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第724話

Author: 雪吹(ふぶき)ルリ
謙は外でドアを叩いた。「雪奈、俺だ。早く開けろ、話がある!」

雪奈はベッドに腰を下ろしたまま、相手にする気はない。

「雪奈、中にいるのは分かってる。早く開けろ!一、二、三と数えるぞ、開けないなら蹴破るぞ!」

外の使用人が慌てて声をかけた。「岩崎社長、ドアを蹴るなんて駄目です!話があるならちゃんとしてください!」

謙は数え始めた。「一、二……」

雪奈は立ち上がり、ドアを開けた。

雪奈の目の前には、高く引き締まった謙の姿がある。急いで出てきたのだろう、黒いシルクのパジャマの上に黒いコートを羽織り、足元は濃紺のスリッパという風体だ。息を切らせ、やや乱れた様子で、謙がやってきた。

雪奈は冷ややかに謙を見据えた。「岩崎社長、何しに来たの?ここはあなたを歓迎する場所じゃないわ。河野小百合のところに行けば?」

謙は眉間に皺を寄せた。「雪奈、誤解だ。俺と河野の間には何もないんだ……」

「そのセリフ、何百回も聞いたわ。何もない?じゃあさっき私が見たものは何?現場を押さえたのに、まだ言い逃れするの?男なら浮気したら潔く認めなさい。そうでないと軽蔑するわよ!」

そう言って雪奈はドアを閉めようとした。

しかし、謙は手でドアを押さえ、強引に閉めさせなかった。

「手を放せ!」

雪奈は必死に押したが、力では到底敵わない。謙は執拗にドアを押さえ込んでいるままだ。

「何をするつもり?」

謙は雪奈を見つめ、少し笑った。「君の言う通り、やったことなら俺は否定しない。だが、本当に何もなかったんだ!」

雪奈は反論しようとした。

だが、謙は一切口を挟ませない。「考えりゃ分かるだろう。俺は君を追ってきたんだ。もし河野と何かあったなら、こんなすぐに来るわけないだろう?」

雪奈はふと何かに気づき、じろりと謙を上下に見やった。「あなた……もしかして、もうダメになったんじゃない?」

謙の眉がぴくりと動いた。「どういう意味?」

「河野小百合とベッドで、こんなに早く終わったの?ふふ、年には勝てないのね!」

謙「……」

次の瞬間、謙はドアを押し開け、大股で中に入り、雪奈を横抱きにした。

雪奈は宙に浮き、体を硬直させ、慌てて暴れた。「何してるの!放して!」

謙はそのまま数歩でベッドへ向かい、雪奈をベッドに放り投げた。

雪奈はベッドの上で這い、逃げ出そうとするが、その意図を見抜か
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