All Chapters of 元夫、ナニが終わった日: Chapter 171 - Chapter 180

和也は笑いながら言った。「なるほど、助っ人って、彩のことだったんだ」司は眉をひそめた。「助っ人？」「さっき君と真夕が互角だった時、真夕が言ってたんだ。彩は心臓が弱いから、たとえ君の運転技術がどれだけ優れても、彩を乗せたら足を引っ張られるって。だからきっと彩が彼女の助っ人になるって」彼女、そんなこと言ってたか？司は遠ざかる真夕の美しい背中を見つめ、薄く唇を持ち上げた。和也が彼の肩を軽く突いた。「真夕って、面白いだろ？」司はきりっとした眉をわずかに上げ、無言で応じた。完全に無視された彩は怒ったまま何も言えなかった。空気扱いされた彼女はいかにも不満だった。真夕と和也はオーシャンビュー・プレジデンシャルスイートの「空の間」へ、彩と司は「地の間」へと入った。幸子と舞もやってきた。このリゾートホテルの温泉は有名で、皆夜に温泉を楽しみに来ていた。幸子が真夕の手を引いた。「真夕、ビキニ買いに行こうよ！」二人はビキニの専門コーナーに向かった。そこには色とりどりのビキニが並び、目移りするほどだった。幸子は興奮気味に言った。「真夕、スタイルめっちゃいいし、絶対かわいいビキニ選んで思いっきり魅せよう！」その言葉が落ちるや否や、舞の嫌味たっぷりの声が響いた。「醜いアヒルの子はやっぱりアヒルのままよ。白鳥になれるとでも思ってるの？」彩と舞も現れた。まもなく、司と和也の二人も姿を現した。和也は真夕のそばに来て尋ねた。「何の話してたの？」舞は嘲笑を浮かべながら言った。「さっき真夕がかわいいビキニを選んで、男の前でスタイルを見せつけたいんだって」真夕「……」幸子が何か言おうとしたが、真夕に止められた。舞はさらに続けた。「彩姉さんはバレエ団のトップダンサーよ。スタイルは最高級だわ。それを真似してる誰かさん、いつも服まで真似して、笑っちゃうわ。真似しても、ただのまねよ！」真夕は思い出した。彩も以前、自分が彼女の真似をしていると侮辱していた。しかし、真夕はまったく怒らなかった。ちょうどその時、彼女は誰かの視線を感じた。司が彼女を見ていたのだ。彼の視線は上から下へ、ゆっくりと彼女の体を見渡していた。真夕は視線を逸らした。きっと彼も、彼女のスタイルが彩に及ばないと思っているのだろう。和也は眉をひそめ、不快そうに

彼女は温泉に足を踏み入れ、司のそばにやって来た。「司。私、きれい？」司は彼女を見つめたが、まだ言葉を発していなかった。その時、幸子が真夕を連れて現れた。幸子は温泉に入りながら言った。「真夕、早く入りなよ！」司が顔を上げて真夕を見ると、彼女はすでにビキニに着替えていたが、かなり居心地悪そうにしており、バスタオルで体を覆っていた。彩はすぐに嘲笑った。「なんでバスタオルなんか巻いてるの？まさか自分のスタイルに自信ないの？」舞も面白がって笑っていた。「真夕、みんながタオル取れって言ってるよ！」幸子がそう言いながら、真夕のバスタオルをバッと引っ張った。きゃっ！真夕は驚きの声を上げ、その姿が一瞬でみんなの視線に晒された。彼女が着ていたのはローズレッドのビキニだった。生まれつきの透き通るような白い肌は、彩のように高価なスキンケアで作った白さとはまるで違うのだった。真夕の肌は、生まれつきの、羊の脂のように滑らかで柔らかだった。そしてその体つきは完璧だった。細いウエストはまるで磁器の壺の口のようにくびれており、胸は柔らかくふくらみ、ヒップはキュッと上がっており、脚も美しかった。何気なく選んだローズレッドのビキニが、その純粋な雰囲気にわずかな艶やかさを添えていた。その姿が司の視界に飛び込んだ瞬間、彼の瞳がわずかに揺らいだ。「真夕、早く入りなよ！」幸子が手を伸ばして真夕を引き入れようとした。真夕の足元が滑り、華奢な体がそのまま温泉へと倒れ込んだ。司は思わず手を伸ばして彼女を支えようとした。だが、その手が届かなかった。彼よりも早く、和也は真夕をしっかりと抱きとめていたのだから。和也は彼女を見つめ、柔らかい声で尋ねた。「真夕、大丈夫？」幸子は笑いながら言った。「常陸さん、真夕はこのビキニと似合ってるでしょ？」和也は真夕を見て微笑んだ。「とても似合ってるよ」「じゃあ、今日のお金、無駄じゃなかったでしょ？」「価値ありまくりだよ」真夕の頬が少し赤くなり、はしゃぎすぎの幸子を軽く睨んだ。もうそのへんでやめてよ、と言わんばかりの目つきだった。和也は彼女を抱きながら言った。「このまま抱っこされたままがいい？それとも自分で歩く？」真夕は温泉の中で立ち上がり、「自分で歩くよ」と答えた。二人は連れ立ち、少し離れ

