彩の顔色がさっと変わった。雪奈と真夕がまさかこのタイミングで来るとは思ってもみなかった。この二人は計画にはないのだ。彩はすぐに立ち上がった。「お母さん、どうして来たの?」雪奈は彩を見つめながら言った。「彩の様子を見に来たのよ」彩は口元をゆるめた。「私は元気よ。心配しなくていいわ。それより、どうして池本真夕なんかを連れて来たのよ」真夕は彩に向かって目をパチパチしながら挨拶した。「岩崎さん、こんにちは」彩は雪奈の腕を取った。「お母さん、私、彼女とは昔から因縁があるの。前はよく私をいじめていたし、私、彼女が嫌いなの」「彩、真夕とのことは、もう真夕から聞いているわ。真夕はいい子よ。昔は誤解があったかもしれないけれど、これからは仲良くやってほしいの。いいかしら?」雪奈がまさか真夕の味方をするなんて!彩は雪奈を本気で嫌になった。やっぱり真夕とは実の母娘なんだ。「私こそお母さんの娘よ。どうして少しも私の味方をしてくれないのよ!」と、彩は不満を漏らした。雪奈は困ったように言った。「それはそうだけど、私は真夕のことも好きなの。二人が仲良くしてくれればそれでいいじゃない」彩は言葉を詰まらせた。真夕は彩が悔しそうにしている様子を見て、心の中でひそかに爽快感を覚えた。真夕はあたりを見回し、「岩崎さん、岩崎社長はどこ?」と尋ねた。彩の心臓がドキッと跳ねた。雪奈も謙がいないことに気づいた。「彩、お父さんは?家に戻ってきたんじゃなかったの?どうして姿が見えないの?」彩はふと何かを思いつき、口元に笑みを浮かべた。「お母さん、お父さんなら部屋にいるわ。何か用?じゃあ今案内してあげるよ」雪奈はうなずいた。「ええ、お願い」彩「お母さん、二階に行こう」彩は雪奈と真夕を連れて階段を上がり、二人を謙の部屋の前まで案内した。彩は声を潜めながら言った。「お母さん、お父さんはたぶん休んでいるから、静かにしよう。お父さんにサプライズをあげるのよ」雪奈はうなずいた。「わかったわ」彩はドアノブに手をかけ、扉を開けた。中を覗き込んだ彩は、息を呑んだ。「お母さん、お父さんが……」雪奈「彩、お父さんがどうしたの?」真夕は彩の表情を見て尋ねた。「岩崎社長がどうかしたの?」彩はドアの前から身を引いた。「お母さん、私の口からは言えない
Read more