「司」と、その時、隣にいた彩が声を上げた。「どうせ真夕のこと好きじゃないんだから、いずれ離婚するんでしょ?今、真夕は自分の幸せを見つけたのよ。それに相手は和也だし。真夕が手に入れたのは、どれだけの名家のお嬢様たちが手に入れられなかった人よ。お祝いすべきじゃない?司?」司の鋭く冷たい瞳が、わずかに揺らいだ。ちょうどその時、御曹司たちがケーキを運んできて、ろうそくに火を灯した。「では、誕生日の主役に吹き消してもらおう!」和也がろうそくを吹き消し、ケーキを切り始めた。最初の一口はもちろん主役が食べるものだ。ところが、和也は切ったケーキを真夕の口元に持っていった。真夕は彼を一瞥し、口を開けて食べようとした。しかし和也は手を引っ込めた。それはただのからかいだった。そのふざけた笑顔を見て、真夕は彼女役をしっかり演じなければと思い、少し怒ったような目で和也を睨み、小さな拳で彼の胸を軽く叩いた。ふふっ。和也は真夕の肩を優しく抱き寄せ、楽しげに笑った。「常陸と天女さんがイチャイチャしてるぞ!」「もうケーキ食べなくてもいいね。ラブラブでお腹いっぱいだよ!」二人のやり取りに、場は大爆笑となった。和也は再びケーキを真夕の唇に近づけ、真夕は少しだけ口に含んだ。そのあと、和也は彼女がかじったところを、間髪入れずに自分も食べた。その恋の甘さは、あまりにも濃かった。みんなが盛り上がった。そんな中、真夕はふと、自分に注がれる視線に気づいた。顔を上げると、司の冷たく鋭い視線とぶつかった。彼は陰鬱な表情で、じっと彼女を見ていた。彼は機嫌が悪いのか。別に彼を怒らせることなんてしていないし。彼女と和也が一緒になったのも、彩の仕掛けた筋書きだったし。真夕は和也の腕に寄り添い、唇を少し上げ、司に向かって眩しい笑顔を向けた。司は冷たい目で彼女を見返した。その時、彩が笑いながら言った。「司、見て。真夕と和也、すごくお似合いじゃない?」司は何も返さず、手にしたグラスの酒を一気に飲み干した。その後、誕生日パーティーが終わり、司、彩、真夕、和也の四人は外に出た。彩は上機嫌だった。「真夕、もう和也の彼女なんだから、これからは四人で遊びに行けるね!」真夕は頷いた。「うん」和也は司を見て言った。「司、俺と真夕が付
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