虎兄はすでに人を連れてやって来た。司はこの虎兄を知っている。裏社会の人間で、二番手の地位にあり、凶暴で、手に血のついた男だ。自分の義姉と浮気していたところを真夕に見られてしまった。虎兄が真夕を生かして帰すわけがない。裏社会にもルールがあり、互いに干渉しないのが掟だ。司はここで揉め事を起こしたくなかった。その時、虎兄が護衛を連れて殺到してきた。「虎兄、こいつらです！」司は顔を伏せ、突然真夕の赤い唇にキスをした。虎兄が来たと真夕も耳にしていたが、視界が暗くなると同時に、彼の容赦ないキスが襲いかかってきた。彼のキスは重く、荒々しく、まるで何かの怒りをぶつけているかのようだった。彼は彼女を噛むように貪った。真夕は小さな手で彼の胸を押し返そうとしたが、司は低い声で脅した。「死にたいのか？」死にたくなんかない。しかし、こんなふうになるのも真夕が嫌だった。「苦しい……痛いよ……」彼女の整った眉間はきゅっと寄せられ、小さな顔はすっかり苦瓜のように歪んでしまっていた。彼と一緒にいる時の彼女は、まるで甘えん坊みたいだった。司は再び唇を重ねた。今度は力を緩め、彼女を苦しませないように、優しくキスをした。彼の胸を押していた指先はゆっくりと曲がり、彼のシャツをぎゅっと握りしめた。彼女の従順な態度に、司は彼女を抱き上げ、自分の胸に抱き寄せながらキスを続けた。そこには大きな石があり、ちょうど真夕のか弱い体を隠してくれていた。虎兄たち黒服の護衛たちからは、司の整った上半身と、キスの音しか見聞きできなかった。虎兄はすぐに司を見分けた。これは浜島市の堀田グループの社長じゃないか？虎兄は後ろの護衛を止めた。「違う。あれは堀田社長だ！」そして虎兄はいやらしい笑みを浮かべて言った。「まさか堀田社長がこんなところで女を抱いてイチャついてるとはな」虎兄は真夕の顔こそ見えなかったが、司の腰にしがみついている白く美しい二本の脚と、白い腕が見えた。その肌は氷のように白くて艶やかで、見ているだけで血が滾るようだった。司が気に入る女は、やはり只者ではない。虎兄は目をいやらしく光らせながら、彼女の顔を見たくてたまらなかった。黒服の護衛が言った。「虎兄、あの人はきっとあっちの方向に行ったと思います。急いで追いましょう！」「行くぞ」

