私が咄嗟に指さしたのは、今たまたまテレビに映った、最近女子高生の間で人気の若手俳優。 塩顔イケメンの彼はテレビのバラエティー番組で、爽やかな笑顔を振りまいている。 「……萌果ちゃん、あの俳優が好きなの?」 「う、うん。柚子ちゃんもかっこいいって言ってたし。最近活躍してる人のなかでは、私も好きだよ」 「へー」 藍が、鋭い目つきでテレビを睨みつける。 「俺とこの俳優、どっちがかっこいい?」 「えっ」 「ねぇ、どっち?」 「……ひゃっ」 藍に後ろから抱きつかれながら、耳たぶに吸いつくようなキスをされて、思わずビクッと体が跳ねた。︎︎︎︎︎︎ 「萌果ちゃん、早く答えてよ」 「……あっ」 耳たぶを藍の舌が繰り返し這い、くすぐったさに震える。 「ら……待って」 体をよじりながら抵抗するも、後ろから抱きしめられているため身動きがとれない。 「萌果がちゃんと答えるまで、やめないから」 熱を帯びた唇が首筋をゆっくりと下っていき、パジャマの下に彼の手が滑り込む。 「ねえ、どっちが好きなの?」 「……っ、ら……んっ」 「なに?聞こえないよ」 藍ってば、ほんとイジワル! 「藍……だよ。私は、藍が一番好き」 「はい。よくできました」 ようやく藍の唇が離れ、ニコッと満足げに微笑まれる。 「これからは、他の男に好きって言うの禁止。萌果が好きって言っていいのは
Last Updated : 2025-05-03 Read more