真夕はアイスクリームを手に持ち、司を一瞥した。背が高く足も長い司は静かに彼女を見つめ、彼女がどう答えるかを待っているようだった。「このアイスは男に買ってもらわなきゃいけないの？自分で買ったのよ」真夕は嘘をついた。彩と舞は信じられないという表情だった。司は彼女を見つめ、薄い唇をわずかに上げた。嘘つきだな！真夕はこれ以上揉めたくなかった。彼女は和也を見て言った。「常陸さん、温泉はもういいよ。部屋に戻ろう」和也は頷いた。「わかった」和也は真夕を連れて立ち去った。舞は嫉妬に燃えながら言った。「あれは絶対嘘をついてるわ。あのアイスは絶対に男に買ってもらったものよ。今あんなに急いで和也兄さんを連れて部屋に戻るなんて、きっと彼と寝るつもりよ！」彩は司の逞しい腕に手を絡めた。「司、真夕は今和也の彼女よ。今夜も同じ部屋に泊まるんだって。二人は寝ると思う？」舞は先を越して言った。「絶対寝るわ！司兄さんは彼女に手を出したことないけど、あいつは初めてじゃないって顔に出てるわ！」彩は司のハンサムな顔を一瞥し、そして言った。「舞、そんなことないんじゃない？」「彩姉さん、あいつが姉さんみたいに清純だなんて思わないで。あいつは男を引き寄せるのが上手よ。どれだけの男と寝たか分からないわ」司の端正な顔は薄く冷たく覆われ、彼は真夕が去っていく方向を見つめて顔色が暗くなった。舞は続けた。「その養父のこと忘れてるの？どれだけの男と関係を持ったかは置いといて、幼い頃はきっと養父に……」しかしその言葉は続かなかった。司は鋭いまなざしで彼女を一瞥し、冷静ながらも厳しい警告を放ったため、舞は即座に黙った。彩は賢かった。司のような教養のある男は真夕の暗い過去については口にしないとわかっていたが、舞が触れただけでよかった。どんなに教養が高くても、体が「汚れている」女性は受け入れられない。特に、司は潔癖症なのだ。「司、私疲れた。私たちも部屋に戻ろう」司、彩、舞は廊下を歩き、部屋へ戻ろうとしていた。その時、ホテルのスタッフがワゴンを押してやって来た。「ぶつからないように気をつけてください」舞はワゴンにかけられている札を見て言った。「『空の間』？これ、和也兄さんとあいつの部屋に届けるものよ」彩はワゴンの中を見て言った。「和也と真夕、コンド

何これ？真夕は部屋のドアを閉め、手に持っていたものをベッドの上にばらまいた。コンドームとセクシーランジェリーだった。彼女は呆然と立ち尽くした。こんなもの、注文した覚えはない。もしかしてルームサービスの人が部屋を間違えたの？そのとき、シャワーを終えた和也が出てきた。彼もそれらを目にし、一瞬固まった。「真夕、これって……」なるほど、和也も注文していない。じゃあ、どうしてこんな物がここに届けられたの？ピンポーン。そのとき、再びドアベルが鳴った。「俺が出るね」和也がドアを開けると、そこには司と彩が立っていた。真夕の長いまつげがわずかに震えた。彼らは隣の「地の間」にいるはずじゃなかったの？「司、どうして来たんだ？」和也も驚いた様子だった。司は低く艶のある声で言った。「俺たちの部屋のセキュリティシステムに不具合が出てな、検査と調整が必要になった。だから今夜はここに泊めてもらうよ」真夕は驚いた。今夜、司と彩も一緒にここに泊まるって？一つの部屋に四人も泊まるなんて。このオーシャンビュー・プレジデンシャルスイートなら四人でも問題ないが、なんだか変な感じだ。彩は本当は泊まりたくなかった。しかし、先ほどマネージャーが突然やって来て、「地の間」に問題があると、しかも、今夜は全室満室だとも言われた。だから彼らは「空の間」に来るしかなかった。彩自身も、こんな偶然があるのかと疑っていた。司は和也を見た。「どうした？歓迎してくれないのか？」和也は道を開けた。親友の間でそんなこと言うなよと言わんばかりに笑った。「もちろん歓迎するよ」司は彩を連れて中へと入っていった。真夕は二人が突然来るなんて思ってもみなかったため、ベッドの上にはまだコンドームとランジェリーが散らかっていた。彼女は慌ててそれらをかき集め、背後に隠した。だが、司の視線は真夕に向けられ、彼女が何かを隠している手元にも注がれた。「真夕、今夜はあなたたちにお邪魔させてもらうよ」彩が意味ありげに言った。真夕にはどうしようもなかった。手はまだ背後にある彼女は、不自然な姿勢で言った。「構わないよ。先にシャワー浴びてくるね」真夕はバスルームに入ると、中のシャワーをひねった。「シャアアアア」と、水音が響いた。彼女は洗面台の前に立ち、白く細い指